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司法書士試験・本試験問題
(平成2年・民法)


【H02-01】 社団法人の定款に,次のアからオまでの内容の定めをした。このうちその効力が認められないものを選んだ場合に,その組合せとして正しいものは1から5までのうちどれか。
ア 社員の表決権に差を付けること
イ 理事が代理権を委任することはできないとすること
ウ 定款変更するには理事全員の決議によりすることができるものとすること
エ 残余財産の帰属権利者を具体的に指定するのでなく,指定する方法を定めること
オ 理事がその職務を行うにつき不法行為を行った場合でも,法人に過失があった場合でなければ法人の責任はないものとすること
1 ア,ウ,オ
2 ア,イ,エ
3 イ,ウ,エ
4 イ,オ
5 ウ,オ


【H02-02】 XがYから甲土地に関して所有権移転を受けたが登記未了の場合,ZがXの「登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する第三者」に該当するものはいくつあるか。
ア ZがYとの通謀虚偽表示により甲土地について所有権移転登記を受けた場合
イ ZがYに対する貸金債権回収のため,甲土地を正当な権原なしに占有している場合
ウ XがYから買い受けるに先立ち,Zが20年間占有していたことにより甲土地を時効取得していた場合
エ ZがYに対する貸金債権に基づき甲土地を差し押さえ,その登記をした場合
オ ZがYの被相続人から甲土地を遺贈されたがその所有権移転登記を受けていない場合
カ ZがYに甲土地を売り渡したが,いまだに登記名義を有している場合
1 0    2 1    3 2    4 3    5 4


【H02-03】 債務の履行に関する次のアからオまでの記述中,正しいものを選んだ場合,正しい組合せはどれか。
ア 特定物を給付すべき債務については,債務者は債権者に対し弁済の準備ができたことを通知して受領を催告すれば債務不履行の責めを負わない。
イ 不特定物を給付すべき債務については,債務者が債権者に債務の本旨に従った提供をした後にその物が滅失した場合であっても債務者は滅失の原因によっては債務不履行の責任を負う。
ウ 金銭を給付すべき債務で金銭を外国通貨で表示してあるものは,債務者は履行地における通貨により履行地における為替相場で換算した額を提供しなければならない。
エ 不特定物を給付すべき債務について,目的物の品質の定めがない場合,権利者が品質を定めるべきであるが,弁済期経過後,債務者が相当の期間を定めて催告したにもかかわらず,権利者が決めないとき債務者が決定することができる。
オ 特定物を給付すべき債務については,引渡しの時までに目的物を毀損しても弁済のための引渡しをするには債権者はそのままの状態で,目的物を提供すれば足りる。
1 ア,イ,エ
2 ア,エ,オ
3 イ,ウ,オ
4 イ,オ
5 ウ,オ


【H02-04】 物権の消滅に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 要益地が数人の共有にかかわる場合,共有者の一人が地役権を行使して消滅時効を中断したときは,他の共有者の時効も中断する。
2 地役権者がその権利の一部に関して地役権を行使すれば,権利を行使していない部分についても時効により消滅しない。
3 債務者の承諾なくして留置権者が勝手に留置物を賃貸した場合,留置権は消滅する。
4 A所有の動産とB所有の動産とが付合して分離不能となった場合には,B所有の動産が主たる動産であるときでも,A所有の動産に設定された質権は合成物上に存する。
5 占有権は占有物の所持を失うことにより消滅するが,占有者が占有回収の訴えにより勝訴すれば,占有権を勝訴の時から再び取得する。


【H02-05】 AはBに対して,BはCに対してそれぞれ債権を有している場合についての債権者代位権に関する次の記述中誤っているものはどれか。なお,いずれの債権も履行期が到来しているものとする。
1 Aの債権及びBの債権ともに金銭債権である場合,Bの債権額がAの債権額を上回っていても,Aが代位行使することができるのは,自己の債権額の範囲内に限られる。
2 Aの債権及びBの債権がともに金銭債権である場合,AはCに直接に金銭の交付を請求することができない。
3 Aは代位権を裁判上でも裁判外でも行使することができる。
4 AがCに代位権を行使して請求したときは,Bの債権の消滅時効は中断する。
5 不動産をCがBに対して通謀虚偽表示により贈与した後,Bが善意のAに売却した場合,AがBを代位してCに所有権移転の登記を請求したときは,CはAに対して通謀虚偽表示による無効を主張することはできない。


