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司法書士試験・本試験問題
(平成元年・民法)


【H01-01】 社団法人の理事に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 理事が自己所有の土地を法人に売却する場合には,監事が法人を代表する。
2 理事の選任は,社員総会がする。
3 理事が法人の目的の範囲外の事業を行い,第三者に損害を与えた場合であってもその事業を行う議決に賛成した社員が責任を負うことはない。
4 定款により理事の代理権に制限を加えた場合には,善意の第三者にも,その制限を対抗することができる。
5 理事全員によって解散の決議がされても,定款により解散する旨の定めがなければ法人は解散しない。


【H01-02】 消滅時効に関する次の記述中,判例の趣旨に従えば,誤っているものはどれか。
1 主たる債務について消滅時効が完成した場合には,主たる債務者が時効の援用をしないときでも,その連帯保証人は,主たる債務につき時効を援用することができる。
2 債務者は消滅時効完成前に時効の利益を放棄することができない。
3 主たる債務者が債務を承認した場合でも,その連帯保証人については,時効中断の効力が及ばない。
4 債権者が債務者に対し債権の支払請求訴訟を提起した場合に,訴えが却下されたときは時効中断の効力を生じない。
5 債務者は消滅時効完成後に債務を承認した場合には,その当時時効が完成していたことを知らなかったときでも,時効を援用することはできない。


【H01-03】 乙は甲の所有するゴッホの絵を盗みだし,第三者に売却することをもくろんで,事情を知らない丙に傷んだ箇所の修復を依頼した。丙は,修復作業を終えたところ,甲から絵の返還請求を受けた。この場合に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 丙は,甲が占有回収の訴えにより返還を請求する場合には,甲に絵の返還を拒むことができる。
2 丙は,動産保存の先取特権を有することを理由として,甲に絵の返還を拒むことができる。
3 丙は,修復に要した費用について留置権を有することを理由として甲に絵の返還を拒むことはできない。
4 丙は,善意・無過失で乙から絵の引渡しを受けたことを理由として,甲に絵の返還を拒むことができる。
5 丙は,乙が絵を盗みだしてから2年を経過した後は,甲に絵の返還を拒むことができる。


【H01-04】 不動産に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 無主の不動産は,先占によってその所有権を取得することができる。
2 共有物を分割しない旨の特約は,動産についてはすることができない。
3 不動産については,留置権は成立しない。
4 不動産質権は,登記をしなければ効力を生じない。
5 抵当権の目的は,不動産に限られない。


【H01-05】 物権的請求権に関する次の記述中,判例の趣旨に従えば,正しいものはどれか。
1 所有権に基づく物権的返還請求権は,時効により消滅することがない。
2 物権的返還請求権は登記をしなければこれを行使することができない。
3 不可抗力により妨害が生じた場合には,物権的妨害排除請求権を行使することができない。
4 物権的請求権は,債権者代位によって行使することができない。
5 担保物権者は,物権的請求権を行使することができない。


【H01-06】 占有に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 意思無能力者は,法定代理人によって物の占有を取得することができるが,物を自ら所持することによっては,その占有を取得することはできない。
2 占有者が所有権があると誤信して物を占有している場合,占有期間中にその物から生じた天然果実を取得することはできるが,法定果実を取得することはできない。
3 悪意の占有者は,占有物を返還する場合に,有益費の償還を請求することができない。
4 物を他人のために占有している者は,その占有が第三者によって妨害された場合でも,その妨害者に対して損害賠償を請求することができない。
5 占有の訴えに対しては,本権に基づく反訴を提起することができない。


【H01-07】 共有に関する次の記述中,判例の趣旨に従えば,誤っているものはどれか。
1 区分建物と分離して処分することができない敷地の共有持分は,その持分権者が相続人なくして死亡しても,他の共有者に帰属しない。
2 共有の不動産が不法に占拠された場合には,各共有者は,その共有持分に応じて,これにより生じた損害の賠償を請求することができる。
3 地上権の共有者はその持分の上に根抵当権を設定することができる。
4 共有者の一人は,他の共有者の負担すべき共有物の管理の費用を立て替えて支払った場合には,その特定承継人に対しても,その立替金の支払を請求することができる。
5 共有物につき2分の1を超える持分を有する共有者は,共有物を単独で占有する他の共有者に対しその引渡しを請求することができる。


