戻る ・ AIMONのホームページへ戻る

司法書士試験・本試験問題
(平成11年・民法)


【H11-01】 次のアからオまでの記述について,民法上の社団法人,権利能力なき社団又は民法上の組合のいずれに当てはまる記述であるかという観点から分類をした場合,正しい組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 構成員が団体に拠出した不動産は,団体の名義で登記をすることができる。
イ 構成員の債権者は,その債権に基づき,構成員が団体に拠出した財産を差し押さえることはできない。
ウ 団体の債権者は,その債権に基づき,構成員の個人財産を差し押さえることはできない。
エ 団体の設立登記が成立要件である。
オ 営利を目的としない。
─┬────────┬────────┬───────┬───────
 │民法上の社団法人│権利能力なき社団│民法上の組合に│いずれにも当て
 │に当てはまるもの│に当てはまるもの│当てはまるもの│はまらないもの
─┼────────┼────────┼───────┼───────
1│アイウエ    │アイウ     │イウ     │オ
2│アイウエ    │イ       │アイ     │オ
3│アイウオ    │イウ      │イ      │エ
4│アイウオ    │イウ      │イウ     │エ
5│アイウオ    │ウオ      │イウ     │エ
─┴────────┴────────┴───────┴───────


【H11-02】 次の対話は,債権の消滅時効に関する教授と学生の対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の回答のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
教授:債務者は,時効の利益を時効の完成前に放棄することができますか。
学生:ア はい。時効の利益は,期限の利益と同様に,それにより利益を受ける債務者のために存するので,債務者は,債務の発生後は,いつでも時効の利益を放棄することができます。
教授:それでは,時効の完成前に,準禁治産者が,保佐人の同意を得ずに債務の承認をした場合,時効は中断しますか。
学生:イ はい。時効の中断の効力を生ずべき債務の承認をするためには,処分の能力又は権限があることは要しないので,保佐人の同意は不要です。
教授:時効完成後に債務者が債務の存在を承認した場合,債務者は,時効の利益を放棄したことになりますか。
学生:ウ いいえ。債務者が時効の完成を知った上で債務の存在を承認したのでなければ,時効の利益の放棄には当たりません。
教授:それでは,債務者が時効の完成を知らずに債務の分割弁済を約束した場合,債務者は,時効を援用することができますか。
学生:エ はい。債務の分割弁済の約束は,それが時効の完成前にされたときは,債務の承認として時効の中断事由となりますが,時効の完成後にされたときは,時効の利益の放棄には当たらないので,債務者は,時効を援用することができます。
教授:債務者は,いったん時効の利益を放棄した後は,もはや時効を援用することができないのでしょうか。
学生:オ いいえ。時効の利益を放棄した時点から再び時効は進行するので,再度時効が完成すれば,債務者は,時効を援用することができます。
1 アイ   2 アエ   3 イオ   4 ウエ   5 ウオ


【H11-03】 Aは,Bと協議の上,譲渡の意思がないにもかかわらず,その所有する甲土地をBに売り渡す旨の仮装の売買契約を締結した。この場合における次のアからオまでの記述のうち,判例の考え方に従うと,Aによる売買契約の無効の主張が認められるものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア Bに対して金銭債権を有する債権者Cが,A・B間の協議の内容を知らずに,その債権を保全するため,Bに代位して,Bへの所有権移転登記をAに請求した。そこで,Aは,Cに対し,A・B間の売買契約の無効を主張した。
イ Bは,甲土地上に乙建物を建築し,A・B間の協議の内容を知らないDに乙建物を賃貸した。そこで,Aは,Dに対し,A・B間の売買契約の無効を主張した。
ウ Bに対して金銭債権を有する債権者Eが,A・B間の協議の内容を知らずに,その債権に基づき,甲土地を差し押さえた。そこで,Aは,Eに対し,A・B間の売買契約の無効を主張した。
エ Bは,A・B間の協議の内容を知っているFに甲土地を転売し,さらに,Fは,その協議の内容を知らないGに甲土地を転売した。そこで,Aは,Gに対し,A・B間の売買契約の無効を主張した。
オ Bは,A・B間の協議の内容を知らないHに甲土地を転売し,さらに,Hは,その協議の内容を知っているIに甲土地を転売した。そこで,Aは,Iに対し,A・B間の売買契約の無効を主張した。
1 アイ   2 アウ   3 イオ   4 ウエ   5 エオ


