【H09-01】 禁治産者及び準禁治産者に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 禁治産者は,後見人の同意を得てした行為も取り消すことができるが,準禁治産者は,保佐人の同意を得てした行為を取り消すことができない。
2 禁治産者が後見人と利益の相反する行為をしたときは,後見人は,その行為を取り消すことができるが,準禁治産者が保佐人と利益の相反する行為をしたときでも,保佐人は,その行為を取り消すことができない。
3 他人の任意代理人として代理行為をするためには,禁治産者は,後見人の同意を得ることが必要であるが,準禁治産者は,保佐人の同意を得ることを要しない。
4 禁治産者又は準禁治産者が相手方に能力者である旨誤信させるため詐術を用いた場合,後見人は,禁治産者の行為を取り消すことができるが,保佐人は,準禁治産者の行為を取り消すことができない。
5 禁治産者は,後見人が追認した行為も取り消すことができるが,準禁治産者は,保佐人が追認した行為を取り消すことができない。
【H09-02】 代理に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア Aの代理人Bが相手方Cとの間で売買契約を締結した場合,Cの意思表示がAの詐欺によるものであったときでも,Bがその事実を知らなかった場合には,Cは,その意思表示を取り消すことができない。
イ Aが代理人Bに特定の動産を買い受けることを委託し,BがAの指図に従って相手方Cからその動産を買い受けた場合において,Cが無権利者であることをAが知っていたとしても,Bがその事実を知らず,かつ,そのことに過失がなかったときは,その動産について即時取得は成立しない。
ウ AとCの取引で,Aの代理人Bが,Cの代理人Dに代理権のないことを知らないことに過失があったとしても,Aは,Dに対して無権代理人の責任を追及することができる。
エ Aの代理人Bが自己の利益を図るために権限内の行為をした場合において,相手方CがBの意図を知ることができたときは,Aは,Cに対しBの行為について無効の主張をすることができる。
オ Aの代理人Bの代理行為が相手方Cとの通謀虚偽表示に基づくものであった場合において,Aがそのことを知らなかったときは,Cは,Aに対しその行為について無効の主張をすることができない。
1 アイ 2 アオ 3 イエ 4 ウエ 5 ウオ
【H09-03】 無権代理人がした契約の追認に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 本人が無権代理人に対して契約を追認した場合でも,相手方は,その追認があったことを知らないときは,無権代理であることを理由として契約を取り消すことができる。
2 本人は,無権代理人が本人の利益を図る意思で契約した場合に限り,契約を追認することができる。
3 相手方が本人に対して相当の期間を定めて契約を追認するか否かを催告したが,応答のないままその期間が経過した場合,本人は,契約を追認したものとみなされる。
4 本人は,契約を遡及的に有効とするか,将来に向かってのみ有効とするかを選択して,契約を追認することができる。
5 本人は,契約の追認を拒絶した後でも,あらためて契約を追認することができる。
【H09-04】 「債権についての時効期間が経過した後に,債務者が時効の完成していることを知らないで債務の一部を弁済した場合,債務者は,時効を援用することができないが,当該債権の物上保証人は時効を援用することができる。」という見解がある。次のアからカまでの記述のうち,この見解の根拠となるものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 債務者が時効の利益を放棄するには,時効の完成の事実を知っていることが必要である。
イ 債務者が債務の一部を弁済した以上,債権者は,もはや債務者が時効を援用しないであろうと考えるので,その後に債務者が時効を援用することは信義則に反する。
ウ 時効の完成によって物上保証人が受ける利益は,被担保債権の消滅による担保権の消滅という間接的なものである。
エ 永続した社会秩序を維持したいとする時効制度の趣旨に照らすと,できる限り広範囲の利害関係人に時効の利益の享受を認めることが望ましい。
オ 時効の援用権者が複数いる場合,それぞれの時効の援用権の行使の効果や喪失の効果は,相対的なものである。
