【H04-01】 債務不履行の損害賠償と不法行為の損害賠償についての差異に関する次の記述中,判例の趣旨に照らして,正しいものはどれか。
1 債務不履行による損害賠償の範囲は,債務不履行により通常生ずべき損害に限られないが,不法行為による損害賠償の範囲は,不法行為により通常生ずべき損害に限られる。
2 債務者は,債務不履行による損害賠償債務を相殺により消滅させることができるが,加害者は,不法行為による損害賠償債務を相殺により消滅させることはできない。
3 債務不履行による損害賠償の額は金銭によって定められるが,不法行為による損害賠償の額は金銭に限られない。
4 裁判所はいずれの損害賠償においても,責任の有無及び損害賠償の額を算定するには,債権者又は被害者の過失を斟酌しなければならない。
5 いずれの損害賠償についても,債務者又は加害者は常に不可抗力を主張して,その責任を免れることができる。
【H04-02】 委任による代理人が復代理人を選任する場合に関する次の記述中,正しいものはいくつあるか。
ア 代理人はやむを得ない事由があるときは,本人の許諾を得なくても,復代理人を選任することができる。
イ 復代理人が代理行為をするに当たっては,代理人のためにすることを示さなければ,代理行為としての効力を生じない。
ウ 代理人が復代理人を選任した場合には,代理人は代理行為を行うことができない。
エ 代理人は,本人の許諾を得て復代理人を選任した場合でも,その選任及び監督について本人に対して責任を負う。
オ 復代理人の代理権は,代理人の代理権が消滅しても消滅しない。
1 1 2 2 3 3 4 4 5 5
【H04-03】 瑕疵担保責任に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 贈与者は,贈与の目的物に瑕疵があることを知りながら,これを受贈者に告げなかったときでも,担保責任を負わない。
2 他人の権利を売買の目的とした場合,売主が権利を取得して買主に移転することができなかったときには,買主が善意であった場合に限り,買主は契約の解除をすることができる。
3 協議による共有物分割によって取得した物に隠れた瑕疵がある場合,その物の取得者は他の共有者に対し損害賠償の請求をすることができるが,分割協議を解除することはできない。
4 請負契約において,仕事の目的物に瑕疵があり契約をした目的を達することができない場合でも,仕事の目的物が建物である場合は,注文者は契約の解除をすることができない。
5 不特定物を遺贈の目的物とした場合,目的物に瑕疵があっても,遺贈義務者は瑕疵がない物に代えることを要しない。
【H04-04】 A,B及びCは,Dに対し連帯して,金1,000万円の貸金債務を負っている。そして,それぞれの負担部分が,A及びBは500万円,Cはゼロである。この場合に関する次の記述中,正しいものはいくつあるか。
ア CがDに対して債務の承認をしても,DのA及びBに対する債権の消滅時効は中断しない。
イ DがCに対して債務の履行を請求しても,DのA及びBに対する債権の消滅時効は中断しない。
ウ DのA及びBに対する債権が時効により消滅した場合でも,Cは債務の全額を弁済しなければならない。
エ DがAに対して債務の全額を免除した場合でも,CはDからの債務の全額の請求に応じなければならない。
1 0 2 1 3 2 4 3 5 4
【H04-05】 指名債権の譲渡に関する次の記述中,判例の趣旨に照らし,正しいものはどれか。
1 指名債権に,一定の範囲内の者以外の者に譲渡することはできないとする旨の制限をすることはできない。
2 譲渡禁止特約付債権を差し押さえることはできない。
3 保証人により債務が弁済された場合,債権者が主たる債務者に通知をするか,主たる債務者が承諾しないときは,保証人は,主たる債務者に対しては求償することができるが,債権者に代わって担保権を実行することはできない。
4 AのBに対する指名債権がAからC,AからDへと二重に譲渡され,ともに確定日付ある通知がなされた場合,その優劣は,確定日付の先後によって決する。
5 指名債権の譲渡を第三者に対する対抗要件としての債務者の承諾は,債権の譲受人・譲渡人のいずれに対するものであってもよい。
【H04-06】 同時履行の抗弁権に関する次の記述中,判例の趣旨に照らし,誤っているものはどれか。
1 同時履行の抗弁権は,解除又は取消しによる原状回復義務についても認められる。
2 同時履行の抗弁権の付いている債権を自働債権として相殺するには,自己の債務の履行の提供をしなければならない。
3 同時履行の抗弁権を有する債務者が履行期を徒過した場合には,債権者は自己の反対債務の履行の提供をしないと解除をすることはできないが,損害賠償を請求することはできる。