【H11-04】 次の対話は,自己契約・双方代理の禁止に関する教授と学生の対話である。教授の質問に対する次のアからクまでの学生の回答のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
教授:民法第108条の規定によって保護される利益は何だと考えますか。
学生:ア 不当な契約を一般的に防止しようとする公益だと考えます。
   イ 不当な契約から生ずる損害を避ける当事者の利益だと考えます。
教授:それでは,民法第108条に違反してされた法律行為の効力はどうなりますか。
学生:ウ 無効となり,追認をすることはできません。また,本人が事前に双方代理の行為について同意を与えることはできません。
   エ 無権代理となり,追認をすることができます。また,本人が事前に双方代理の行為について同意を与えていれば,代理行為の効力は本人に及びます。
教授:それでは,法律行為の代理人の選任をその相手方に委任する契約の効力はどうなりますか。
学生:オ 法律行為の内容や委任契約がされた経緯などから,代理人の選任の委任が無効とされる場合があります。
   カ 相手方や相手方と同一の代理人を代理人として選任することをしなければ,その代理人の代理権が否定されることはありません。
教授:不動産の所有権移転の登記の申請について,同一の司法書士が登記権利者と登記義務者の双方の代理をすることが可能とされているのは,なぜですか。
学生:キ 登記の申請について,同一人が登記権利者と登記義務者の双方の代理をすることは,原則として民法第108条に違反するので,許されませんが,申請者双方の同意を得ている場合には,それが許されるからです。
   ク 登記の申請は,既に効力を生じた権利変動の公示を申請する行為であり,民法第108条ただし書にいう「債務ノ履行」に準ずる行為に当たるからです。
1 アウオキ 2 アエカク 3 イウカキ 4 イエオキ 5 イエオク
(参考)
民法第108条 何人ト雖モ同一ノ法律行為ニ付キ其相手方ノ代理人ト為リ又ハ当事者双方ノ代理人ト為ルコトヲ得ス但債務ノ履行ニ付テハ此限ニ在ラス


【H11-05】 AのBに対する債権をCが譲り受けようとする場合に関する次の記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1 Aの有する債権が,BにAの肖像画を描かせることを内容とするものである場合,Cは,債権を取得することができない。
2 AとBとの間に債権の譲渡を許さない旨の合意がある場合,その合意の存在を知り,又は知らないことについて過失があるCは,債権を取得することができない。
3 AとBとの間に債権の譲渡を許さない旨の合意がある場合であっても,BがAのCに対する譲渡を追認したときは,Cは,債権を取得することができる。
4 Cが譲り受けようとする債権が,AとBとの間の既存の賃貸借契約に基づき,将来の一定の期間内に発生すべき賃料債権である場合であっても,Cは,債権を取得することができる。
5 AのBに対する債権が民法上の扶養請求権である場合,Cは,債権を取得することができない。


【H11-06】 次のアからオまでの記述のうち,使用貸借のみに当てはまり,賃貸借及び無利息の消費貸借には当てはまらないものの組合せはどれか。
ア 貸主は,目的物の瑕疵につき,その存在を知って引き渡した場合に限り,担保責任を負う。
イ 借主が破産宣告を受けた場合には,貸主は,期限の定めがあるときでも,契約の解約を申し入れることができる。
ウ 借主が死亡した場合には,契約は,その効力を失う。
エ 当事者が返還の時期又は使用収益の目的を定めなかったときは,貸主は,いつでも返還を求めることができる。
オ 借主は,貸主の承諾がなければ,第三者に目的物を使用収益させることができない。
1 アイ   2 アオ   3 イウ   4 ウエ   5 エオ