【H02-06】 甲には妻乙との間の子丙があり,丙には妻丁と丁との間の子戊がいる。甲の死亡により相続が開始した場合に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 甲の死亡前に乙丙戊が死亡していた場合,丁は甲の相続人となる。
2 丙が相続を放棄した場合,戊は甲の相続人とならない。
3 丙が推定相続人の廃除をされている場合,戊は甲の相続人につき遺留分減殺請求権を行使できない。
4 甲と丙が同時死亡の推定を受けている場合,戊は甲の相続人とならない。
5 丙が相続の承認,放棄しないで死亡した場合,戊は丙が死亡した時から3月以内に甲からの相続について,承認又は放棄をしなければならない。


【H02-07】 売買契約の解除に関する次の記述中,誤っているものはどれか。
1 他人の権利を売買の目的とした場合には,売主は,契約の当時売却した権利が自己に属しないことを知らなかったときでも,契約を解除することができない。
2 売買契約につき買主の資金不足により代金支払債務の履行ができなくなった場合には,売主は催告をしなければ解除できない。
3 甲から乙,乙から丙に土地が売却され,丙に所有権移転の登記がされている場合,甲は乙の代金不払を理由として契約を解除したとしても,丙に土地の引渡しを請求することができない。
4 自動車の売買契約において,買主甲が売主乙に,代金の一部の支払に代えて丙から買い受けた自己所有の中古車を引き渡すことを約したが,その中古車の引渡しが不能となった場合でも,乙は直ちに契約を解除することはできない。
5 買主が数人ある売買契約において,買主の一人が解除権を放棄したときは,他の買主は,契約を解除することができなくなる。


【H02-08】 不動産質権に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 不動産質権者は,質権設定者の承諾を得なければ,目的不動産を他人に賃貸することができない。
2 不動産質権が成立するには,原則として不動産の引渡しが必要であるが,不動産質権設定の登記をすれば,引渡しは不要である。
3 不動産質権者は,質権設定者の承諾を得なければ,目的不動産を転質することができない。
4 不動産質権は,占有改定により,不動産の引渡しを受けた場合でも,その効力を生ずる。
5 不動産質権者は特約がない限り,被担保債権の利息を請求することができない。


【H02-09】 次のアからオまでの記述中,姻族関係終了の意思表示と死後離縁の双方に当てはまるものを選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちでどれか。
ア その行為は戸籍の届出をすることによって効力を生ずる。
イ その行為によって,死者の親族との親族関係が終了する。
ウ その行為をするには,家庭裁判所の許可を要しない。
エ その行為により,行為者の氏の変更を来すことがない。
オ その行為の効果は,死者の死亡の時にさかのぼる。
1 ア,イ
2 イ,エ
3 ウ,オ
4 ア,ウ,オ
5 イ,エ,オ


【H02-10】 債権者取消権に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 被保全債権を詐害行為の後に譲り受けた場合には,債権者取消権を行使することができない。
2 目的物の処分に際して債権者を害することを受益者が知らなかった場合でも,知らなかったことに過失があるときは,債権者取消権を行使することができる。
3 被保全債権につき資力のある連帯保証人がいる場合には,債権者取消権を行使することができない。
4 債務者が第三者に贈与をしたことにより無資力となれば,その後に資力を回復しても,債権者取消権を行使することができる。
5 被保全債権の全額を担保するため目的不動産につき抵当権を有し,その登記を経ている債権者は,債権者取消権を行使することができない。


【H02-11】 受領遅滞の法的性質は,債務者の責任を軽減するために法律が特に認めた責任であるとする見解がある。次の記述中,この見解によっては説明し難いものはどれか。
1 債務の履行を受けることは,債権者の権利であって義務ではない。
2 受領遅滞の効果は,債務者が債権者に弁済の提供をした効果に限られる。
3 受領遅滞により債務者に損害が生じても債権者は賠償責任を負わない。
4 債務者は,受領遅滞を理由に契約を解除することができない。
5 受領遅滞が成立するためには,債権者の責めに帰すべき事由により受領を拒絶されたことが必要である。


【H02-12】 次の記述中,普通養子縁組と特別養子縁組との双方に当てはまるものはどれか。
1 縁組は,戸籍の届出をすることによって,その効力を生ずる。
2 実親は,養子を認知することができない。
3 養親となる者は,その配偶者が意思を表示することができないときは,単独で縁組をすることができる。
4 養子は,養親の実子と婚姻することができる。
5 配偶者のない者でも養親となることができる。