4 同時履行の抗弁権の付いている債権が,反対債務と離れて第三者に譲渡された場合でも,同時履行の抗弁権は消滅しない。
5 同時履行の抗弁権の付いている債権であっても,履行期が到来すれば債権の消滅時効は進行する。
【H04-07】 追認に関する次の記述中,判例の趣旨に照らして正しいものを選んだ場合,その組合せとして適切なものは1から5までのうちどれか。
ア Aが未成年者Bに対して建物を売却し,Bが成年に達した後,AがBに対し相当の期間を定めて催告したが,Bがその期間内に確答を発しなかったときは,Bは追認したものとみなされる。
イ Aが準禁治産者Bに対し金銭を貸し付け,Bの準禁治産宣告が取り消されたその後,Bが新たに担保を提供したときは,Bは追認したものとみなされる。
ウ AがBから代理権を与えられていないにもかかわらず,Bの代理人と称してCにB所有の不動産を売却した後,CがBに対して追認するよう催告したが,Bが確答を発しないときは,追認したものとみなされる。
エ Aの詐欺により,BがAから旧式の小型乗用車を高額で買い受けたが,Bがその詐欺に気づかないままそれをCに譲渡したときは,追認したものとみなされる。
オ Aの子Bが,Aから代理権を与えられていないにもかかわらず,Aの代理人としてCとの間で土地売買契約を締結した場合,その後Aが死亡し,Bが相続人となったときは,Bは追認を拒絶することができる。
1 アイ 2 アウ 3 イエ 4 ウオ 5 エオ
【H04-08】 短期賃貸借に関する次の記述中,判例の趣旨に照らし,正しいものの組合せを選んだ場合,適切なものはどれか。
ア 宅地に抵当権設定後,当該宅地に期間30年の約定で賃借権が設定された場合,抵当権の実行が5年を経過する前になされたときでも,賃借人は買受人からの土地明渡請求に応じなければならない。
イ 宅地に抵当権設定後,当該宅地に期間5年の約定で賃借権が設定された場合,当該賃借人は,登記等の対抗要件を備えていなくても,賃借権をもって抵当権実行による買受人に対抗することができる。
ウ 宅地に抵当権設定後,当該宅地に期間5年の約定で賃借権が設定された場合,当該賃借権が抵当権者に損害を及ぼすときでも,賃借人が賃貸借契約時に損害を及ぼすことを知らなかったときは,抵当権者は裁判所に解除の請求をすることができない。
エ 宅地に抵当権設定後,当該宅地に期間30年の約定で賃借権が設定された場合,賃借人は,抵当権者が承諾した金額を払い渡し又は供託しても,抵当権を消滅させることはできない。
オ 宅地に抵当権設定後,当該宅地に期間5年の約定で賃借権が設定された場合,当該賃借権が抵当権者に損害を及ぼすときでも,抵当権者は被担保債権の弁済期が到来するまでは,裁判所に解除の請求をすることができない。
1 アウ 2 アエ 3 イエ 4 イオ 5 ウオ
【H04-09】 担保権の消滅に関する次の記述中,判例の趣旨に照らし,誤っているものはどれか。
1 留置権の目的物をその所有者が留置権者に無断で持ち出した場合でも留置権者が占有回収の訴えを提起したときは,留置権は消滅しない。
2 債務者は,相当の担保を提供して留置権の消滅を請求することができる。
3 先取特権の目的である土地の所有権を取得した者は,先取特権者に提供して承諾を得た金額を払い渡し又はこれを供託して先取特権を消滅させることができる。
4 債務者は,被担保債権の消滅時効とは別に,抵当権自体の時効による消滅を主張することができる。
5 譲渡担保の目的である印刷機を設定者が第三者に譲渡した場合であっても,当該第三者に対し占有改定により引き渡したときは,譲渡担保権は消滅しない。
【H04-10】 所有権の移転時期に関する次の記述中,判例の趣旨に照らし,誤っているものはいくつあるか。
ア 不動産の時効取得の場合は,その登記をした時に,その所有権が時効取得者に帰属する。
イ 当事者間で合意した代物弁済の目的物の所有権移転時期が経過しただけでは,代物弁済の効果は生じない。
ウ 第三者が所有する物の売買においては,他人の物の売買であることが契約において明示されているかどうかにかかわらず,その所有権は売買契約の成立時には買主に移転しない。
エ 売買の目的物が動産である場合には,その所有権が買主に移転するのは,その引渡しの時である。
オ 買主が売買代金の支払の提供をするまでは,売買の目的物の所有権は,買主に移転しない。
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【H04-11】 A及びBは,甲建物を共有しているが,その持分は,Aが3分の2,Bが3分の1である。この事例に関する次の記述中,判例の趣旨に照らし,誤っているものはいくつあるか。
ア A及びBが甲建物を第三者に賃貸している場合には,Aは単独で契約を解除できない。
