[H02-01] 市民的及び政治的権利に関する国際規約(国際人権規約B規約)第14条第1項は,次のとおり規定している。
「すべての者は,裁判所の前に平等とする。すべての者は,その刑事上の罪の決定又は民事上の権利及び義務の争いについての決定のため,法律で設置された,権限のある,独立の,かつ,公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利を有する。報道機関及び公衆に対しては,民主的社会における道徳,公の秩序若しくは国の安全を理由として,当事者の私生活の利益のため必要な場合において又はその公開が司法の利益を害することとなる特別な状況において裁判所が真に必要があると認める限度で,裁判の全部又は一部を公開しないことができる。もっとも,刑事訴訟又は他の訴訟において言い渡される判決は,少年の利益のために必要がある場合又は当該手続が夫婦間の争い若しくは児童の後見に関するものである場合を除くほか,公開する。」
この規定と日本国憲法の規定とを比較した次の各記述の中で,明らかに誤っているものはいくつあるか。
A 「裁判所の前における平等」を定めた規定は,日本国憲法には存しないが,憲法第14条第1項の法の下の平等は「裁判所の前における平等」を含むものと考えられる。
B 「公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利」については,日本国憲法においても保障されていると解される。
C 日本国憲法も「当事者の私生活の利益のため必要な場合」に裁判の公開を停止できることを明記している。
D この規定と異なり,日本国憲法では判決の言渡しはいかなる場合でも公開法廷で行うものと定めている。
E この規定でも日本国憲法でも,判決書以外の訴訟記録を公開することまでは要求されていない。
1.1個 2.2個 3.3個 4.4個 5.5個
[H02-02] 財政民主主義の下におけるいわゆる租税法律主義の原則に関する次の各記述のうち,誤りはいくつあるか。
ア この原則は,憲法第83条のいわゆる財政立憲主義を具体化したものである。
イ 明治憲法は永久税主義によることを規定していたが,日本国憲法はこの点について規定しておらず,法律で一年税主義を定めても違憲とはいえない。
ウ この原則の対象となる租税とは,実質的に租税と同じように,国民の自由意思に基づかないで定められ,徴収されるものも含むから,郵便料金,各種国家試験の受験料や国立大学の授業料も,法律で定められなければならない。
エ 租税の種類,納税義務者のみならず,課税物件や税率についても,この原則の適用がある。
オ 地方税に係る課税率を条例に委任することは,この原則に反し許されない。
1.1個 2.2個 3.3個 4.4個 5.5個
[H02-03] 次の文章中の( )には,ア民主主義,イ自由主義のいずれかの言葉が入る。その語句の組合せとして最も適切なものは,後記1から5までのうちどれか。
「権力分立は,権力に対する猜疑と不信という( )の原理に立脚している。我が国の憲法は,権力分立を採用しているが,国会と内閣の相互抑制という( )の原理は,( )の原理を採る議会に従属する内閣という議院内閣制のために変容を受けている。国民主権における( )を徹底すると,国会が内閣に優越することになるが,議会に対する抑制の役割を果たす内閣の解散権の( )的役割が重要となる。しかし,現実には,議院内閣制のもとで政府(内閣)が肥大化し,国会がそれをコントロールする機能を失い,国会の内閣に対する( )的役割が及ばないという政治的現実が問題となっている。」
1.ア ア イ イ ア イ
2.イ イ ア ア イ イ
3.ア イ ア イ イ ア
4.イ イ ア ア イ ア
5.イ ア イ ア ア イ
[H02-04] 次の「 」の論述は,私立学校に対する国又は地方公共団体(以下「国家等」という。)の公的助成(補助金の支出)の合憲性に関して論じた文章の一部であり,下記1から5までは,この論述の前後に記載されている文章の要旨であるが,その中に,この論述の趣旨に反する文章が一つ紛れ込んでいる。それはどれか。