カ 債務者による債務の一部弁済が時効の完成前に行われた場合と,完成後に行われた場合とで,物上保証人が時効を援用することができるかどうかの結論が逆になるのは不当である。
1 アウオ 2 アエカ 3 イウカ 4 イエオ 5 イエカ
【H09-05】 AがBに対する金銭債権をCに譲渡した後,その債権を更にDに譲渡した場合に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア AからCへの譲渡について確定日付のない通知がされ,その到達後にAからDへの譲渡についても確定日付のない通知がされた場合において,BがCに対して債務を弁済したときは,Bは免責される。
イ AからCへの譲渡について確定日付のない通知がされ,BがCに対して債務を弁済した後に,AからDへの譲渡について確定日付のある通知がされた場合,BはDの支払請求にも応じなければならない。
ウ AからCへの譲渡についてBが確定日付のある異議を留めない承諾をした場合には,その承諾がAからDへの譲渡について確定日付のある通知がBに到達した後にされたものであっても,BはCに対して債務を弁済しなければならない。
エ AからCへの譲渡についても,AからDへの譲渡についても,確定日付のある通知がされ,それらが同時にBに到達した場合,BはCの請求に対し,同順位のDがいることを理由に債務の弁済を拒むことはできない。
オ AからCへの譲渡について確定日付のない通知がされ,他方,AからDへの譲渡について確定日付のある通知がされたが,A・B間には,当該債権について譲渡禁止特約があり,Dが債権を譲り受けた際,その特約を知っていた場合,BはDの請求を拒むことができる。
1 アイ 2 アエ 3 イウ 4 ウオ 5 エオ
【H09-06】 「連帯債務者の一人が債権者に対して反対債権を有する場合には,他の連帯債務者は,反対債権を有する連帯債務者の負担部分について,当該反対債権をもって相殺する権限がある。」という見解がある。次のアからオまでの記述のうち,この見解の根拠となるものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 連帯債務は,一定の共同目的を有するものであるから,この目的を達成させる事由があるときは,どの債務者によってされたかを問わず,すべての債務者のために効力を生じさせるべきである。
イ 多数の人が当事者となる連帯債務における債権者・債務者間及び債務者相互間の法律関係,例えば,求償権の行使の範囲などは,できるだけ簡易に処理する方が望ましい。
ウ 相殺するかどうかは,反対債権を有する者の判断にゆだねられるべきである。
エ 反対債権を有する連帯債務者は,結果的に,反対債権のうち,その者の負担部分に相当する額については,支払を受けたのと同じことになる。
オ 連帯債務者の一人が他の債務者に対して事前の通知をしないで債権者に弁済をした場合,債権者に対して反対債権を有する他の連帯債務者は,その負担部分について,相殺をもって,弁済をした債務者からの求償請求に対抗することができる。
1 アイ 2 アオ 3 イエ 4 ウエ 5 ウオ
【H09-07】 「土地の売買契約を売主Aが買主Bの履行遅滞を理由として解除した場合,当該契約上の債権債務は,当該契約の成立の当初にさかのぼって消滅し,当該土地の所有権は売主Aにとどまっていたことになる。」という見解がある。次のアからオまでの記述のうち,この見解から導かれるものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 買主Bが当該土地の所有権移転登記を経由していた場合,その登記の抹消手続をする義務を負うのは,解除の性質上,当然のことであって,民法545条1項本文は,このことを注意的に規定したものである。
イ 買主Bが当該土地の所有権移転登記を経由していた場合,その登記の抹消手続をする義務を負うのは,民法545条1項という特別の規定があるからである。
ウ 買主BがCに当該土地を転売した場合,売主Aが当該土地についての買主Bへの移転登記の抹消手続の請求をすることができるかどうかは,BからCへの転売の時期にかかわらず,Cの登記の有無によって決まるが,このことは民法545条1項ただし書とは別の問題である。
エ 売主Aは,買主Bに対して債務不履行による損害賠償を請求することができるが,これは民法545条3項という特別な規定があるから認められるものである。