【H02-13】 根抵当権について正しいものはどれか。
1 元本の確定期日について登記をしないときは,確定期日を定めなかったとみなされる。
2 極度額の減少は根抵当権者と設定者のみですることができ,第三者の承諾は不要である。
3 元本の確定前に根抵当権者に合併があった場合,設定者は元本の確定請求することができる。
4 根抵当権の共有者の一人について被担保債権の範囲を変更する場合,その共有人と設定者ですることができる。
5 被担保債権の範囲を変更する場合,後順位抵当権者の承諾が必要である。


【H02-14】 甲乙夫妻の子丙(18歳)が丁から50万円借金して,大学の入学金の支払に充てた。この事例に関する次の記述のうち,誤っているものの組合せとして正しいものは後記1から5のうちどれか。
ア 丙は甲乙の同意を得なければ消費貸借契約を取り消すことができない。
イ 丙は甲乙の同意を得て消費貸借契約を追認することができる。
ウ 丁が消費貸借契約を締結して1週間後に,丙に対して,1か月内に当該契約を追認するか否かを確答すべき旨を催告したにもかかわらず,1か月経過後も丙から何らの返答もなかった場合は,追認したものとみなされる。
エ 丙が未成年を理由に消費貸借契約を取り消した場合,丙は丁に対して50万円を返還しなければならない。
オ 丁が第三者の言葉により丙を成年者と信用していた場合,丙は未成年を理由に消費貸借契約を取り消すことはできない。
1 ア,エ
2 イ,オ
3 ア,ウ,オ
4 ア,イ,エ
5 ウ,エ,オ


【H02-15】 同一不動産について,甲が1番抵当権,乙が2番抵当権,丙が3番抵当権を有している。この場合において次のA・B・Cの事実があった場合,正しい記述の組合せとして正しいものは後記1から5のうちどれか。
A 甲は丙に抵当権の順位譲渡をしている。
B 甲は丙に抵当権の順位放棄をしている。
C 甲と丙は抵当権の順位変更をしている。
ア A及びBの場合において,この抵当権の処分の効力を被担保債権の債務者に主張するには,債務者への通知又は承諾が必要である。
イ A及びBの場合においては乙の承諾は不要であるが,Cの場合には乙の承諾が必要である。
ウ Cの場合には,丙の被担保債権の差押債権者の承諾が必要である。
エ A及びBの場合には,この抵当権の処分の効力を設定者に主張するためには登記は必要ないが,設定者への通知又は承諾が必要である。
オ Cの場合,抵当権の順位変更の効力を被担保債権の債務者に主張するためには,登記も債務者への通知・承諾も不要である。
1 ア,イ
2 ア,オ
3 ア,エ,オ
4 イ,ウ,エ
5 ウ,エ,オ


【H02-16】 条件に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 停止条件付法律行為について条件が成就した場合,初めから効力を有していたものとみなされる。
2 相殺の意思表示に,条件を付すことができる。
3 条件成就により不利益を受ける当事者が故意に成就を妨げた場合,第三者は条件を成就したものとみなすことができる。
4 不法行為をしないことを停止条件とする法律行為は,無効である。
5 法律行為の当時,停止条件の不成就が既に確定していた場合に,当事者がそれを知らなかったときは,無条件の法律行為となる。


【H02-17】 用益権の存続期間につき,次のうち誤りはどれか。
1 電柱の所有を目的とする地上権を設定する場合,存続期間を100年と定めることはできる。
2 駐車を目的として土地を賃借する場合は,存続期間を1週間と定めることができる。
3 (借地借家法施行前)木造家屋を所有する目的で土地を賃借する場合に,存続期間を10年と定めたときは,その定めは無効であり存続期間は30年となる。
4 資材置場とすることを目的として土地を賃借する場合に,存続期間を30年と定めたときは,その定めは無効であり存続期間は20年となる。
5 ビルの1室を事務所として賃借した場合,存続期間を半年と定めたときはその定めは無効であり存続期間は1年とされる。