「憲法第89条後段の趣旨は,私的な慈善,教育又は博愛の事業は,事業主体の信念,主義,思想等特定の意図に基づいて運営されるものであることから,国家等がこれらの事業に対し,財政的援助を与えるとすれば,国家等がこれを通じてこれらの事業を統制することにより,その自主性,独立性を害するおそれがあり,他方,これらの事業の基礎となっている特定の信念,主義,思想等を助長する結果となるため,憲法は,思想,良心の自由(第19条)及び学問の自由(第23条)を保障するとともに,第89条後段によって財政面から,私的な慈善,教育又は博愛の事業の自主性,独立性を確保し,もって思想,良心及び学問に対する国家等の公正,中立性を確保しようとしているものと解することができる。そして,同条にいわゆる「公の支配」の意味内容については,憲法第19条,20条,23条の諸規定のほか,教育の権利義務を定めた憲法第26条との関連,私立学校の地位・役割,公的助成の目的・効果等を総合勘案して決すべきものと解される。」
1.憲法第89条は,国費・公費の濫費・乱用の防止を図り,公金等の支出が公正,適正に行われるべきことを一つの目途としているものであり,公金等の支出が公正,適正であるべきことは,同条の列挙する事業に対するものに限られない。
2.私立学校は,系統的な学校制度の中に組み込まれ,私立学校の営む教育事業は公的な性質を有するにもかかわらず,私立学校の財政状況は非常に厳しいものになっているから,国家等が私立学校に対し財政的援助をすることは,国家等に対し国民の学習する権利を満足させるような条件を整備することを求めている憲法第26条第1項の要請に合致している。
3.憲法第89条によれば,国家等が私立学校に対し財政的援助をすることは許されるが,その場合は,国家等が人事面,予算面,事業執行面等で私立学校を支配していることが要請される。
4.憲法は,国家等と宗教とのかかわり合いを全く否定しているものと解することはできず,歴史的,社会的,文化的諸条件等に照らして,一定の限度を超えるとみられるかかわり合いを許さないとする趣旨にほかならない。
5.憲法第89条後段は,学問の自由の制度的保障規定であると解することができるとしても,憲法がいかなる態様の保障制度を採用したかは一義的ではなく,解釈の余地のあるものであるから,私立学校に対する公的助成が直ちに学問の自由の制度的保障に反すると断定することはできない。
[H02-05] アメリカ合衆国連邦最高裁判所は,いわゆるブラウン判決において,修正14条の平等保護原則により「分離されているが平等」という観念を否定し「公立学校で白人と黒人の子供とを分離することは,黒人の子供に有害な結果を与える」と判示したのを契機として,従来州に任されていた領域の多くに連邦憲法の適用を拡大するなどにより,人権保障の徹底を図った。このように最高裁は,訴訟の窓口を開き,進んで問題解決に当たる姿勢を示した。これに対し,次の1から5のような議論がなされているが,このうち一つだけ異なった立場のものがある。それはどれか。
1.政治家が問題を放置しているため,政治過程の不十分さが顕在化している法の分野では,裁判所の司法行為を必要とする度合いが最も高い。
2.ブラウン判決が,人種差別に対し一定の政策決定,すなわち価値付与を行ったことは,かつて最高裁がデュープロセス条項の下で,社会経済立法を違憲としたのと,同じような誤りを繰り返している。
3.裁判所の機能は,社会の進行の後で,社会が確定した価値を確認し宣言してゆくべきものである。
4.最高裁判決は原理によりコントロールされるものでなければならない。その原理は,判決に伴う直接の結果を超越する理由に基づく,ある事件の問題に一般性と中立性を与えるものであり,裁判官が判決を下すとき,その原理を中立であると信じて適用するものである。この中立原理は,ブラウン判決で示された最高裁の反差別原理にはみられない。
5.合衆国憲法は,18世紀の政治思想に基礎を置く,自由主義憲法であり,政府に対する制限を設定し,あるいは政府による侵害から免れるための個人の自然権及び自由を宣言するものであるので,修正14条を根拠として,政府に生活配慮の義務を負わせることはできない。
[H02-06] 憲法第76条第2項の「特別裁判所」に関する次の各記述のうち,明らかに誤っているものはどれか。