オ 売主Aが買主Bに対して債務不履行による損害賠償を請求することができるのは,原状回復の一環として当然のことであって,民法545条3項はこのことを注意的に規定したものである。
1 アウ 2 アエ 3 イエ 4 イオ 5 ウオ
(参考)
第545条 当事者ノ一方カ其解除権ヲ行使シタルトキハ各当事者ハ其相手方ヲ原状ニ復セシムル義務ヲ負フ但第三者ノ権利ヲ害スルコトヲ得ス
A 前項ノ場合ニ於テ返還スヘキ金銭ニハ其受領ノ時ヨリ利息ヲ附スルコトヲ要ス
B 解除権ノ行使ハ損害賠償ノ請求ヲ妨ケス
【H09-08】 次のアからオまでのA欄に掲げる債務に期限の定めがない場合,B欄の記述が民法上の定めとして,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
A欄 B欄
ア 請負契約における注文者の 請負人は,仕事の完成後,いつでも,
報酬支払債務 報酬の支払を請求することができ,
その請求があったときは,注文者は,
直ちに報酬を支払わなければならな
い。
イ 消費貸借契約における借主 貸主は,いつでも,相当の期間を定
の返還債務 めて,返還の催告をすることができ,
その催告があったときは,借主は,
その催告期間中に返還しなければな
らない。
ウ 使用貸借契約における借主 当該契約に使用目的が定められてい
の目的物返還債務 る場合,その目的に従った使用収益
が終了していなくても,これをする
に足る期間が経過したときは,借主
は,貸主の請求があれば,直ちに目
的物を返還しなければならない。
エ 動産の賃貸借契約における 貸主は,いつでも,解約の申入れを
借主の目的物返還債務 することができ,その申入れがあっ
たときは,借主は直ちに目的物を返
還しなければならない。
オ 寄託契約における受寄者の 寄託者は,いつでも,目的物の返還
目的物返還債務 を請求することができ,その請求が
あったときは,受寄者は,直ちに目
的物を返還しなければならない。
1 アイ 2 アエ 3 イオ 4 ウエ 5 ウオ
【H09-09】 一物一権主義は,(a)一つの物権の客体は一つの独立物でなければならないという意味で用いられている場合と,(b)一つの物に同一内容の物権は一つしか成立しないという意味で用いられる場合があるが,次のアからオまでの記述のうち,一物一権主義が(b)の意味で用いられているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 倉庫に搬入されるビールすべてを対象とする包括的な譲渡担保を設定することは,一物一権主義に反しない。
イ 1筆の土地の一部について取得時効を主張することができるのは,一物一権主義の例外である。
ウ 民法が1筆の土地の一部を承役地とする地役権を認めているのは,一物一権主義の例外である。
エ 共有の法的性質について,各共有者はそれぞれ1個の所有権を有するものであると解しても一物一権主義に反しない。
オ 1筆の土地に数個の抵当権が順位を付けられて設定されることは,一物一権主義に反しない。
1 アイ 2 アエ 3 イウ 4 ウエ 5 エオ
【H09-10】 甲不動産はAとBの共有であるが,登記簿上はAの単独所有とされていたところ,Aは,Cとの間で甲不動産の売買契約を締結し,Cへの所有権移転登記を経由した。この場合に関する次の記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1 甲不動産をAとBが相続により取得した場合において,AがBに無断で単独所有の登記を経由したときは,甲不動産がAとBの共有であることをCが知らなかった場合でも,Bは,Cに対し,相続によって取得した自己の持分を主張することができる。
2 AとBの合意に基づいてA単独所有の登記が経由された場合において,甲不動産がAとBの共有であることをCが知らなかったときは,Bは,Cに対し,自己の持分を主張することができない。
3 AとBが他の共同相続人Dとの遺産分割協議により甲不動産を取得した場合において,AがBに無断で単独所有の登記を経由したときは,甲不動産がAとBの共有であることをCが知らなかった場合でも,Bは,Cに対し,遺産分割によって増加した自己の持分を主張することができる。
4 AがBに無断でA単独所有の登記を経由したが,Bはその事実を知りながら長期間これを放置していた場合において,甲不動産がABの共有であることをCが知らなかったときは,Bは,Cに対し,自己の持分を主張することができない。