【H02-18】 次の記述中,判例の趣旨に照らし,誤っているものはどれか。
1 18歳の父は,法定代理人の同意を得ることなしに,子を認知した場合には,これを取り消すことができる。
2 特別代理人を選任することなしに,父と母が共同して親権を行使し,父の債務につき子を保証人とした場合には,子が行為能力を取得した後に,これを追認すれば,保証契約は有効となる。
3 無権代理人の地位を本人が相続した場合,本人は無権代理行為の追認を拒絶することができる。
4 事実上の夫婦の一方が他方に無断で婚姻の届出をした場合において,他方が追認すれば,婚姻届出の時にさかのぼって効力を生ずる。
5 詐欺により婚姻をした者は,追認をしたときには,婚姻の取消しを請求することができない。


【H02-19】 次のアからオまでの記述のうち,正しいものはいくつあるか。
ア 甲が所有者乙から宝石を盗み出し,善意無過失の第三者に売却して引き渡した場合であっても,原則として乙は盗難の時から2年間は宝石の所有権を失わないが,丙が古物商であるときは,所有権を失う。
イ 鉄材の買主甲が,代金未納のまま売主乙からその鉄材の引渡しを受け,倉庫業者に保管を委託し,引き渡した場合には,乙は,当該鉄材を目的とする先取特権を失う。
ウ 乙の抵当権が設定され,その登記を経た土地を,甲が時効取得した場合でも,乙の抵当権は失われない。
エ 有名デザイナー甲が,うっかり乙の所有する廉価な生地を使用して,新作発表会用のドレスを製作してしまった場合には,乙はその生地の所有権を失う。
オ 抵当権者甲が,一般債権者である乙に対して抵当権の放棄をした場合には,甲は抵当権を失う。
1 0    2 1    3 2    4 3    5 4


【H02-20】 滌除に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 目的不動産の第三取得者は,抵当権の被担保債権の保証人であっても,滌除することができる。
2 抵当権者が競売を申し立てた後,目的不動産を取得した第三取得者であっても,滌除することができる。
3 抵当権者がその抵当権を実行しようとするときには,あらかじめ目的不動産の所有権移転の仮登記名義人に対して,抵当権実行の通知をすることを要する。
4 目的不動産の第三取得者は,目的不動産に複数の抵当権があるときは,その一部についてのみ滌除をすることができる。
5 土地について抵当権が設定された後,建物の所有を目的とする賃借権の設定を受けた者は,滌除をすることができる。


【H02-21】 遺留分に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 減殺を受けるべき受贈者の無資力により生じる損失は,遺留分権利者が負担する。
2 兄弟姉妹である相続人の遺留分は,被相続人の財産の2分の1である。
3 被相続人が,不相当な対価で売り渡した自己所有の財産は,当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知っていた場合でも,遺留分権利者はこれを減殺をすることができない。
4 相続開始前の遺留分の放棄は,その旨を家庭裁判所へ申述することによって,その効力を生ずる。
5 複数の遺贈があるときには,遺留分権利者はその一つについて遺留分全部の減殺することができる。


【H02-22】 転抵当権に関する次の記述中,判例の趣旨に照らし,正しいものはどれか。
1 転抵当権者は,原抵当権の被担保債権の弁済期が未到来であっても,転抵当権の被担保債権の弁済期が到来していれば,転抵当権を実行することができる。
2 原抵当権者が,転抵当権を設定するには,原抵当権の抵当権設定者の承諾を要する。
3 原抵当権の被担保債権の債務者が,転抵当権の登記の後に弁済するには,転抵当権者の承諾がなければならない。
4 転抵当権が設定された後は,原抵当権者は,原抵当権の被担保債権額が,転抵当権の被担保債権額を超過しており,かつ,自己の被担保債権の弁済期が到来していれば,原抵当権を実行することができる。
5 虚偽仮装の原抵当権について,善意の者が転抵当権の設定を受け,その旨の登記をしたが,原抵当権の被担保債権の債務者への転抵当の通知又はその承諾がない場合には,その転抵当権者は,その原抵当権の設定の無効を理由とする原抵当権設定の登記の抹消について承諾義務を負う。


【H02-23】 遺贈に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 遺留分に関する規定に反してした包括遺贈は,その違反する限度で無効である。
2 胎児への遺贈は,胎児の出生前に遺贈者が死亡した場合は,無効である。
3 受遺者が,包括遺贈を受けていることを知りながら,包括遺贈に係る不動産の一部を売却した場合には,当該遺贈の放棄をすることができない。
4 遺贈者の死亡前に受遺者が死亡したときは,その受遺者の相続人が遺贈を受ける。
5 公正証書により遺言をした者は,公正証書によらなければ,その遺言の取消しをすることができない。




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