1.明治憲法下の「軍法会議」は,この「特別裁判所」に当たる。
2.憲法判断のみを扱う「憲法裁判所」を独立して設置することは,憲法第76条第2項の「特別裁判所」の設置の禁止に当たる。
3.労働事件のみを管轄する「労働裁判所」を設置することは,通常裁判所への上訴を認めたとしても,憲法第76条第2項の「特別裁判所」の設置の禁止に当たる。
4.公務員の身分に関する事件のみを管轄する「公務員裁判所」を設置することは,それが終審裁判所であれば,憲法第76条第2項の「特別裁判所」の設置の禁止に当たる。
5.「裁判官弾劾裁判所」は,憲法第76条第2項の「特別裁判所」の性質を有する。
[H02-07] いわゆる在宅投票制度に関する次の記述の[ ]の中に,下記の1から5までのうち,最も適当な用語を選んでこれに入れた場合に,最も多用される用語はどれか。
「憲法は,公務員を選定することは,[ ]であるとして,公務員の選挙については[ ]を保障している。また地方公共団体の長,その議会の議員は,その地方公共団体の住民が直接これを選挙するものとしている。しかして投票は,選挙権の行使にほかならないから,[ ]の保障の中には,当然に[ ]の保障を含むものというべきであり,[ ]の保障なくして[ ]の保障などはあり得ない。もとより,選挙は正当,公正に行われなければならないことは当然であって,これは憲法の要請するところでもある。また,選挙人が自由に候補者を選べるようにするため[ ]が保障されなければならず,これまた憲法の保障するところである。しかしながら,選挙が,正当,公正に行われるべきことの要請とか選挙の自由のための[ ]保障とかは,[ ]が与えられることを前提とするものであって,憲法における選挙権ないしその行使としての[ ]の保障は,憲法における選挙が正当,公正に行われるべきことの要請ないしは選挙の自由のための[ ]の保障とはいわば次元を異にした保障であって,原則として,後者よりも優越した保障であり,したがって,後者の名においてそれが軽々に害されるようなことがあってはならない。」
1.選挙権 2.国民固有の権利 3.投票の秘密
4.投票の機会 5.成年者による普通選挙
[H02-08] 次の文章は,合憲性判定に関する論述の一節であるが,文中の[ ]には,下記のイからニまでの語句が入る。その順序として最も適当なものは,後記1から5までのうちどれか。
「我が国の最高裁判所は,近時,周知のように,合憲性判定に関して,制限の目的によって審査基準に違いを設ける[ ]を展開している。また,最高裁判所は,「職業の自由は,それ以外の憲法の保障する自由,殊にいわゆる精神的自由に比較して,公権力による規制の要請が強く」と,アメリカの[ ]と同様の趣旨を一般的表現で述べている。しかしながら,その精神的自由に関する[ ]は,今日の主流の規制タイプである間接的規制に広範な立法裁量を認める点に主眼があり,今日的規制を合憲とするための巧妙な構成であり,精神的自由の[ ]の実質的意義を無意味にするものである。西ドイツの連邦憲法裁判所も,自由で民主的な基本秩序にとって必要不可欠であることを理由にして,精神的自由が最も重要な権利の一つであることを認めている。しかし,そこからアメリカでいう「厳格な検査」のテストに相応するものが定式化されているわけではない。したがって,この点では西ドイツの連邦憲法裁判所のアプローチは参考にならないと思われる。それに対して,最高裁判所の経済的自由に関する[ ]は,「その大綱は学説によっても認められ,それほど異論はないと思われる。」と評されている。しかし私見によれば,連邦憲法裁判所が展開している制限の仕方によって審査の厳しさを異にする[ ]のアプローチを加味することが有効だと思われる。」
イ 二重の基準論 ロ 優越的地位論 ハ 規制類型論 ニ 段階理論
1.イ−ニ−イ−ロ−イ−ハ 2.ニ−ロ−ニ−ハ−ニ−イ
3.イ−ハ−イ−ロ−イ−ニ 4.ハ−イ−ロ−イ−ロ−ニ
5.ハ−イ−ハ−ロ−ハ−ニ
[H02-09] 次のAからEまでは,米国,西ドイツ,フランスの憲法裁判制度あるいは憲法裁判機関について説明したものである。下記1から5までは,AからEまでの説明がどの国に関するものかを記述したものであるが,正しいものはどれか。