【H01-08】 囲繞地通行権に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 囲繞地通行権は,袋地の所有者が袋地から公道に通じる他の土地を取得したときでも,消滅しない。
2 袋地の所有者は,囲繞地通行権を公示していなければ,囲繞地の譲受人に対し囲繞地通行権を主張することができない。
3 袋地の所有者は,その土地について所有権の登記を経由していなくても,囲繞地通行権を主張することができる。
4 袋地の所有権者は,囲繞地の通行による損害につき,囲繞地の所有者に対し償金を支払うことを要しない。
5 1筆の土地が分割により公道に面するA土地と袋地であるB土地に分かれた場合において,A土地が第三者に譲渡されたときは,B土地の所有者は,A土地以外の囲繞地についても囲繞地通行権を主張することができる。


【H01-09】 同一不動産について次の順序で登記がされている次の権利のうち,優先順位が第3順位になるものはどれか。
1 抵当権
2 不動産売買の先取特権
3 不動産質権
4 不動産保存の先取特権
5 雇人給料の先取特権


【H01-10】 質権に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 質権者は,質権設定者の承諾がなくても,その権利の存続期間内において,自己の責任で質権の目的物を転質とすることができる。
2 動産に対する質権の設定は,当事者間の合意によってその効力を生ずる。
3 質権は,期限又は条件が付された債権を被担保債権として設定することができない。
4 債権の質権者が質権を実行するには,民事執行法に定める手続に従って目的債権を換価しなければならない。
5 質権者は,第三者が質権の目的物を毀滅した場合でも,被担保債権の弁済期が到来するまでは,その者に対して損害賠償を請求することができない。


【H01-11】 次のアからオまでの事例の中から,判例の趣旨に従えば,法定地上権が成立しないものを選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。
ア 土地とその上の建物を所有している甲が土地のみに抵当権を設定したが,建物は未登記であった場合において,競売により乙が土地を買い受けた。
イ 更地を所有している甲が,更地に抵当権を設定した後,抵当権者の承諾を得て更地の上に建物を建築した場合において,競売により乙が土地を買い受けた。
ウ 土地とその上の建物を所有している甲が土地と建物の双方に抵当権を設定した場合において,競売により乙が土地を,丙が建物を買い受けた。
エ 土地とその上の建物を所有している甲が,土地に抵当権を設定した後,その建物を取り壊して建物を再築した場合において,競売により乙が土地を買い受けた。
オ 甲が,その所有する土地に抵当権を設定した後,その土地上に乙が所有していた建物を乙から譲り受けた場合において,競売により丙が土地を買い受けた。
1 ア,ウ
2 ア,エ
3 イ,エ
4 イ,オ
5 ウ,オ


【H01-12】 Aは,BがCに対して有する利息付売掛債権を担保するため,A所有の不動産に根抵当権を設定し,Dは,Cの債務について連帯保証した。この根抵当権が担保すべき元本が確定していない場合における次の記述中,正しいものはどれか。なお,次の記述中の「甲債権」は,上記利息付売掛債権中の特定の債権である。
1 BがEに対し,甲債権を譲渡した後,根抵当権の一部譲渡をした場合は,甲債権は,その譲渡された根抵当権によって担保される。
2 Dは,甲債権の債務者Cに代わって弁済した場合でも,根抵当権についてBに代位しない。
3 CからFへの債務者の交替による更改があった場合は,旧債務の目的の限度において,根抵当権を新債務に移すことができる。
4 AとBとの合意により被担保債権の範囲をBG間の売買取引によって生ずる債権と変更して,その登記をした場合でも,甲債権は根抵当権によって担保される。
5 Cについて相続が開始した場合は,担保されるべき債権は確定する。