5 AがBに無断でA単独所有の登記を経由し,直ちにCに売却した場合には,甲不動産がAとBの共有であることをCが知らなかったときでも,Bは,Cに対し,自己の持分を主張することができる。
【H09-11】 占有に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 自分に本権がないことを知っている占有者は,その占有が妨害されたとしても,妨害の排除を請求することができない。
イ 所有の意思をもって平穏かつ公然に他人の物を占有した者が,占有の始めに自分に所有権があると過失なく信じていた場合には,たとえ,その後に自分に所有権がないことを知ったとしても,10年間占有を継続すれば,その物を時効取得する。
ウ 他人の物を賃貸して賃料を受け取っていた者は,その物の所有者に賃料の返還を請求された場合には,自分に本権があると信じていたときでも,これを返還しなければならない。
エ 自分に所有権があると信じて他人の物を占有していた者は,自らの責めに帰すべき事由によってその物を毀損した場合,現に利益を受ける限度で,回復者に損害を賠償すれば足りる。
オ 自分に本権がないことを知りながら,他人の物を占有していた者は,保存のために必要な費用を支出した場合には,回復者に対し,その償還を請求することができない。
1 アイ 2 アウ 3 イエ 4 ウオ 5 エオ
【H09-12】 抵当権に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 債務者が,抵当権の目的物である不動産を毀損したときは,抵当権者は,被担保債権の弁済期の到来前であっても,抵当権を実行することができる。
イ 抵当権の目的物である山林上の立木が,通常の用法を超えて,抵当権者に無断で伐採された場合でも,山林の抵当権者は,立木の搬出の禁止を請求することができない。
ウ 抵当権の登記後に登記された短期賃貸借が抵当権者に損害を及ぼす場合でも,賃貸借契約の当事者に悪意がないときは,裁判所は,賃貸借契約の解除を命じることができない。
エ 第三者が抵当権の目的物である不動産を毀損し,これが不法行為となるときは,抵当権者は,不動産所有者の有する損害賠償請求権に物上代位することができる。
オ 第三者が抵当権の目的物を毀損しても,残存価格が被担保債権の担保として十分であれば,抵当権者は,不法行為として損害賠償を請求することができない。
1 アイ 2 アオ 3 イウ 4 ウエ 5 エオ
【H09-13】 次のアからオまでの記述のうち,「その権利」が目的物の留置権である場合には正しい記述となるが,目的物の引渡債務についての同時履行の抗弁権である場合には誤った記述となるものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 相手方の債務が弁済期にないときは,その権利を主張することができない。
イ 所有者は,相当の担保を提供して,その権利の消滅を請求することができる。
ウ その権利は,その成立後に目的物を譲り受けた者にも主張することができる。
エ その権利が引渡請求に対する抗弁として主張されても,引換給付の判決はされない。
オ その権利に基づき,目的物の競売を申し立てることができる。
1 アイエ 2 アウオ 3 アエオ 4 イウエ 5 イウオ
【H09-14】 次に掲げる事実と命題の組合せである下記のアからオまでのうち,「土地に抵当権を設定した後にその土地の上に設置された庭石に対して抵当権の効力が及ぶ。」との結論を導くことができないものは,後記1から5までのうちどれか。
(事実)
A 庭石は,抵当権の目的物である土地の所有者が,その所有していた物を設置したものである。
B 庭石は,抵当権の目的物である土地を使用する権原のある第三者が,その所有していた物を設置したものである。
P 庭石は,抵当権の目的物である土地から容易に取り外しができる状態にある。
Q 庭石は,抵当権の目的物である土地から取り外すことが困難な状態にあり,かつ,経済的な観点からみると,その土地から分離して独立の取引の対象とすることができない。
(命題)
X 民法370条にいう不動産に附加してこれと一体を成した物とは,民法242条にいう不動産に従としてこれに附合した物(付合物)と同じ範囲の物をいう。
Y 民法370条にいう不動産に附加してこれと一体を成した物とは,付合物と民法87条の従物とを合わせた範囲の物をいう。