【H11-07】 詐害行為取消権に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 詐害行為取消権の被保全債権は詐害行為時に具体的に発生していることを要するから,調停により毎月一定額の支払を受けることを内容とする婚姻費用の分担に関する債権を取得した妻は,夫による所有不動産の譲渡に関し,譲渡がされた時に期限が到来していた債権のみに基づいて詐害行為取消権を行使することができる。
イ 離婚に伴う財産分与は,婚姻の解消という身分行為に伴うものではあるが,身分関係の廃止とは直接に関係のない行為であるから,財産分与が,不相当に過大であり,財産分与に仮託してされた財産処分行為であると認められるときは,詐害行為として取り消すことができる。
ウ 取引の安全の観点から,転得者が詐害の事実について善意である場合には,詐害行為の取消しは認められないとする立法趣旨に照らすと,転得者が詐害の事実について善意であれば,その転得者から更に対象物件を転得した者については,その者が詐害の事実について悪意であっても,債権者は,詐害行為取消権を行使することができない。
エ 債務者Aに対し,Bは300万円,Cは200万円の金銭債権を有していたが,CがAから200万円の弁済を受けたことにより,Aは,無資力となった。Cに対するAの弁済がBの請求により詐害行為として取り消された場合,責任財産の回復を目的とする詐害行為取消し制度の趣旨に照らし,Cは,Bに対し,自己の債権額に対応する按分額80万円についても支払を拒むことはできない。
オ 詐害行為取消権の行使により法律行為が遡及的に無効とされることは,取引の安全に重大な影響を与えるため,法律関係の安定の観点から短期消滅時効が定められている趣旨に照らすと,詐害行為取消権の消滅時効は,債権者が債務者に詐害の意思があることを知ったか否かにかかわらず,債権者が詐害行為の客観的事実を知った時から進行する。
1 アウ   2 アオ   3 イエ   4 イオ   5 ウエ


【H11-08】 Aは,Bに対し,自己がそれまで使用していた自動車を代金200万円で売り渡したが,Bが買い受けた後,その自動車は,突如,エンジンにトラブルが発生し,走行することができない状態になった。Bが自動車修理工場に依頼して点検したところ,エンジンの内部に売買以前からの不具合があり,そのためにトラブルが発生したこと及びその修理のためには100万円の費用が必要であることが判明した。
 このような場合に売主Aが負担する責任に関する考え方の前提として,次の二つの考え方があるものとする。
第1説 Aの売主としての債務は,その目的となった中古自動車の所有権を買主に移転し,これを引き渡すことであり,これによってAの債務の履行は完了する。
第2説 中古自動車の売買であっても,売主Aは,完全な目的物を引き渡す債務を負っており,上記のような事例では,Aは,その債務を履行したとはいえない。
 次のアからオまでの記述のうち,第2説を前提とし,第1説を前提としない記述の組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。
ア Aがエンジンの内部に不具合があることを知らなかったことについて過失がなかった場合であっても,Aは,Bに対して損害賠償責任を負うが,これは,売買が有償契約であるという性質を持つことから,法が特に定めた責任である。
イ Bは,エンジンの修理費用100万円のほか,修理期間中当該自動車を使用することができなかったために失った得べかりし利益についても,Aに対し,損害賠償を請求することができる。
ウ Bは,Aに対し,エンジンを修理するよう請求することはできないが,自ら修理工場に依頼して修理させ,その費用100万円についてAに損害賠償を請求することはできる。
エ BのAに対する損害賠償請求や売買契約の解除は,Bがエンジンにトラブルが発生したことを知った時から1年以内にしなければならないが,これは,その責任の性質上,当然に導かれる結論とはいえない。
オ Bは,Aに対し,現実にエンジンを修理するか否かにかかわらず,売買代金を100万円減額するよう請求することができる。
1 アエ   2 アオ   3 イウ   4 イエ   5 ウオ


