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司法試験・択一問題
(平成5年・民法)


[H05-21] 甲は,その所有する土地を乙に譲渡したが,所有権移転登記は未了である。他方,この土地上には甲から地上権の設定を受けた丙所有の建物が存在し,その地上権の登記はされていないが,丙が定期に地代を支払う旨の特約がある。この場合に関する次の記述のうち,誤っているものの組合せはどれか。
ア 民法第177条の第三者につき物権変動の当事者以外の者をすべて含むとの見解に立てば,丙は,乙名義の登記がないことを理由として,乙の所有権に基づく土地明渡請求を拒むことができる。
イ 民法第177条の第三者につき同一不動産について両立し得ない物権相互間の優先的効力を争う第三者に限るとの見解に立てば,丙は,乙名義の登記がないことを理由として乙の所有権に基づく土地明渡請求を拒むことができる。
ウ 民法第177条の第三者につきイと同様の見解に立てば,丙は,乙名義の登記がないことを理由として,乙の地代請求を拒むことができる。
エ 民法第177条の第三者につきどのような見解に立っても,建物に丙名義の登記があれば,丙は,地上権を対抗できることを理由として,乙の所有権に基づく土地明渡請求を拒むことができる。
オ 民法第177条の第三者につきイと同様の見解に立てば,建物に丙名義の登記がなくても,丙は,地上権を対抗できることを理由として,乙の所有権に基づく土地明渡請求を拒むことができる。
1.アウ   2.アエ   3.イエ   4.イオ   5.ウオ



[H05-22] 次に掲げたA及びB判決があるとして,詐害行為取消権の行使に関する下記のアからカまでの記述のうちから,いずれの判決とも結び付かないものを二つ選んだ場合,適切な組合せはどれか。(両判決の間に矛盾がないことを前提とする。)
〔A判決〕 債務者乙が,唯一の財産である土地(時価1,000万円。なお,丁の乙に対する債権500万円を担保するための抵当権が設定されている。)を,乙に対して300万円の債権を有する丙に代物弁済し,所有名義を移転した。この事案において,詐害性に関する主観的要件が充足されている場合,同じく乙に対して200万円の債権を有していた債権者甲は,丙を被告として詐害行為取消権を行使し,その土地の所有名義を乙に回復すべきことを求めることができる。
〔B判決〕 債務者乙が,唯一の財産である土地(時価1,000万円。なお,丙の乙に対する債権800万円を担保するための抵当権が設定されている。)を,丙の債権への代物弁済とし,所有名義を移転した。そして,丙は抵当権登記を抹消した。その後丙は,丁にこの土地を売却した。この事案において,詐害性に関する主観的要件が充足されている場合,同じく乙に対して200万円の債権を有していた債権者甲は丁に対して詐害行為取消権を行使し,200万円の価額賠償を求めることができる。
ア 詐害行為の取消しによって相手方から詐害行為の目的物である財産自体の返還を求めることができる場合には,債権者は現物返還を請求すべきである。
イ 債権者は,その取消権の行使によって,詐害行為以前よりも有利な立場になることができない。
ウ 詐害行為の目的物である財産が不可分である場合には,債権者は,自己の債権額がその財産の価格を下回っても,なお全部の返還を求めることができる。
エ 債務者の有する財産に抵当権が設定されている場合には,債権者は,その無資力性を判断するに当たり,当該財産の価格から被担保債権額を控除すべきである。
オ 詐害行為取消権の成立する範囲は,一般債権者の担保となるべき債務者の責任財産を基準として定められる。
カ 受益者・転得者が共に悪意であるときは,債権者は,転得者から目的物の返還を求めるか,受益者から価額賠償を求めるかを選択することができる。
1.アウ   2.イエ   3.イオ   4.エカ   5.オカ



[H05-23] 甲は,その所有するA不動産につき乙と売買契約を締結したが,乙名義の登記が経由されないうちに,更にA不動産につき丙と売買契約を締結した。この場合における甲,乙及び丙の権利義務に関する次のアからオまでの記述のうち,最も適切なものの組合せはどれか。
ア 甲乙間及び甲丙間の売買契約は,いずれも有効に成立する。
イ A不動産につき乙名義又は丙名義の登記が経由されるまでは,乙も丙もA不動産の所有者である。
ウ A不動産を不法に占拠する者に対しては,乙又は丙は所有権に基づく返還請求権を有するが,甲は所有権に基づく返還請求権を有しない。
エ A不動産につき乙名義の登記が経由されると,丙にA不動産の所有権を得させるべき甲の本来的義務は消滅する。
オ A不動産につき丙名義の登記が経由されても乙は丙に対してA不動産の所有権を主張できることがある。
1.アイウ  2.アエオ  3.イウエ  4.イウオ  5.ウエオ