イ 甲建物の使用方法が定まっていない場合において,Bが単独でこれを占有しているときは,Aは当然に明渡しを求めることができる。
ウ 第三者が,甲建物を不法に占有している場合には,Bは単独で,その明渡しを求めることができる。
エ A・B間で,甲建物の分割協議が調わない場合には,Aは裁判所に分割を請求することができるが,Bは請求することができない。
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【H04-12】 A及びBは,甲土地を共有しているが,隣接する乙土地の所有者Cとの間に,甲土地の利用のために乙土地を通行する旨の地役権設定契約を締結した。この事例に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 AがCとの間で,甲土地に対する自己の持分について地役権設定契約を解除する旨合意しても,その合意は,効力を生じない。
2 Aが甲土地に対する自己の持分をCに譲渡したときは,Cの持分についての通行地役権は,混同により消滅する。
3 地役権設定契約締結に際し,地役権は要役地の所有権とともに移転しない旨の特約をした場合において,Aが甲土地に対する自己の持分をDに譲渡したときは,その特約について登記がなくても,CはDの地役権の行使を拒むことができる。
4 AがDに対する債務を担保するために,甲土地に対する自己の持分に抵当権を設定した場合において,その抵当権が実行されたときは,その持分の買受人Eは,Cの承諾なくして,乙土地の地役権を行使できない。
5 Aが甲土地に対する自己の持分を留保したまま,乙土地についての地役権のみをDに譲渡した場合であっても,CはDの地役権の行使を拒むことはできない。
【H04-13】 Aは,その所有する不動産につき,債権者Bとの間で抵当権設定契約を締結したが,その登記をしないうちに,この不動産をCに売却して所有権移転の登記をした。この事例に関する次の記述中,正しいものはいくつあるか。
ア Bは,AのCに対する売買代金請求権を差し押さえて,これに対し抵当権を行使することができる。
イ Cは,Bの抵当権が存在することを理由に,Aに対して売買代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。
ウ A・C間の売買契約が無効である場合でも,Bは,Aに代位してCに対し所有権移転の登記の抹消を請求することができない。
エ A・C間の売買契約と同時に買戻しの特約がされている場合でも,BはAに代位して買戻権を行使することはできない。
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【H04-14】 甲不動産を所有していたAが死亡し,B及びCがその共同相続人である場合における次の記述中,判例の趣旨に照らし,正しいものはいくつあるか。
ア Bが甲不動産につき単独相続の登記をした上,その後これをDに売り渡して所有権移転の登記をした場合には,CはDに対して自己の持分を主張することができない。
イ Bが相続を放棄したが,その後Bの債権者Dが,Bに代位して甲不動産につきB・C共同相続の登記をした上,Bの持分につき差押えの登記をした場合には,Cは,Dに対して自己が単独の所有者であることを主張することができない。
ウ 甲不動産は,B・C間の遺産分割協議によりCの単独所有に帰したが,Cが相続登記をする前に,BがこれをDに売り渡して所有権移転の登記を経由した場合には,CはDに対して自己が単独の所有者であることを主張することができない。
エ Aは,その生前に甲不動産をDに売り渡したが,その登記をしない間に死亡したところ,B・C両名が共同相続の登記をした上,これをEに売り渡して所有権移転の登記をした場合には,Dは,Eに対して自己の所有権を主張することができない。
1 0 2 1 3 2 4 3 5 4
【H04-15】 不動産の物権変動と登記に関する次の記述中,判例の趣旨に照らし,正しいものの組合せは後記1から5までのうちどれか。
ア Aはその所有の土地をBに売却し,所有権移転登記後に,Bの詐欺を理由として売却の意思表示を取り消したにもかかわらず,Bがその土地をCに転売し,その所有権移転登記をした場合でも,Aは土地の所有権をCに主張することができる。
イ Aがその所有する土地をBに売却した後,Bがこの土地をCに転売した場合において,AB間の契約が錯誤により無効であるときには,Cへの所有権移転登記がされても,Aはその所有権をCに主張することができる。
ウ Aがその所有する土地をBに売り渡した後に,その売買契約を解除したにもかかわらず,その後にBがその土地をCに転売した場合においては,解除がBの債務不履行を理由としてAが一方的にしたものであっても,AとBの合意によるものであっても,Cへの所有権移転の登記がされていれば,Aは自己の所有権をCに主張することはできない。