【H11-09】 「譲渡担保権者は,目的物の所有権を取得するが,譲渡担保権の設定者に対して担保の目的を超えて使用・処分しない義務を負う。」との見解がある。Aが,Bに対して有する債権の担保のため,Bが所有している動産について,譲渡担保権の設定を受け,占有改定の方法によりその引渡しを受けた場合に関する次のアからオまでの記述のうち,この見解を前提とすれば誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア Bは,その動産についてCに対しても譲渡担保権を設定し,占有改定の方法により引き渡した。この場合,Cは,第2順位の譲渡担保権を取得する。
イ Aは,その動産をDに売却して,指図による占有移転の方法により引き渡した。Dは,その動産がAのために譲渡担保に供されたものであることを知っていた場合,動産の所有権を取得するが,Bに対して担保の目的を超えて使用・処分しない義務を負う。
ウ Bは,その動産をEに売却し,現実の引渡しをした。Eは,その動産がAのために譲渡担保に供されたものであることを知らず,また,知らないことに過失がなかった場合,動産の所有権を取得する。
エ Bが弁済期に債務を履行しなかったので,Aは,Bに対してその動産の引渡しを請求した。Bは,清算金の支払があるまで動産の引渡しを拒むことができる。
オ Bが弁済期に債務を履行しなかったので,Aは,その動産をFに売却した。Bは,Fに対して動産の受戻しを請求することはできない。
1 アイ   2 アエ   3 イウ   4 ウオ   5 エオ


【H11-10】 下図のように,甲地が乙地を通らなければ公路に出ることができない位置関係にある場合において,甲地の所有者Aが乙地の所有者Bから通行地役権の設定を受けたときに関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

   ──────────────────────────────

               公   路

   ──────────────────────────────


         乙   地   ┌───────────┐
                 │           │
                 │           │
      ┌──────────┤           │
      │          │           │
      │          │           │
      │  甲   地   │   丙   地   │
      │          │           │
      │          │           │
   ───┴──────────┴───────────┴───
               崖   地


1 通行地役権の設定契約において,Aが乙地を通行することができるのは,Bがその都度指定する時間に限られる旨を定めることはできない。
2 Aが甲地の所有権とともに通行地役権をCに譲渡した場合,Cは,甲地の所有権移転の登記とともに地役権移転の登記を経由しなければ,第三者に対し,地役権の移転を対抗することができない。
3 Aが甲地の持分2分の1をDに譲渡した場合,Dも通行地役権を取得する。
4 Aが甲地をEに譲渡した場合,Aの通行地役権は,特別の定めをしなくてもEに移転する。
5 Aは,通行地役権のみを丙地の所有者Fに譲渡することはできない。


【H11-11】 滌除権者に関する次の記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
1 抵当不動産の所有権を無償で譲り受けた者であっても,滌除権を行使することができる。
2 抵当不動産の所有権を相続によって取得した者であっても,滌除権を行使することができる。
3 抵当不動産について譲渡担保権の設定を受けた者であっても,滌除権を行使することができる。
4 抵当不動産について競売が申し立てられた後にその不動産の所有権を取得した者であっても,滌除権を行使することができる。
5 抵当不動産の共有持分を取得した者であっても,滌除権を行使することができる。


【H11-12】 地上権の消滅に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 地上権者が破産の宣告を受けた場合,それまで地代の滞納がなかったときでも,土地所有者は,地上権の消滅を請求することができる。
イ 地上権者は,存続期間の定めがあるときでも,いつでも地上権を放棄することができる。
ウ 地上権者が土地を使用していないときでも,その地上権に抵当権が設定されていれば,地上権は,時効によって消滅することはない。
エ 地上権者がその土地の上に有する建物を第三者に賃貸している場合,地上権者と土地所有者が地上権を合意により消滅させても,これを建物の賃借人に対抗することはできない。
オ 地上権が消滅した場合,地上権者は,その土地に植栽した樹木について,土地所有者に対し,時価で買い取るべきことを請求することができる。
1 アウ   2 アエ   3 イウ   4 イオ   5 エオ


【H11-13】 後記の記述のうち,次の事例においてBが自己の所有権取得をDに対抗することができないとの結論を導く根拠として最も適切でないものはどれか。
(事例)Aは,その所有する甲不動産をBに譲渡したが,その所有権移転登記が未了の間に,甲不動産をCに二重に譲渡した。その後,甲不動産は,CからDに譲渡され,AからCへ,CからDへの所有権移転登記がされたが,Cは,背信的悪意者であった。
1 転得者が保護されるかどうかは,詐害行為取消権における受益者,転得者の関係と同様である。
2 Cが背信的悪意者であっても,AC間の売買が無効になるものではない。
3 Dは,Bとの関係で登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に該当する。
4 信義則に違反するかどうかは,相手方との関係で相対的に判断すべきである。
5 A・C間の譲渡が公序良俗に反する場合であっても,Dは,背信的悪意者でなければ,民法第177条の第三者に該当する。


