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司法試験・択一問題
(平成7年・刑法)


[H07-41] 住居侵入罪(建造物侵入罪を含む)の保護法益について,住居の事実上の平穏とする説(甲説)と,住居にだけを立ち入らせるかを決める自由とする説(乙説)とがあるものとし,TないしVの事例について,各説とaないしgの記述とを組み合わせた@ないしHの(  )に入るものとして,正しいものはどれか。
事例T 窃盗の目的でホテルのロビーに宿泊客を装って立ち入った。
事例U 不倫の目的で,夫の不在中に妻の承諾を得て,その住居に入った。
事例V 強盗の目的を秘し,家人の承諾を得て,その住居に入った。
a 平穏を害する態様ではない。
b 居住者が複数いる場合には,全員の承諾又は推定的承諾か必要である。
c 居住者が複数いる場合でも,現住する者の承諾だけで足りる。
d 錯誤に基づく承諾は無効である。
e 立入り自体は承諾している。
f 管理責任者の推定的承諾又は包括的承諾がある。
g 管理責任者の推定的承諾及び包括的承諾の範囲を超えている。
@事例Tにつき,甲説に立ち,aと考えれば住居侵入罪の成立を(  )し得る。
A事例Tにつき,乙説に立ち,gと考えれば住居侵入罪の成立を(  )し得る。
B事例Tにつき,乙説に立ち,fと考えれば住居侵入罪の成立を(  )し得る。
C事例Uにつき,甲説に立ち,aと考えれば住居侵入罪の成立を(  )し得る。
D事例Uにつき,乙説に立ち,bと考えれば住居侵入罪の成立を(  )し得る。
E事例Uにつき,乙説に立ち,cと考えれば住居侵入罪の成立を(  )し得る。
F事例Vにつき,甲説に立ち,dと考えれば住居侵入罪の成立を(  )し得る。
G事例Vにつき,乙説に立ち,dと考えれば住居侵入罪の成立を(  )し得る。
H事例Vにつき,乙説に立ち,eと考えれば住居侵入罪の成立を(  )し得る。
1.@否定 A肯定 B否定 C否定 D肯定 E否定 F肯定 G肯定 H否定
2.@肯定 A否定 B肯定 C肯定 D否定 E肯定 F否定 G否定 H肯定
3.@否定 A肯定 B否定 C否定 D肯定 E否定 F否定 G否定 H否定
4.@肯定 A否定 B肯定 C肯定 D否定 E肯定 F肯定 G肯定 H肯定
5.@否定 A肯定 B否定 C否定 D否定 E肯定 F肯定 G肯定 H否定



[H07-42] 以下の@ないしEは,放火罪の「焼燬」の意義につき,「火力により目的物の重要部分が失われ,本来の効用を喪失したこと」と解する学生Aと,「目的物が独立して燃焼を継続し得る状態に達したこと」と解する学生Bの発言であるが,このうちBの発言は何個あるか。
@ 僕の見解では,一般的に未遂になる場合が少なくなるが,酌量減軽や執行猶予の規定の運用によって具体的妥当性を図ることができる。
A 君の見解では,放火罪に財産犯的側面があることが軽視される。
B 君の見解では,木造家屋が多い現状から見て,未遂になる場合が少なくなる。
C 君の見解では,放火罪が公共危険犯であることが軽視される。
D 君の見解では,目的物が燃焼しなくても既遂になる場合があり,「焼燬」という文言に反する。
E 君の見解では,未遂罪のない失火罪の成立範囲が狭くなるのではないか。
1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個



[H07-43] 以下の議論では,学生AないしDは,中止犯の法的性格に関し,下記@ないしBの立場のいずれかに立っている。次の組合せの中で最も適切なものはどれか。
A B君の見解によると,刑の減軽の場合と免除の場合とを区別する理由が不足するのではないか。
B 既遂,未遂にかかわらず,刑の滅軽及び免除の法的効果を与えるというのであれば,A君の見解も分かるが,現行法においては中止犯が認められるのは未遂の場合だけであるから,説明がつかないのではないか。
C 刑の減軽及び免除は,裁量的に決められるのであるから,D君の見解にそぐわないのではないか。
D C君は制限従属性説を採るというか,そうだとすれば,中止した者の共犯者にも刑の減軽及び免除の法的効果を与えるという結果になってしまう。
@ 犯人が犯罪を完成するのを防ぐための政策的考慮による。
A 犯罪行為の違法性か減少する。
B 行為者の責任が減少する。
1.A@ BA C@ DB
2.AA B@ CB DA
3.AA BB CA D@
4.AB B@ CA D@
5.AB BB C@ DA



[H07-44] 次の事例に対するAとBの会話の(  )に適切な語を入れた場合,(ア)及び(イ)に入るものはどれか。「飲食店の客甲は,店長乙の態度に立腹し,店の営業を妨害するために,『この店は不潔だ。』と怒鳴りながら,乙の足元の床を目掛けて多数の皿を投げ付けた。甲には皿を乙に命中させる意図はなかったが,これを避けようとした乙は,転倒し,頭を強打して死亡した。割れた皿は店内に散乱し,店の営業に支障を来した。」
A 皿を割って店内に散乱させた点は(  )に当たるだろう。
B 「この店は不潔だ。」と怒鳴った点で(  )の成立が一応問題となる。
A 次に問題となるのは,甲の行為が(  )にいう(  )に当たるかだ。
B これが肯定されなければ,結果的加重犯である(  )が成立しないことになる。
A (  )の成立には,必ずしも身体への抵触を要しないと思う。
B いや,身体への抵触を不要とすれば,(  )の保護法益が身体の安全感となり,(  )を危険犯化して処罰範囲を不当に拡大しかねない。
A 確かに,(  )は,原則として侵害犯と思うが,(  )の未遂を含む点ではやはり危険犯としての性格も有すると思う。
B この点は,意見が分かれるが,僕の見解によれば,この事例では(ア)が成立し,君の見解では(イ)が成立することになる。
1.ア 威力業務妨害罪と傷害致死罪  イ 威力業務妨害罪と過失致死罪
2.ア 威力業務妨害罪と過失致死罪  イ 威力業務妨害罪と傷害致死罪
3.ア 偽計業務妨害罪と傷害致死罪  イ 偽計業務妨害罪と過失致死罪
4.ア 器物損壊罪と傷害致死罪    イ 器物損壊罪と過失致死罪
5.ア 偽計業務妨害罪と過失致死罪  イ 偽計業務妨害罪と傷害致死罪