エ Aがその所有する土地をBに売却したが,その登記がされない間に,Aの債権者Cがその土地に仮差押えをした場合であっても,Cが一般債権者にすぎないときは,Bは土地の所有権をCに主張することができる。
オ Aが所有する土地を,Bが所有の意思をもって,平穏かつ公然に占有しつつ20年が経過した場合において,20年が経過する前にAがその土地をCに売却していたときは,Cへの所有権移転の登記がされたのが,20年を経過後であっても,Bは土地の所有権をCに主張することができる。
1 アイウ 2 アウエ 3 イウオ 4 イエオ 5 ウエオ
【H04-16】 AとBの婚姻中に,BとCが婚姻した場合の婚姻の取消しに関する次の記述中,判例の趣旨に照らして,誤っているものはいくつあるか。
ア A及びCは,後婚の取消しを請求することができるが,Bは請求することはできない。
イ Cの親族は後婚の取消しを請求することができるが,Aの親族は請求することができない。
ウ Bが死亡した後,検察官は後婚の取消しを請求することはできない。
エ Bが死亡した後であっても,Aは後婚の取消しを請求することができる。
オ BとCが離婚した後は,特段の事情のない限り,Aは後婚の取消しを請求することはできない。
1 1 2 2 3 3 4 4 5 5
【H04-17】 「立木ニ関スル法律」の適用のない立木の所有権移転に関する次の記述中,判例の趣旨に照らし,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア AがBに立木を売り渡したにもかかわらず,後にCに立木所有権を含むものとして土地を売り渡した場合には,BがCへの所有権移転の登記がされるよりも前に立木の明認方法を施したとしても,BはCに対して立木の所有権を対抗できない。
イ AがBに立木とともに土地を売り渡し,Bは立木のみに明認方法を施した。その後,AがCに立木所有権を含むものとして土地を売り渡し,移転登記を了した場合には,BはCに立木の所有権を対抗できない。
ウ AがBに土地の所有権を売り渡し,Bは未登記のまま自ら植栽し,AがCに土地とともに立木を売り渡し所有権移転登記を経た場合には,BはCに立木の所有権を対抗できない。
エ Aが立木所有権を留保して土地のみをBに譲渡したが,立木につき明認方法を施さないでいるうちに,BがCに土地とともに立木を売り渡し,Cへの所有権移転登記がされた場合には,AはCに対して立木所有権を主張することができない。
オ AがBに立木を売り渡し,明認方法を施したがその後消失した。その後AがCに立木を売り渡し,明認方法を施した場合には,BはCに立木を対抗できる。
1 アエ 2 アオ 3 エオ 4 イウエ 5 ウエオ
【H04-18】 自筆遺言証書について,判例の趣旨に照らし,正しいものはどれか。
1 自筆遺言証書が数葉にわたった場合,すべてに契印がないときは,遺言は無効となる。
2 自筆遺言証書の日付について年月しか記載がないが,他の文書によって作成の日が特定できた場合は,遺言は無効ではない。
3 自筆遺言証書の押印が指印となっていた場合,遺言は無効である。
4 自筆遺言証書に氏又は名のみが記載されていた場合,遺言は無効である。
5 自筆遺言証書を訂正した場合,その訂正箇所に署名がなされていても,押印がなければ遺言は無効である。
【H04-19】 抵当権の効力に関する次の記述中,判例の趣旨に照らし,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 土地所有者が更地に抵当権を設定した後に,その土地の上に建物を築造した場合には,抵当権者は,建物の築造を承諾していたか否かにかかわらず,土地とともに建物を競売することができる。
イ 建物所有者が建物に抵当権を設定した後に,建物が朽廃したため新たに建物を築造した場合には,抵当権の効力は,新たに築造した建物に及ぶ。
ウ 樹木の所有を目的とする地上権が設定され,その登記がされた土地に抵当権を設定した場合には,抵当権の効力は,抵当権が設定された後に,地上権者が植えた樹木にのみ及び,その設定前に地上権者が植えた樹木には及ばない。
エ 土地所有者が建物を築造した後に,土地に抵当権を設定した場合においてその建物が第三者に賃貸されたときは,抵当権者は,自己に損害を及ぼすものとしてその賃貸借契約を解除することができる。
オ 土地所有者が土地を賃貸し,賃借人が建物を築造してこれに抵当権を設定した場合において,その後土地所有者が賃借人からこの建物を買い受けたときは,抵当権が実行されても,買受人は,地上権を取得しない。
1 アイ 2 アオ 3 イウ 4 ウエ 5 エオ