[H05-24]次の表は,無能力者が単独でした法律行為の取消し・追認に関するものである。表中の空欄を下記のアからウまでの記述を選んで埋めた場合,それぞれの使用回数として適切なものの組合せはどれか。
 ┌───────────┬───────────────────┐
 │           │     取消し・追認の根拠     │
 ├─┬─────────┼───────────────────┤
 │ │未成年者の親権者 │                   │
 │保├─────────┼───────────────────┤
 │ │未成年者の後見人 │                   │
 │護├─────────┼───────────────────┤
 │ │禁治産者の後見人 │                   │
 │者├─────────┼───────────────────┤
 │ │準禁治産者の保佐人│                   │
 └─┴─────────┴───────────────────┘
ア 保護者の有する代理権には,当然に取消権・追認権が含まれている。
イ 追認は,事後的な同意とみることができ,保護者の有する同意権に含まれると考えてよい。
ウ 保護者には,無能力者の財産を管理する固有の権能があり,取消権・追認権を行使することができる。
1.ア4回  イ2回  ウ4回     2.ア4回  イ2回  ウ3回
3.ア3回  イ4回  ウ3回     4.ア3回  イ3回  ウ4回
5.ア2回  イ3回  ウ3回



[H05-25] 建物の賃貸借契約が解除された場合における留置権の行使についての次の記述のうち,最も適切でないものはどれか。
1.賃貸借契約解除前に支出した有益費の償還請求権に基づく留置権の行使は,解除の原因が債務不履行であったとしても妨げられない。
2.賃貸借契約が債務不履行を原因として解除された場合であっても造作買取請求権を認める立場に立つと,賃貸借契約解除前に賃貸人の承諾を得て施した造作について買取請求をし,建物につき代金請求権に基づく留置権を行使することができる。
3.賃貸借契約が債務不履行を原因として解除された後,権原のないことを知りながら建物を占有する間に有益費を支出しても,その占有は不法行為によって始まった場合ではないけれども,公平の見地からこれと同様に考えるべきであるから,有益費の償還請求権に基づく留置権を行使することはできない。
4.賃貸借契約の解除が含意解除による場合であっても,その後,権原のないことを知りながら建物を占有する間に支出した有益費の償還請求権に基づく留置権の行使は,3と同様の理由によりできない。
5.賃貸借契約解除前に支出した有益費の償還請求権に基づいて留置権を行使している間に支出した有益費についての償還請求権につき,更に留置権が成立する。



[H05-26] 他人の権利の売買に関する次の文章の(a)から(d)までの空欄に,下記のアからクまでの文を入れた場合,正しい組合せはどれか。
 「売主が他人の所有物をもって売買の目的物とした場合において,(a)でも,直ちに原始的不能により売買契約が無効になるわけではない。これに対し,売主が売買の目的物の所有権を買主に取得させる義務を履行できないことが明確になったときには,売主の担保責任が問題となる。売主の担保責任は,売買の有償性に照らし売主に過失がなくても買主を保護して取引の安全を図ろうとするものであるから,たとえ(b)であっても,買主は売主に対して契約の解除をすることや損害賠償の請求をすることができ,売主はこれらの責めを免れることはできない。しかし,売主の担保責任は上記のような趣旨のものであるから,(c)には,買主は売買契約を解除することができないと解すべきである。また,(d)には,買主は損害賠償の請求をすることができない。」
ア 他の所有者が自分の所有物を手放すつもりが全くなかった場合
イ 目的物が契約締結前に消滅していた場合
ウ 盗品を故買した場合
エ 当事者が他人の権利の売買であることを十分承知して契約した場合
オ 買主の責めに帰すべき事由があった場合
カ 不可抗力による場合
キ 買主が売主の所有でないことを知っていた場合
ク 売主が自己の所有でないことを知らなかった場合
  abcd    abcd    abcd
1.アカオキ  2.アクカウ  3.イアオキ
4.イクキオ  5.エカキオ