【H01-13】 利息に関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 年2割の割合による利息を支払う約定がある場合,1月1日からその年の6月30日までの利息の計算式は元本×0.2÷2である。
2 利息付金銭消費貸借契約においては,契約成立の日の分の利息を支払う必要はない。
3 金銭消費貸借契約においては,利息を付する合意があっても,利率を定めていなければ,利息を請求することはできない。
4 弁済期の定めがある利息付金銭消費貸借契約において,借主が期限の利益を放棄するには,元本に弁済期までの利息を加えた金額を提供しなければならない。
5 利息債権については,その弁済期を過ぎれば,遅延損害金が発生する。


【H01-14】 連帯債務に関する次の記述中(債権者を甲,連帯債務者を乙,丙,丁とする。),判例の趣旨に従えば,誤っているものはどれか。
1 乙が詐害行為をした場合には,甲は,丙及び丁に資力があっても,その取消しを請求することができる。
2 乙が甲に弁済をした場合には,乙は,丙及び丁各人に対し,自己の負担部分を超えた金額について求償することができる。
3 乙が死亡した場合には,乙の相続人は,その債務を相続分の割合で承継し,その承継した範囲内において,丙及び丁とともに連帯債務を負う。
4 乙が甲への弁済が済み,丙及び丁に事後の通知をしないでいるうちに,丙が甲に弁済した場合でも,丙は乙に事前に通知を怠ったときは,乙に自己の弁済が有効であることを主張することができない。
5 甲が乙に対し債務を免除した場合には,その免除は,乙の負担部分について,丙及び丁の利益のために効力を生ずる。


【H01-15】 双務契約に関する次の記述中,誤っているものはどれか。
1 売買契約の目的物が特定物である場合において,契約後に売主の過失によらずに目的物が滅失したときは,売主は,買主に代金を請求することができない。
2 売買契約の目的物が特定物である場合において,契約後に売主の過失により目的物が滅失したときは,買主は,売主に催告をしなくても,契約を解除することができる。
3 停止条件付売買契約において,目的物が条件の成否未定の間に売主の過失により毀損したときは,買主は,条件が成就したものとして,その選択により,契約の履行又はその解除を請求することができる。
4 請負契約の目的である建物の完成前に,注文者の責めに帰すべき事由によりその完成が不能となった場合,請負人は,注文者に請負代金を請求することができる。
5 目的物の種類を定めて売買契約をした場合に,目的物が特定しない間に不可抗力によってその目的物が滅失したときは,売主は,買主に代金を請求することができない。


【H01-16】 手付けに関する次の記述中,正しいものはどれか。
1 売買契約が買主の債務不履行により解除された場合は,特約がなくても,売主は,債務不履行による損害賠償の請求をすることができるほか,手付けの返還義務を免れる。
2 買主は,売主に代金を提供して履行を求めた場合でも,売主がこれに応じなければ,手付けを放棄して契約を解除することができる。
3 土地の買主は,土地の引渡しを受けても,所有権移転の登記を受けるまでは,手付けを放棄して契約を解除することができる。
4 買主が売主に代金をその支払期日に提供して履行を求めた場合でも,売主は,手付けの倍額を償還して契約を解除することができる。
5 履行期後においては,売主は,手付けの倍額を償還して契約を解除することはできない。


【H01-17】 土地の転貸に関する次の記述中,誤っているものはどれか。
1 土地所有者に無断で転貸借契約をしても,現実に転借人が土地の使用収益をしなければ,土地所有者は,土地の賃貸借契約を解除することができない。
2 土地所有者は,賃貸借契約を解除しなくても,所有権に基づいて,無断転借人に対し土地の明渡しを請求することができる。
3 転借人が土地の所有権を取得した場合でも,転借権は,混同により消滅しない。
4 賃貸人は,その承諾に基づき転貸借契約がされた場合には,承諾を撤回することができない。
5 適法な転貸借がある場合には,賃貸人は,転借人に賃料を請求し,支払がなければ賃料の不払を理由として賃貸借契約を解除することができる。