【H11-14】 動産質権に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 質権は,質物を債権者に引き渡さなければ,成立しない。
イ 質物は,質権者に対し,占有改定の方法によって引き渡すことができる。
ウ 質権者は,質物の占有を継続しなければ,質権を失う。
エ 質権者が質物を第三者によって奪われた場合,質権に基づいてその返還を請求することができる。
オ 質権者は,設定者の承諾がなければ,質物を第三者に賃貸することができない。
1 アイエ  2 アイオ  3 アウオ  4 イウエ  5 ウエオ


【H11-15】 「Bに賃貸されているA所有の甲不動産がCに譲渡された場合において,CがBに対して賃料を請求するときは,Cは,所有権移転登記を経由する必要はない。」とする見解がある。次のアからオまでの記述のうち,この見解の根拠とならないものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 賃料請求は,賃借権の存在を認めることを前提として賃貸借契約上の権利を行使するものである。
イ 賃借人は,甲不動産の譲渡の当事者以外の第三者である。
ウ 甲不動産が二重に譲渡された場合であっても,債権の準占有者に対する弁済や供託によって,賃借人を保護することができる。
エ 賃貸人の地位の譲渡を賃借人に対抗するためには,賃借人に対する通知又は賃借人の承諾があれば足りる。
オ 甲不動産が二重に譲渡された場合においても,その所有権の帰属と賃料債権の帰属とが分離することは避けるべきである。
1 アイ   2 アエ   3 イオ   4 ウエ   5 ウオ


【H11-16】 次のアからオまでの記述のうち,AからCに対する返還請求又は妨害排除請求が認められるものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア Aが,Bから賃借している土地上に建物を所有し,所有権保存登記を経由している場合において,この土地の一部を隣地所有者Cが占拠した。
イ Aが,その所有する土地をBに売却して所有権移転登記を経由し,さらに,BがCに対し,この土地を転売した。Cが,この土地上に建物を建てた後,A・B間の売買契約が解除され,AからBへの所有権移転登記が抹消された。
ウ Bは,所有者Dから賃借している土地上に建物を所有していたが,Cがこの建物を競売により取得した。この場合において,Dの無権代理人Aが賃借権の譲渡を承諾した後,Dが死亡し,AがDの地位を単独で相続した。
エ Aが所有する土地上に建物を建築することを請け負ったBは,自らすべての材料を提供して建物を完成させたが,Aが請負代金を支払わないので,自己名義の所有権保存登記を経由した後,この建物をCに譲渡し,所有権移転登記を経由した。
オ Bは,所有者Aから賃借している土地上に建物を所有していたが,Bが死亡し,CがBの地位を単独で相続した。
1 アイウ  2 アイエ  3 アウオ  4 イエオ  5 ウエオ


【H11-17】 「物権的請求権は,相手方の費用負担でその積極的な行為を請求する権利である。」とする見解がある。この見解に関する次のアからオまでの記述のうち,適切でないものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア この見解では,物権侵害の原因を作ったのは第三者であるが,現に物権を侵害している物を支配している者は相手方であるという場合についてまで,相手方に費用を負担させることになり,相手方に酷であるとの批判がある。
イ この見解の根拠には,物権的請求権は,物権の一作用であるが,それは物に対する追及権であって,人に対する権利ではないとの考え方がある。
ウ この見解では,互いに相手方に対して物権的請求権を有する場合には,どちらが先に請求するかによって費用負担者が決定されることになり,不合理であるとの批判がある。
エ この見解の根拠には,物権は物に対する支配権であるから,この支配の実現が妨害された場合には,自力救済が禁止されている以上,法律上その排除ができなければならないとの考え方がある。
オ この見解は,物権的請求権における費用負担の問題を,これとは異質な不法行為の責任原理にゆだねるものであり,不合理であるとの批判がある。
1 アイ   2 アウ   3 イオ   4 ウエ   5 エオ