[H05-27] 甲が乙に対しA債権を有し,乙が甲に対しB債権を有していたところ,甲が丙にA債権を譲渡し,その旨の通知を乙にした場合,「A債権及びB債権の弁済期の前後を問わず,両者の弁済期が到来すれば,乙は,丙に対しB債権を自働債権としてA債権と相殺することができる。」とする立場がある。次の記述のうち,この立場の根拠となり得るものはいくつあるか。
ア 債権の取引の安全を図るため,債権の譲受人を保護すべきである。
イ 債務者の意思に関係なく行われる債権譲渡により,債務者の地位が譲渡以前より不利益になることを防止すべきである。
ウ 債務者は,債権が差し押さえられた場合と譲渡された場合とにおいて,別異の取扱いを受けるべき理由はない。
エ 債権の譲受人としては,債務者が譲渡人に対して反対債権を有していることを容易に知り得ない。
オ 相対立する債権を有する者が持つ,相殺により自己の債務を対当額において決済できるという期待を保護すべきである。
1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個



[H05-28] 有責配偶者からの離婚請求をめぐって,以下の対立があり,T群のアからオまでの記述とU群のaからeまでの記述とを対応させた場合,残るものが一つずつある。その組合せとして適切なものはどれか。
〔T群〕ア 有責配偶者の離婚請求を認めることは,婚姻秩序の破壊・婚姻倫理の無視につながる。
イ 婚姻関係の破綻という事実を尊重すべきだからといって,何人も自己の不法を裁判所に申し立て,法の保護を受けることが許されるものではないという原則を排除するものではない。
ウ 一方の配偶者に婚姻意思のある限り,婚姻生活の継続を強制することが当事者の自由意思を尊重するものではないか。
エ 有責配偶者からの離婚請求を認めると,家庭を基礎とする社会の安定かはばかられるのではないか。
オ 有責配偶者からの離婚請求を認めると,自由意思により離婚原因が作成されるようになり,離婚原因を法定する意義がなくなってしまうのではないか。
〔U群〕a 協議離婚だと有責か否かを問われずに離婚の成立が認められるのに,有責配偶者からの離婚請求が認められないというのは法的に均衡を欠くのではないのか。
b 婚姻の形骸化という一国の婚姻制度に対する大きなマイナスを生み出すという場合は,もはや利益の実現を目指すものではない。
c 離婚法の自由化が離婚率の増加を高めるわけではない。
d 形骸化した婚姻は直ちにやめて,愛情の伴った婚姻を新たに別に形成することこそ,「婚姻」を尊重することになる。
e 既に婚姻関係の破綻した者に強制的にその婚姻関係を継続させるよりも,自由意思により新たに婚姻関係をもたせる方がよいのではないか。
1.アe   2.イd   3.ウb   4.エa   5.オc



[H05-29] 甲土地はもとAの所有であったが,Aの死亡によりその子B・Cが共同相続した。Cは,遺産分割前にBに無断でCの単独相続による所有権移転登記を経た上,これをDに売却して,その旨の登記を経た。この場合,BはDに対して自己の共有持分を主張できないとする見解がある。次のアからカまでの記述のうち,この見解の根拠となり得るものは何個あるか。
ア Dは,登記によりCが唯一の所有者であると信じて甲土地を買い受けたのであるから,保護すべきである。
イ Cは自己の持分を超える部分については無権利であるから,C名義の登記は無効である。
ウ 共同相続人間の権利関係を正確に知ることをDに要求するのは酷である。
エ 登記には公信力がないから,Dは,Cの持分を超える部分の取得をBに対して主張することはできない。
オ B・Cの共有不動産について登記簿上Cの単独所有になっている場合は,あたかもCの所有権に対する制限物権について登記がない場合と類似する。
カ 共同相続人Bの権利の静的安全を考慮すべきである。
1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個



[H05-30] 次の文章のうち前段と後段とが共に適切でないものはどれか。
1.免責的債務引受けは,債権者,債務者及び引受人の三面契約によらなければならず,債務者と引受人との契約によってすることはできない。また,債務はその同一性を失うことなく引受人に移転するから,引受人は債務者の有する解除権を行使することができる。
2.併存的債務引受けは,保証と類似し,債務者の意思にかかわらず,債権者と引受人のみの契約によってすることができる。また,債務者と引受人の契約によりなされた場合も,債権者が受益の意思表示をすることによって債務者に対して有するものと同一内容の債権を取得する。
3.単純な履行引受けは,債権者の権利に影響を与えるものではないから債権者の反対の意思にかかわらず,債務者と引受人の契約によってすることができる。履行引受けがなされた場合,債務者は引受人に対し,債権者に支払をすべきことを請求できる。
4.契約上の地位の譲渡は,債務の移転を伴うから,原則として相手方の承諾を必要とする。ただし,賃貸不動産の譲渡に伴って賃貸人の地位を譲渡する場合は,賃貸人がだれであるかによってその債務の履行方法が異なるわけではないから,特段の事情がない限り,賃借人の承諾を必要としない。
5.債務者の交替による更改が行われた場合,これによって消滅すべき旧債務が存在しなければ,新債務も成立しない。この場合,新債務と旧債務とは実質的な同一性があるから,新債務の債務者は,旧債務の債務者が有していた同時履行の抗弁権を行使することが許される。