【H01-18】 離婚に関する次の記述中,判例の趣旨に従えば,正しいものはどれか。
1 離婚原因が存在する場合には,裁判官は,離婚を命ずる判決をしなければならない。
2 有責配偶者からの離婚請求は,請求者の有責の程度が他方配偶者よりも低い場合でなければ,認められない。
3 配偶者が禁治産宣告を受けた場合には,他方配偶者は,後見監督人との間で,協議離婚をすることができる。
4 婚姻によって氏を改めた者は,離婚時に,婚姻中の氏を称するか従前の氏を称するかを定めなければならない。
5 離婚を認める判決が確定したときは,戸籍法の定めるところによりこれを届け出なくても,離婚の効力が生ずる。


【H01-19】 次に掲げる行為のうち,18歳の男子が単独で有効にすることができるものはいくつあるか。
ア 遺言をすること
イ 認知をすること
ウ 養親となること
エ 相続の限定承認をすること
オ 公正証書遺言の立会人になること
1 0    2 1    3 2    4 3    5 4


【H01-20】 親子に関する次の記述中,判例の趣旨に従えば,誤っているものはどれか。
1 甲男と乙女が甲の氏を称する婚姻をし,婚姻後100日目に丙子が出生した場合,丙子は,父が甲男であれば嫡出子として甲男の氏を称する。
2 非嫡出子は,母の氏を称するが,父に認知され,かつ,親権者が父に変更されたときは,父の氏を称する。
3 甲男と乙女との間に丙子が出生した後,甲男と乙女が婚姻をした場合において,甲男の遺言による丙子の認知が効力を生じたときは,丙子は,嫡出子となる。
4 強迫により婚姻をした妻と夫との間に出生した子は,婚姻の取消しがあっても,嫡出子である。
5 父又は母が氏を改めたことにより,子が父母と氏を異にする場合に,子が,父母の氏を称するには,父母が婚姻中であれば,家庭裁判所の許可を得ることを要しない。


【H01-21】 養子に関する次の記述中,正しいものはどれか。ただし,甲乙は夫婦とする。
1 丙が成年者であるときは,甲乙は,丙を養子とすることができない。
2 丙が乙の非嫡出子であるときは,丙が未成年者であっても,甲は,単独で丙を養子にすることができる。
3 甲がその意思を表示することができないときは,乙は,甲乙双方の名義で丙を養子とすることができる。
4 甲乙が丙を特別養子とするには,丙の父母による丙の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がなければならない。
5 特別養子である丙が満15歳に達した後は,甲乙と丙とは,その協議で離縁することができる。


【H01-22】 A男とB女との間にCが出生した。Aは,Cを認知した後,Bと婚姻をし,その間にDをもうけた後死亡した。なお,Aは,婚姻していないE女との間にFをもうけていた。この場合における次の記述中,正しいものはどれか。
1 BC及びDの相続分は,等しく3分の1である。
2 Fは,相続人であるBC及びDを相手方として認知の訴えを提起することができる。
3 Aが死亡前にFを認知していたときは,Fの相続分は,6分の1である。
4 DにAの相続人となることができない事由がある場合でも,Bの相続分は変わりがない。
5 Eは,Aの財産形成に特別の寄与をしていた場合は,寄与分を受けることができる。


【H01-23】 遺言に関する次の記述中,誤っているものはどれか。
1 ワードプロセッサーにより遺言内容を記載して,これに署名捺印をした文書は,遺言としての効力を生じない。
2 夫婦が同一の証書で遺言をしたときは,その証書は,遺言としての効力を生じない。
3 公正証書遺言をするには証人二人以上の立会いが必要である。
4 禁治産者が医師の立会いを得ないでした遺言は,本心に復した時にしたものであっても,効力を生じない。
5 自筆証書遺言による遺贈は,家庭裁判所による遺言の検認がなければ効力を生じない。




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