【H04-20】 次の文章中の[ ]に,アからエまでのうちから適切なものを選んで入れると,相続が自主占有のための新権原に含まれるか否かの問題についての記述となる。その組合せの順番として最も適切なものは,後記1から5までのうちどれか。
「かつての判例は,[ ]ことを理由に相続は新権原に含まれないとしていた。もちろん,[ ]。しかし,[ ]。また,実質的にみると[ ]。そこで,判例は態度を改めるに至った。」
ア 相続人が現実に所持するようになったときには,相続人は,一方において被相続人の占有を承継するとともに,他方において相続を契機とする固有の占有を取得する
イ 最初の占有者に所有の意思がない場合には,相続人は,いつまでも時効取得することができないというのは,特定承継人が途中に入れば時効取得をすることができることと対比すると均衡を失する
ウ 相続による占有の承継は,特定承継のように承継人が独自の立場で占有を取得するものではなく,被相続人と法律上同一の地位にある者の承継である
エ 相続による占有の承継があっても,相続人に現実の所持がないときには,被相続人の占有の性質が相続人のもとで変化すると考える余地はない
1 ア ウ イ エ
2 ア イ ウ エ
3 ウ エ ア イ
4 ウ エ イ ア
5 エ ウ イ ア
【H04-21】 父性の推定に関する次の記述中,判例の趣旨に照らし,正しいものはいくつあるか。
ア 内縁の成立の日から200日後,又は解消の日から300日以内に出生した子については,内縁の夫の子と事実上推定される。
イ 内縁中に懐胎し,婚姻した後で出生した子は,嫡出子の身分を取得するが,出生の日が婚姻後200日以内である場合には,親子関係不存在確認の訴えにより,父子関係を否定することができる。
ウ 内縁の成立の日から200日後に出生した子が,内縁の夫に対して親子関係存在確認の訴えを提起した場合には,内縁の夫が父性の推定を覆すに足りるだけの反証を挙げなければ,親子関係存在確認請求は認容される。
エ 内縁の成立の日から200日後に出生した子が,内縁の夫である父の死亡後に認知の訴えを提起する場合であっても,父の死亡の日から3年を経過しているときは,認知の訴えを提起することができない。
1 0 2 1 3 2 4 3 5 4
【H04-22】 「共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合において,相続人の一人が他の相続人に対して右協議において負担した債務を履行しないときは,他の相続人は,民法541条によって右遺産分割協議を解除することができるか」という問題に関する次の記述中,これを否定する立場に属するものの組合せとして最も適切なものは,後記1から5までのうちどれか。
ア 遺産分割は,遡及効を有するから,遺産の再分割が余儀なくされると法的安定性を害する。
イ 解除にも遺産分割にも第三者保護規定があり,また,相続人から動産を譲り受けた第三者は,民法192条の即時取得の規定によって保護される。
ウ 遺産分割はその協議の成立とともに終了し,その後は右協議において債務を負担した相続人とその者に債権を取得した相続人間の債権債務関係が残るのみである。
エ 契約解除制度の趣旨は,相手方が債務を履行しない場合に,債権者が自己の債務にいつまでも拘束されることから開放し,新たな取引先を求めることを可能にすることにある。
オ 相続人が財産を取得する代わりに親の世話をするという内容の遺産分割協議がなされることがあるが,親の世話をするという債務は,強制履行に親しまない性質のものである。
1 アイウ 2 アウエ 3 イウオ 4 イエオ 5 ウエオ
【H04-23】 相続の承認又は放棄に関する次の記述中,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1 相続の承認又は放棄の3か月の熟慮期間の起算時は,相続人が被相続人の死亡の事実を知ったのみでなく,自己のために相続の開始があったことを知った時である。
2 遺留分減殺請求権の1年の短期消滅時効の起算時は,遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時である。
3 相続回復請求権の5年の短期消滅時効の起算時は,相続人又はその法定代理人が相続権の侵害の事実を知った時である。
4 相続の承認又は放棄の3か月の熟慮期間の起算時は,相続人が相続財産が全く存在しないと信じて,そう信じるについて相当の理由がある場合には,相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時,又は,通常認識することができるであろう時である。
5 相続回復請求権の20年の消滅時効の起算時は,相続人が被相続人の死亡の事実を知った時であり,自己に相続が開始したことを知る必要はない。