A 憲法秩序の確保を直接の目的としたもので,憲法裁判制度の一つの理念型として評価を得ているが,その与えられた任務からして政治的過程に深くかかわらざるを得ない。一部の論者からは,その判決は,実は法的決定ではなく,偽装された政治的決定にほかならないということがいわれる。
B 最近では,必ずしも原告の個人的権利に厳格にこだわらず,憲法訴訟を提起して判断を求め得るとする傾向が強まっている。
C 純粋な意味での違憲立法審査機関(人権擁護のための裁判機関)であるというよりは,政治的仲裁者であるとする評価も少なくない。
D 制度の形成と発展に,歴史的,政治的経緯があり,それにより制度の性格や機能がいやおうなしに規定されている。
E ある時期には積極的に違憲立法審査権を行使して違憲判決を続出させるが,その次の時期には,これを抑制するということを繰り返していた。
1.Aはフランス,BとCは西ドイツ,Dは米国,Eは三国共通
2.AとEは米国,Bはフランス,Cは西ドイツ,Dは三国共通
3.Aは西ドイツ,BとEは米国,Cはフランス,Dは三国共通
4.Aは西ドイツ,Bは三国共通,CとEはフランスDは米国
5.Aはフランス,Bは米国,Cは西ドイツDとEは三国共通
[H02-10] 違憲審査に際し憲法上の争点に関連する諸事実が考慮の対象とされるが,裁判所において明らかにされるべき事実は「判決事実」と「立法事実」の二つに区別される。前者は,係属事件の解決だけの目的で確定されねばならぬ事実であり,後者は,法律を制定する場合の基礎を形成し,それを支えている背景となる社会的,経済的事実である。ところで,青少年に対する図書類の販売禁止を定める条例が違憲だと主張する際に,次の各主張のうち,立法事実を争っているものはいくつあるか。
ア 憲法にいう検閲は事前検閲に限定されるものではなく,本条例のように発行後に内容を検査するものであっても,発売を禁止するものは,実質的に流通過程から一定の図書類を強制的に隔離することになるので,検閲に当たる。
イ 条例の現実の運用をみると,取締当局が販売業者に圧力を加え指定図書類を店頭から追放するという事実が存するので,不良図書類の指定は事実上検閲に当たる。
ウ 規制目的は青少年の健全な育成を図るためであるが,その規制方法,手段の相当性を裏付ける事実状況が存せず,過度の規制である。
エ 本件図書の内容は,条例の定める有害図書に該当しないので規制の対象とはならず,表現の自由の観点からも保護されるべきである。
オ 立法当初はその規制方法,手段の相当性を裏付ける事実状況が存していたとしても,現在では,もはやその規制を必要とする社会的状況はない。
1.1個 2.2個 3.3個 4.4個 5.5個
[H02-11] 「平等」の観念の実定憲法上の表現形式の変化に関する次の論述において,( )内に入る語句を次のaからgまでのうちから選んで,これを順に並べたものとして最も適当なものは,下記1から5までのうちどれか。
「最初の形式は,特に( )の平等を強調することなく,その重点は,( )の平等に置かれていた。換言すれば,平等の原則が,人間の自由とともに,天賦の人権であることを,特に強調した形式であったといえるであろう。( )はその例である。( )に至ると,かかる天賦の人権としての平等の思想を深く存置させつつも,( )の平等の観念を強調することとなった。次いで,フランス共和国憲法(1793年)に至って,はじめて( )の平等の表現形式が現れるに至った。この状況では「すべての人は,生まれながら平等であり,かつ法の前に平等である。」と規定して,天賦の人権としての思想と,法的平等の思想とを併存せしめたのであった。ところが,19世紀の憲法の表現は,著しい変化を見せることになった。すなわち,( )という表現が消滅したこと,及び( )という表現形式が,自国籍人であることを明示するように変わったことである。」
a 生まれながら b 神の前 c 法の前 d すべての人
e イギリス権利章典 f ヴァージニア権利章典 e フランス人権宣言
1.abefccda 2.cbegdcad
3.abfgcdad 4.caefdcdc
5.cafgccad