ア APX イ APY ウ AQX エ BPY オ BQX
1 アウ 2 アエ 3 イエ 4 イオ 5 ウオ
(参考)
第87条 物ノ所有者カ其物ノ常用ニ供スル為メ自己ノ所有ニ属スル他ノ物ヲ以テ之ニ附属セシメタルトキハ其附属セシメタル物ヲ従物トス
A 従物ハ主物ノ処分ニ随フ
第242条 不動産ノ所有者ハ其不動産ノ従トシテ之ニ附合シタル物ノ所有権ヲ取得ス但権原ニ因リテ其物ヲ附属セシメタル他人ノ権利ヲ妨ケス
第370条 抵当権ハ抵当地ノ上ニ存スル建物ヲ除ク外其目的タル不動産ニ附加シテ之ト一体ヲ成シタル物ニ及フ但設定行為ニ別段ノ定アルトキ及ヒ第424条ノ規定ニ依リ債権者カ債務者ノ行為ヲ取消スコトヲ得ル場合ハ此限ニ在ラス
【H09-15】 即時取得に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 強制競売により,債務者の所有に属さない動産を取得した場合には,即時取得は認められない。
イ 無能力者である所有者から動産を譲り受けた場合には,即時取得は認められない。
ウ 占有の取得が簡易の引渡しによる場合には,即時取得は認めらない。
エ 所有者でない者が伐採した立木をその者から譲り受けた場合には即時取得は認められない。
オ 他人の靴を自分の靴と信じて履いて帰った場合には,即時取得は認められない。
1 アウ 2 アオ 3 イエ 4 イオ 5 ウエ
【H09-16】 「民法177条の第三者には悪意者を含まない。」という見解がある。次のアからオまでの記述のうち,この見解の根拠となるものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 民法177条は,第三者の範囲を限定していない。
イ 登記は取引の安全の確保を目的とするから,これを信頼した者のみが保護されるべきである。
ウ 物権の得喪・変更を第三者に対抗することができるかどうかが問題となるたびに,第三者の善意・悪意が訴訟上争われることになる。
エ 公示の原則は,登記の有無によって画一的に規律することによりその目的を達成することができる。
オ 不動産よりも頻繁に取引が行われる動産の即時取得については,善意が要件とされている。
1 アイ 2 アウ 3 イエ 4 イオ 5 エオ
【H09-17】 甲不動産には,順位1番から3番までの抵当権が設定され(第1順位の抵当権者をA,第2順位の抵当権者をB,第3順位の抵当権者をCとし,Cの抵当権の被担保債権額がAの抵当権の被担保債権額より大きいものとする。),それぞれ登記がされている。この事例において,AがCに対して抵当権の順位を譲渡する場合とAがCのために抵当権の順位を放棄する場合との異同に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 順位の譲渡は1番抵当権の債務者と3番抵当権の債務者が同一でなければすることができないが,順位の放棄はこれらの債務者が異なっていてもすることができる。
2 順位の譲渡であれば,Bの承諾を要するが,順位の放棄であればBの承諾を要しない。
3 登記は,順位の譲渡については効力発生要件であるが,順位の放棄については第三者に対する対抗要件である。
4 Aは,順位の譲渡がされた場合には1番抵当権者として配当を受けることができないが,順位の放棄がされた場合には1番抵当権者として配当を受けることができる。
5 Cが本来受けるべき3番抵当権への配当額については,順位の譲渡がされた場合にはAがCに優先するが,順位の放棄がされた場合にはAとCがそれぞれの債権額に応じて取得する。
【H09-18】 父子関係に関する訴えについての次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 母の婚姻が成立した日から200日後に出生した子について,母の夫が嫡出子出生届をしたときは,その夫は,嫡出否認の訴えを提起することができない。
イ 母の婚姻が成立した日から200日後に出生した子について,母の夫は,母が死亡しているときは,検察官を被告として嫡出否認の訴えを提起することができる。
ウ 母の婚姻が成立した日から200日以内に出生した子の嫡出性に争いがあるときは,母は,父子関係不存在確認の裁判を得ることなく,実父に対して強制認知の訴えを提起することができる。
エ 母について離婚の判決が確定した日から300日以内に出生した子の嫡出性に争いがある場合,母の夫は,長期間の別居の後に離婚したことが判決で認められているときであっても,父子関係不存在確認の訴えを提起することができない。