[H05-31] 甲からその所有する土地を貸借して占有していた乙が,昭和43年3月1日に甲の息子丙からこの土地を買い受けた。この土地の時効取得に関する次の記述のうち,成り立つ可能性のない組合せはどれか。
ア 丙が甲から土地を譲り受けたと称していた場合,売買契約が所有権の移転を目的とする法律行為である点を重視すると,乙がそう信じたことに過失がないときには,昭和53年3月1日に時効が完成する。
イ 丙が甲から土地を譲り受けたと称していた場合,売買契約が所有権の移転を目的とする法律行為である点を重視すると,この契約に残代金を約定期限までに支払わないときは契約は当然に解除されたものとするとの解除条件が付されていても,昭和63年3月1日に時効は完成する。
ウ 丙が甲から土地を譲り受けたと称していた場合,売買契約が所有権の移転を目的とする契約である点を重視すると,乙が昭和60年1月ごろ丙の債務不履行を理由に契約の解除を主張したことがあったとしても,昭和63年3月1日に時効は完成する。
エ 丙が甲の代理人と称していた場合,売買契約は無効であるが,実質的には丙が甲から土地を譲り受けたと称していた場合と同じであるから,昭和63年3月1日に時効は完成する。
オ 丙が甲から土地を譲り受けたと称していた場合,乙が甲の所有であると知っていたときは,乙が土地を自己の所有物と考えることはないから,乙について時効は完成することはない。
1.アウ   2.アエ   3.イエ   4.イオ   5.ウオ



[H05-32] 次の文章中の( )の中に適切な語句を入れると,保証債務の範囲に関する論述になる。最も多く使用された語句の回数は何回か。
 「売買契約の解除のように( )を生ずる場合には,その契約の解除による( )義務は,本来の債務が契約解除によって消滅した結果生ずる別個独立の債務であるから,保証人は,特約のない限り,その履行の責任を負わないとの考え方がある。しかし,特定物の売買における売主のための保証においては,通常,その契約から直接に生ずる売主の債務についてというより,むしろ,売主の( )に基因した売主が買主に対し負担することがあり得る債務につき責めに任ずる趣旨でされるものと解するのが相当であるので,保証人は,債務不履行により売主が買主に対し負担する( )義務についてはもちろん,売主の債務不履行により契約が解除された場合の( )義務についても,特に反対の意思表示がない限り,保証の責めに任ずるというのが,判例である。なお,賃貸借契約の解除のように( )を生じない場合は,目的物返還義務は本来の債務であって解除による( )義務ではないとの理由で,保証人の責任はそれに及ぶと解されている。」
1.6回   2.5回   3.4回   4.3回   5.2回



[H05-33] Aは,BがCから金銭を借り入れるに当たって,その連帯保証人又は負担部分を零とする連帯債務者になることを依頼された。Aにとって,そのいずれとなるかによって法律上の効果が異なることとなるものは,次のイからホまでのうち,いくつあるか。
イ Bの債務の不成立
ロ CのBに対する履行の請求
ハ 時効完成後におけるBのCに対する債務の弁済
ニ AのCに対する弁済に際してのBへの通知の懈怠
ホ CのBに対する債務の免除
1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個



[H05-34] 次の見解に関する下記のアからオまでの記述のうち,この見解と矛盾するものの組合せとして適切なものはどれか。
 「賃貸借の解除・解約の申入れは,以後賃貸借をやめるというだけの意思表示であり,その意思表示に当たりいかなる理由によってやめるかを明らかにする必要はないから賃貸人がたまたまある特定の理由を掲げて意思表示をしても,特にそれ以外の理由による解除・解約の申入れをしない旨を明らかにしているなど特段の事情がない限り,その意思表示は,掲げられている理由のみによって賃貸借をやめる旨の意思表示ではなく,およそ賃貸借は一切以後やめるという意思表示であると解すべきである。」
ア 賃貸借の解除・解約の原因として複数の理由がある場合,そのうちの一つの原因を理由とする意思表示は,数個の原因を理由とする解除・解約の意思表示である。
イ 賃貸借の解除・解約が特定の理由による意思表示である場合は,それ以外の理由による意思表示ではないということを明らかにしたものである。
ウ 賃貸借の解除・解約の効力は重大なものであり,その理由は明確でなければならない。
エ 賃貸借の解除・解約の意思表示の理由が明らかにされてない場合,そのすべての原因についての解除・解約の意思表示である。
オ 賃貸借の解除・解約の意思表示は,格別な方式がない形成権であるので,その効力は遡及しない。
1.アウ   2.アオ   3.イウ   4.イエ   5.エオ