[H02-12] 最高裁判所は,衆議院議員総選挙につき,選挙当時の議員定数配分規定は憲法の要求する選挙権の平等に違反することを認めながら,行政事件訴訟法第31条の事情判決の基礎にある一般的な法の基本原則を適用して,その配分規定に基づいて行われた選挙は違法であると主文で宣言するにとどめ,選挙無効の請求は棄却するいわゆる事情判決の法理を適用した。このような事情判決をすべきかどうかについて賛否両論があるが,次の1から5にはそれと直接関連のない論述が一つある。それはどれか。
1.社会権,国務請求権,参政権などに関する法律の違憲が争われている場合,その法律を違憲無効としてみても,権利救済がなされるわけではなく,かえって,不十分にせよ憲法の要求に合っていた部分をも排除することになってしまうのであり,それでは違憲を争う者の真の意図に答えたことにならない。
2.全議員の資格が遡及的に失われ,既に成立した法律の効力にも問題が生じ,衆議院の活動が不可能になって,定数是正もできなくなる。
3.定数配分規定が不可分で全体として違憲となるとしても,定数是正訴訟における選挙区選出議員の資格を将来に向かって失わせるだけで,衆議院の活動が法律上不可能になるおそれがあるとはいえない。
4.衆議院議員総選挙時には定数配分規定は憲法の選挙権の平等の要求に反する状態になっており,しかも,憲法上要求される合理的期間内における是正がなされなかったと認められるので,当該配分規定は,単に憲法に違反する不平等を招来している配分のみでなく,全体として違憲の瑕疵を帯びるものと解すべきである。
5.一歩誤れば,「公共の福祉」の名の下における違法な既成事実追認ということになりかねない。
(参照条文)
行政事件訴訟法第31条第1項 取消訴訟については,処分又は裁決が違法ではあるが,これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において,原告の受ける損害の程度,その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ,処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは,裁判所は,請求を棄却することができる。この場合には,当該判決の主文において,処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
[H02-13] 憲法第29条第2項は,「財産権の内容は,公共の福祉に適合するやうに,法律でこれを定める。」と規定しており,財産権は法律によって制限されるが,その制限の態様には,内在的制限と政策的制限がある。次のAからEまでの規制を内在的制限と政策的制限とに分類した場合,下記1から5までのうち最も適切な分類はどれか。
A 食品衛生法による食品の販売・管理に関する制限
B 消防法や宅地造成等規制法による災害予防のための制限
C 独占禁止法による私的独占の禁止や不当な取引の制限
D 借地法・借家法による地主や家主の財産権の制限
E 民法第209条(隣地立入権),210条(袋地所有者の囲繞地通行権)などによるいわゆる相隣関係上の所有権の制限
1.順に,政策,政策,内在,内在,政策
2.順に,政策,内在,政策,政策,内在
3.順に,政策,政策,内在,政策,政策
4.順に,内在,内在,政策,政策,内在
5.順に,内在,内在,政策,内在,内在
[H02-14] 次の1から5までのうち,AとBの関係が他と異なるものが一つある。それはどれか。
1.A 国家は,国民の「健康で文化的な最低限度の生活」を侵してはならない。
B 国家は,国民に対し「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するため,積極的な施策を施さなければならない義務がある。
2.A 国家は,何人に対しても,信仰を持つことあるいは持たないこと,また信仰を告白することを強制してはならない。
B 国家は,信教の自由を完全なものにするため,制度的保障としての政教分離の原則を守る義務を負う。
3.A 国家は,個人の学問研究活動及びその成果の発表を妨げてはならない。
B 国家は,大学や研究施設の創設,拡充という積極的行為をなすことが必要とされる。