オ 母の前婚が解消した日から300日以内で,かつ,後婚が成立した日から200日後に出生した子について,前夫又は後夫は,嫡出否認の訴えを提起することができる。
1 アエ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 ウオ
【H09-19】 相続の放棄に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 相続人が,相続財産である不動産の不実の登記名義人に対し,持分権に基づく当該登記の抹消手続請求訴訟を提起したときは,相続の放棄をすることができない。
イ 共同相続人の一人が相続の放棄をしたときは,残りの相続人は,全員が共同してするのであれば,限定承認することができる。
ウ 相続の開始前でも,家庭裁判所の許可を得れば,相続の放棄をすることができる。
エ 被相続人に妻と二人の未成年の子がある場合,妻は,自らが相続放棄をしたときは,子の双方を代理して相続の放棄をすることができる。
オ 相続人となった債務者が債権者を害する目的で相続の放棄をしたときは,債権者は,その相続の放棄を詐害行為として取り消すことができる。
1 アウ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 エオ
【H09-20】 A男は,B男の実子であるが,まずC男の普通養子となり,次いでC男と離縁せずにD男の普通養子となった。この場合に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア A男が未成年者である場合,A男は,D男の親権には服するが,B男及びC男の親権には服しない。
イ A男は,B男及びD男に対しては扶養義務を負うが,C男に対しては扶養義務を負わない。
ウ A男は,D男の氏を称し,B男又はC男の氏を称することはない。
エ A男が子なくして死亡した場合,B男及びD男はA男の相続人となるが,C男はA男の相続人とはならない。
オ A男が15歳未満である場合,A男とD男との協議離縁について,C男は代諾権者となるが,B男は代諾権者とはならない。
1 アイエ 2 アウオ 3 アエオ 4 イウエ 5 イウオ
【H09-21】 Aを被相続人とし,Bを唯一の相続人とする相続に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア AがCD間の継続的取引によりDがCに負担すべき将来の債務について,連帯して保証することになっていた場合,その責任の限度額及び保証期間が定められていなかったときは,Aの死亡前にDの負担した債務について,Bは,Cに対する保証債務を負わない。
イ Bが,権限がないのに,Aの代理人としてA所有の土地をCに売り渡した後にAが死亡した場合,Bは,Cに対する当該土地の所有権移転登記の申請義務を負わない。
ウ AがCに不動産売買の仲介を委託した場合において,Cが仲介を完了する前にAが死亡したときは,Cがその後に仲介を完了させたとしても,Bは,Cに対する報酬支払義務を負わない。
エ Aが不法行為によりCに精神的苦痛を与えた場合,Cが慰謝料請求の意思を具体的に表示する前にAが死亡したときは,Bは,Cに対する慰謝料の支払義務を負わない。
オ Aが親族Cに対する扶養義務の履行として,Cとの協議により,毎月一定額の生活費を支払うことになっていた場合,Aの死亡時以降の生活費について,Bは,Cに対する支払義務を負わない。
1 アウ 2 アエ 3 イエ 4 イオ 5 ウオ
【H09-22】 A女は,婚姻関係にないB男との間に子Cをもうけたが,B男はCを認知していない。その後,A女はD男と婚姻し,D男との間に子Eをもうけた。この場合の法律関係に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 Cが未成年者である場合,D男がCを養子とするには,A女とともにすることを要しない。
2 Cが未成年者である場合,D男がCを養子とするには,家庭裁判所の許可を得なければならない。
3 Cが幼少の時に死亡した場合,B男は,A女の承諾を得れば,Cを認知することができる。
4 CとEの間には,互いに扶養する法律上の義務はない。
5 CがA女とD男の特別養子となった場合,B男は,Cを認知することができない。