[H05-35] 次の会話の( )の中に,下記アからクまでの記述のうち適切なものを選んで入れると,抵当権が設定されている不動産の譲受人(以下「第三取得者」という。)についての対話となる。使用された記述の順序として正しいものは,後記1から5までのうちどれか。
教授:第三取得者の地位を保護するために民法上どんな制度があるでしょうか。
学生:まず抵当権自体を消滅させる制度として,代価弁済とてき除があります。前者は( )制度で,後者は( )制度です。
教授:第三取得者が抵当権の被担保債権を消滅させることはできないでしょうか。
学生:第三取得者は,( )弁済することができるので,これにより被担保債権を消滅させることができます。
教授:その場合に,第三取得者の債務者に対する求償関係はどのようになりますか。また被担保債権に保証人がいたときはどうなるでしょうか。
学生:弁済によって( ),第三取得者は( )。
ア 第三取得者が抵当権者の請求に応じて売買代金を抵当権者に支払うことにより抵当権を消滅させる
イ 第三取得者の方から一定の金額を提供して抵当権を消滅させる
ウ 被担保債権の債務者の意思に反しない限り
エ 被担保債権の債務者の意思に反しても
オ 弁済と同時に債権者の承諾を得て代位しますが
カ 法律上当然に債権者に代位しますが
キ 不動産が担保権の目的であることを知って取得したのですから,保証人に対して保証債務の弁済を請求することはできません
ク 物上保証人と同様の地位に立つ者ですから,保証人に対して保証債務の弁済を請求することができます
1.アイウオク  2.イアエカク  3.アイエカキ
4.イアエカキ  5.アイエカク



[H05-36] AはBから建物を買い受けてこれに居住していたが,この建物には構造上の欠陥があり,これに起因してその一部が倒壊し,通行人Cが負傷した。この欠陥は,Bから建築工事を請け負ったDの手抜きによるものであったが,A・B共にその欠陥の存在につき善意無過失であった。
 この場合の法律関係に関する次の記述のうち,適切でないものはいくつあるか。
ア Aは,土地工作物の所有者としてCに対する不法行為責任を負うが,同時に占有者でもあるから,損害の発生を防止するのに必要な注意をしたことを証明することにより,これを免れることができる。
イ Bは,Dの手抜き工事がBの指図に基づくものであったというような事実がない限り,Cに対して不法行為責任を負うことはない。
ウ DはCに対して不法行為責任を負うが,この責任は,完成した建物をBに引き渡した日から3年の経過により,時効によって消滅する。
エ AとDは別個の理由に基づいてCに対して不法行為責任を負うが,CがA・D双方からそれぞれ損害額全部の賠償を受けることは妥当でないから,Cは,A・Dに対しそれぞれ損害額の2分の1を超えて請求することはできない。
オ AがCに損害を賠償した場合,AはBに対して支払額全部の賠償を請求する契約上の請求権を有するが,A・D間には契約関係がなく,Dの不法行為は,Cに対するものであってAに対するものではないから,AはDに対して,その支払額を求償することはできない。
1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個



[H05-37] 甲が運転する自動車(甲所有)と乙が運転する自動車(乙所有)が衝突し両車とも破損した。その結果,修理費として,甲は50万円,乙は30万円の損害を被った。双方の過失割合は5対5である。甲から乙に対する損害賠償請求訴訟において,乙が過失相殺及び相殺を主張したところ,裁判所は25万円の支払を命ずる判決をした。次の記述のうち,この判決が依拠する考え方の根拠となり得るものの組合せはどれか。
ア 被害者自らが不法行為による損害賠償債権を自働債権として相殺をすることは差し支えない。
イ 不法行為の被害者には,現実の弁済によって損害の填補を受けさせるべきである。
ウ 同一の手続によって同時に判断でき,迅速簡明な一回的決済が得られる。
エ 報復的な不法行為を誘発するような解釈は避けなければならない。
オ 甲が乙から弁済を受けた後支払能力を喪失した場合には,乙にとって不公平な結果となる。
カ 物的損害に基づく損害賠償と人的損害に基づく損害賠償とでは,被害者保護の要請が異なる。
1.アエ   2.イエ   3.イエオ  4.イオカ  5.ウオカ