4.A 国家は,勤労者の団結権等を侵害してはならず,正当な争議行為を刑事制裁の対象としてはならない。
B 国家は,勤労者に対して人間に値する生存を保障するために,立法その他の措置をとる義務を負い,勤労者はそのような措置を講ずることを国に要求できる。
5.A 国家は,誤った知識や一方的な観念を子供に植えつけるような内容の教育を施すことを強制してはならない。
B 国家は,国民に対し,合理的な教育制度と適切な教育の場を提供するという措置をとる義務を負う。
[H02-15] 次の各記述のうち,憲法第13条に違反する可能性が最も強いものはどれか。
1.親は,子の名を自由に決定する権利を有するところ,法律で,子の名に用いる文字の制限を課すること。
2.国民は,自己の趣味に応じてスポーツを楽しむ自由を有するところ,税法で,ゴルフ場の利用者に対し娯楽施設利用税を課すること。
3.国民が自家用に酒を造り楽しむことは,他人の権利とかかわりを持たない純粋に私的な事柄であるところ,租税収入を確保するため,税法で,個人の自家用の酒造りであっても酒類を製造しようとする者は所轄税務署長の免許を受けなければならないとすること。
4.大麻は,酒,煙草同様,本来個人の自由な嗜好に任せられるべきものであるところ,法律で,大麻の所持,譲渡などを制限禁止すること。
5.婦女子は,子を生むか,生まないかの自由を有するところ,法律で,未婚の未成年者の人工妊娠中絶に際して親権者の同意を絶対的な要件とすること。
[H02-16] 大学教授Aと学生Bの
『A 憲法第92条と第93条第2項にいう「地方公共団体」は同じものですか。
B はい。第92条は,「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は,地方自治の本旨に基いて,法律でこれを定める。」となっており,第93条第2項は「地方公共団体の長,その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は,その地方公共団体の住民が,直接これを選挙する。」と規定していますが,同じ憲法の規定ですから,同じ概念です。』
との会話に続いて,次の問答が行われた。Bの答えの中で明らかに間違っているものはいくつあるか。
A それではそれを前提として聞きますが,その「地方公共団体」にはどのようなものが含まれますか。
B その「地方公共団体」が何かは,憲法第92条により,法律でこれを自由に定めることができ,具体的には,地方自治法によって定められることになります。それによれば,普通地方公共団体と特別地方公共団体の2種類があります。
A その普通地方公共団体と特別地方公共団体には,どのようなものがありますか。
B 地方自治法によれば,普通地方公共団体には都道府県及び市町村が含まれ,特別地方公共団体には特別区や財産区などが含まれています。
A 特別地方公共団体の長についてはすべて,憲法第93条第2項によって,住民の直接選挙が必要となるのでしょうか。
B それは当然必要です。
A 地方自治法を改正することによって,「地方公共団体」の種類を変えられますか。
B 憲法は,抽象的,一般的に「地方公共団体」とのみ定めているので,これはその種類・範囲を法律の定めるところにゆだねたものと解さざるを得ません。したがって,法律の裁量事項ですから,国会は自由に変更できます。
A ところで,現在の都道府県制を廃止し,市町村制のみとすることについて,憲法上問題がありますか。
B 憲法で規定している「地方公共団体」とは,その地域住民が共同生活を営む上に自律的に地域団体としての社会的実体を備えており,かつ基礎的,普遍的な地域団体と認められるものをいうので,現在の都道府県はそれに該当します。したがって,都道府県制を廃止し市町村制のみとすることはできないと思います。
1.1個 2.2個 3.3個 4 .4個 5.5個
[H02-17] 次の1から5までの記述の中で,憲法改正の方法が代表民主制との関係において議会における議決で足りるか,国民投票までも要するかという議論に関して,いずれかの見解を基礎付ける論拠としては不適切なものが一つある。それはどれか。