【H11-18】 認知に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,誤記1から5までのうちどれか。
ア 父は胎児を認知することができるが,胎児は父に対して認知の訴えを提起することはできない。
イ 未成年者は,その法定代理人の同意がなくても認知をすることができる。
ウ 遺言による認知は,遺言者が遺言の方式に従って撤回することができる。
エ 認知は,認知をした父が子の出生の時にさかのぼって効力を生ずる旨の別段の意思表示をしたときを除き,認知の時から効力を生ずる。
オ 父が死亡した日から3年以内であれば,子又はその3親等以内の親族は,認知の訴えを提起することができる。
1 アイ   2 アオ   3 イウ   4 ウエ   5 エオ


【H11-19】 特定遺贈に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 特定遺贈の受遺者は,自己のために遺贈の効力が生じたことを知った時から3か月以内に,遺贈の放棄をしないときは,その遺贈を承認したものとみなされる。
イ 遺言者の妻を扶養することを負担とする特定遺贈があった場合,受遺者がその負担した義務を履行しないときは,その遺贈は,効力を生じない。
ウ 特定遺贈の受遺者の後見人が後見監督人の同意を得ないで遺贈を放棄した場合,後見監督人は,その遺贈の放棄を取り消すことはできない。
エ 不動産について始期付きの特定遺贈があった場合,受遺者は,始期の到来前は,遺贈義務者に対し,始期付所有権移転請求権保全の仮登記を求めることができる。
オ 遺留分を侵害する特定遺贈は,遺留分を侵害する限度において無効である。
1 アイ   2 アウ   3 イオ   4 ウエ   5 エオ


【H11-20】 氏の変更に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちのどれか。
ア Aとの婚姻によって氏を改めたBは,Aと離婚をしたときは,戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,婚姻前の氏に復することなくAの氏を称することができる。
イ Aとの婚姻によって氏を改めたBは,Aの両親と養子縁組をした後にAと離婚をしたときは,婚姻前の氏に復する。
ウ A・B夫婦と養子縁組をしたCは,Bと離縁をしても,縁組前の氏に復しない。
エ Aと離婚をしたBが嫡出である子Cを連れてDと婚姻をし,Dの氏を称しても,Cの氏は,Aが離婚をした際のA・B夫婦の氏のままである。
オ 嫡出でない子Aの氏は,父Bに認知されると,母Cの氏から父Bの氏に変更する。
1 アイ   2 アエ   3 イウ   4 ウエ   5 ウオ


【H11-21】 相続の限定承認に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 相続人が数人ある場合,限定承認は,相続人が各別にすることができる。
イ 限定承認は,相続人が家庭裁判所に対して限定承認をする旨を申述してしなければならない。
ウ 限定承認をした相続人は,善良な管理者の注意をもって,相続財産を管理する義務を負う。
エ 限定承認をした相続人は,相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済する責任を負う。
オ 限定承認をした相続人が被相続人の債務を自己の固有財産で弁済した場合,その弁済は,無効である。
1 アイ   2 アウ   3 イエ   4 ウオ   5 エオ


【H11-22】 遺産分割に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 家庭裁判所は,遺産分割の禁止の審判をする場合,その禁止の期間を定めることを要しない。
イ 相続財産中の甲不動産を共同相続人Aに相続させる旨の遺言は,遺産分割の方法の指定に当たるので,甲不動産をAに取得させるためには,遺産分割の手続を経なければならない。
ウ 相続開始後遺産分割前に共同相続人Aから相続財産中の甲不動産についてのAの権利を第三者Bが譲り受けた場合,Bは,遺産分割の手続を経ることなく,共同相続人に対して共有物分割の請求をすることができる。
エ 共同相続人間にいったん遺産分割協議が成立した場合,共同相続人は,その協議を合意解除して新たな遺産分割協議を成立させることはできない。
オ 共同相続人A・B間に遺産分割の協議が成立した場合,Aがその協議により負担した債務をBに履行しないときであっても,Bは,債務不履行を理由としてその協議を解除することはできない。
1 アウ   2 アエ   3 イエ   4 イオ   5 ウオ




戻る ・ AIMONのホームページへ戻る