[H05-38] 代理に関する次の記述のうち,最も適切なものの組合せはどれか。
ア 代理人が相手方と通謀して虚偽の法律行為をした場合には,本人が善意であってもその行為は無効である。
イ 代理人が相手方に詐欺された場合には,代理人がその意思表示を取り消すことができるのであって,本人は取り消すことができない。
ウ 本人が相手方を詐欺した場合には,代理人がそのことを知らなくても,相手方はその意思表示を取り消すことができる。
エ 代理人が相手方を詐欺した場合には,本人がそのことを知らなければ,相手方はその意思表示を取り消すことができない。
オ 本人が善意無過失であれば,代理人が悪意であっても,本人は動産を善意取得することができる。
1.アウ   2.アエ   3.イエ   4.イオ   5.ウオ



[H05-39] 次の文章は,本人Aと無権代理人Bとの間に相続が生じた場合に関する教授と学生の問答である。文章中の( )の中に,下記アからカまでの語句のうち適切なものを入れて問答を完成させた場合に,最も多く用いた語句の数と2番目に多く用いた語句の数との組合せは,後記1から5までのうちどれか。
教授:BがAを相続した場合に無権代理行為が当然有効になるという考え方を甲説,本人の地位と無権代理人の責任とが併存するという考え方を乙説として,まずBがAを相続した場合に二つの説でどのような違いが生ずるかを考えてみよう。
学生:甲説では,( )は当然に( )を請求できるが,乙説では,( )は( )のほかに( )を請求できる可能性もありますし,取消権もあります。
教授:それでは,今度はAがBを相続した場合を考えてみよう。この場合には,甲説からは論理必然的に結論はでない。
学生:はい,ただ,甲説でもAは( )として( )を拒絶できますが( )の責任は負わなければならない。
教授:そう考えることもできるね。では,共同相続を考えてみよう。( )が死亡して( )と他の相続人Cが共同相続し,その後( )が死亡した場合は,甲説の考え方を応用するとどうなるだろう。
学生:はじめに,無権代理人を相続して( )の責任を負うCが( )を相続する形になりますので,結局,( )の資格で( )を拒絶できなくなり,本人自ら法律行為をしたのと同様になります。
教授:では,以上の甲説の立場で考えた場合,先に死亡したのが( )だったらどうかな。
学生:はじめに,( )を相続したCが( )を相続し,結局,( )が( )を相続することになるので,( )は拒絶できるようになります。本人が先に死亡したか,無権代理人が先に死亡したかの偶然で,結論が違ってくるのは,何か変な気がしますね。
ア 損害賠償  イ 相手方  ウ 無権代理人  エ 本人  オ 履行
カ 追認
1.9と5  2.8と6  3.8と5  4.7と6  5.7と5



[H05-40] ある夫婦が,生後間もなくまだ出生届をしていない他人の子を引き取って,「の上からの養子」とするつもりで,実親の承諾の下に,これを自分達夫婦の間の嫡出子として出生届をすることが隠れた慣行として行われているといわれている。このような出生届の効力については,@真実の嫡出子関係にないのにされた虚偽の届出であり,法的に何らの効力もないとするA見解と,A嫡出子出生届としては無効であるが,これを養子縁組行為に転換できるとして,縁組の効力を認めるB見解とがある。次のアからカまでの記述のうち,A見解の立場からB見解に対する批判として適切なものの組合せはどれか。
ア 未成年者養子の福祉や地位の安定に配慮する必要がある。
イ 家庭裁判所の許可を得ることなく未成年者を養子とする縁組の成立を認めることになる。
ウ 嫡出子出生届は表示としては虚偽であるとしてもそれによって当事者はともかくも養子縁組を意図したのであり,またそれだけの社会的実質がある。
エ 出生届は,出生の事実を報告するものにすぎず,意思表示を含むものではない。
オ 他人の夫婦の子として出生届を出し,その夫婦の代諾により養子縁組をした場合,その子が15歳になったときには追認できることとの均衡が保てない。
カ 離縁ができるのか,また離縁できるとしたら,どのような手続によるのかが問題となる。
1.アウ 2.アエ 3.イエオ 4.イエカ 5.ウオカ






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