1.国家の最高段階の法規としての憲法は最も強い正統化が要請される。その要請は,国民主権主義の確立に相応じ国民意思による正統化を必要とする。
2.憲法制定権力も,法治国家の基本的価値−それを根本規範,自然法,永久の規範などと呼ぶかどうかはここでは問題ではない−には拘束される。
3.人民の主権は社会契約説と結びついている。レファレンダムはその論理的帰結にほかならない。レファレンダムの理論は,要するに,人民によって結ばれる社会契約の表現そのものである。
4.主権の実体は国民に存するが,その行使だけは議会に委任される。代表者は国民の意思を表現する権力あるいは国民のために意思する権力として,国民と同一性をもつものであり,代表者の共同意思は国民自体のそれに相当するものである。
5.国民代表と選挙人団がスイスでは根本的な対立関係において把握され,公権力作用が形成されてきた歴史がある。国民代表は立法機関として国民と対立関係に置かれることになる。
[H02-18] 次の1から5までのうち,右欄記載の事項が,左欄記載の事項と憲法上の関係において明らかに異なるものが一つある。それはどれか。
1
歳費受領権
不逮捕特権
免責特権
2
議員の資格争訟の裁判
弾劾裁判所による裁判官の裁判
司法裁判所による裁判
3
憲法尊重擁護義務
憲法改正における国民投票制度
違憲立法審査権
4
政治犯罪
出版に関する犯罪
憲法第3章で保障する国民の権利が
問題となっている事件
5
法律案の議決
予算案の議決
内閣総理大臣の指名
[H02-19] 以下の叙述は,「人権」「基本権」「自然権」の区別に関するものであり,〔A〕は〔T〕の,〔B〕は〔U〕の各見解を敷衍したものであるが,〔A〕,〔B〕の叙述の[ ]の中には,「人権」「基本権」「自然権」のいずれかの言葉が入ることになる。その使用回数として正しいものは,後記1から5までのうちどれか。
〔T〕 「人権」と「基本権」とを区別しようとする考え方も存在する。例えば,「人権」は人間固有の超憲法的な自然権であるのに対し,「基本権」は「人権」のように超憲法的な権利ではなく,国の基礎法である憲法によって直接に定められた権利であるという見解である。
〔U〕 「人権」を「自然権」と呼ぶにしても18世紀的な個人の自由権に限る必要はなく,社会の進展は,常に新しい「人権」を主張させるのであって,民主主義を人類不変の政治原理とする以上は,国民の参政権も,「人権」の一つに数えあげられねばならないし,現代のような経済情勢のもとで,一定の社会的政策を必須とするときにあっては,生存権もまた「人権」として登場してくることになるのであろう。
〔A〕 [ ]とは実定的な権利のことであり,[ ]とは[ ]のことであるとされ,「人権」は時代的・場所的制約のない普遍的なもので,自然若しくは神の創造秩序に根拠付けられた神聖不可侵なものであるのに対し,[ ]は法的・制度的に保障されたものであって,その妥当性は時代的にも場所的にも制約を受けたものであり[ ]が[ ]のなかに制度化されている場合は,両者の区別は見方の違いであるということになる。
〔B〕 [ ]と[ ]とが区別され,むしろ区別して論ずることが一般的であるとさえいわれることがある。すなわち,[ ]と[ ]とは,普遍性,不可譲性及び政府からの独立性において共通性を有する。しかし,他面,[ ]は絶対的であって制約に服することはないと通常いわれるが,[ ]はそのように定義されず,また,[ ]はいつの時代にも妥当するものとされ,したがって,新しい[ ]が発生しあるいは創造ないし発見されるようなことはないが,[ ]はそのようなものではなく,新しく発生したり創造・発見されたりするというわけである。
1.「人権」3回 「基本権」7回 「自然権」5回
2.「人権」3回 「基本権」5回 「自然権」7回
3.「人権」5回 「基本権」7回 「自然権」3回
4.「人権」6回 「基本権」3回 「自然権」6回
5.「人権」5回 「基本権」3回 「自然権」7回
[H02-20] 次の1から5の公務員のうち,国民による直接の罷免制度を法律で設けることが憲法上許されないものはどれか。
1.人事院の人事官
2.最高検察庁の検察官
3.会計検査院の検査官
4.公正取引委員会の委員
5.高等裁判所の裁判官