[H07-45] 下表は,下記の事例TないしVにおいて甲に刑法上のいかなる犯罪が成立するかについての学生AないしDの採る結論を示したものである。各学生が下記の@ないしCのいずれの考え方に立つかについての組合せのうち最も適切なものはどれか。
T 甲は,乙の所有する物を損壊する故意で発砲したが,弾丸はこれに命中せず,付近にいた丙に命中し,丙を死亡させた。
U 甲は,自動車運転中に誤って乙をひいて,乙が死亡したものと思い,乙を人里離れた山中に運んで遺棄したが,乙はまだ生きており,遺棄されたことにより生命の危険にさらされた(業務上過失傷害罪については考えない。)。
V 甲は,駅の待合室のベンチに置かれたバッグを遺失物と思い持ち去ったが,これは,待合室内の売店で買物をしていた乙の所有物あった。
  T U V 
A 過失致死 犯罪不成立 犯罪不成立
B 殺人 保護責任者遺棄 窃盗 
C 器物損壊,過失致死 死体遺棄 占有離脱物横領
D 過失致死 犯罪不成立 占有離脱物横領
(法定刑)死体遺棄罪5年以下の懲役,保護責任者遺棄3月以上5年以下の懲役
@ 私は,行為者が認識した事実と発生した事実につき,構成要件が形式的に重なり合っている場合に,その限度で故意犯が成立すると考える。
A 私は,両者につき構成要件が重なり合っていなくとも,罪質が共通していればその限度で故意犯が成立すると考える。
B 私は,行為者が罪となるべき事実を認識した上で,何らかの法益を侵害した場合に,認識した事実について,刑法第38条第2項の限度で故意既遂犯が成立すると考える。
C 私は,実現事実が認識事実より重いとき,重い実現事実の犯罪が成立し,刑法第38条第2項により,軽い罪の刑で処断すべきものと考える。
1.A@ BB CC DA
2.A@ BC CB DA
3.AA BB CC D@
4.AA BC C@ DB
5.AA BC CB D@



[H07-46] 以下のAないしFを並べ換えると未遂犯と不能犯とを区別する基準についての二人の会話となる。その順序として正しいものは,後記1から5までのうちどれか。
A その点については僕も賛成だ。
B 未遂犯と不能犯とを区別する基準は,既遂結果発生の現実的危険の有無であるが,それを事後的・客観的に判断すると,既遂結果が発生しなかった場合には,危険がなかったことになり,よって未遂犯は成立しなかったことになる。
C 未遂犯の成立要件である実行の着手は,行為について判断すべきである。そして,既遂結果発生の現実的危険の有無の判断は,一般人の認識し得た事情及び行為者が特に認識した事情を基礎に一般人の立場で行うべきものである。
D 危険の有無を行為時に判断すれば,僕の立場でも,既遂結果の発生の確率的判断となるから既遂結果が発生しなかったとしても,危険があったことになる。
E 君の意見だと僕が最初に言った問題点が解決できないのではないか。
F 未遂犯は結果犯であると考えるべきであり,既遂結果発生の危険を未遂の結果と考えるならば,その有無については,科学的・客観的に判断する必要がある。一般人の不確かな認識に基づいて危険の有無を判断するのは妥当でない。
1.B−F−C−D−E−A
2.B−D−E−F−C−A
3.B−D−A−F−E−C
4.B−A−C−F−E−D
5.B−F−A−E−C−D



[H07-47] Aは,友人Bに対し,「Yの単車を燃やせ」と指示した。BはY方家屋の軒下にあったXの単車を燃やし,同家屋に延焼させて公共の危険を生じさせた。裁判所は,「刑法第110条第1項の放火罪が成立するためには,火を放って同条所定の物を焼燬する認識のあることが必要であるが,焼燬の結果公共の危険を発生させることまでを認識する必要はない」旨判示してAを有罪とした。以下の@ないしEは,この判決に賛成する学生甲と反対する学生乙の議論であるが,乙の発言は何個あるか。
@ 君の見解は,結果責任を認めるものであり,責任主義に反するのではないか。
A 君の見解は,刑法第110条第1項が「因テ公共ノ危険ヲ生セシメ」と規定しており,結果的加重犯を定めたものと理解すべきことを看過している。
B 僕の見解は,公共の危険の発生を客観的処罰条件とする立場と同じ結論になる。
C 君の見解によると,「公共の危険発生の予見はあるが,刑法第108条,第109条第1項の建造物に絶対延焼しないと思うという心理状態」を想定することになるが,現実にこのような心理状態を認め得るのか疑問だと思うよ。
D 君の見解によると,共犯における錯誤の問題が生じるのではないか。
E 君の見解によると,刑法第110条第2項の解釈がおかしくなる。本来,自己の所有物を焼燬することは違法ではないから,結果として,公共の危険の発生を認識していなければ過失犯しか成立しないはずである。
1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個



[H07-48] 刑法第103条は,「罰金以上ノ刑ニ該ル罪ヲ犯シタル者又ハ拘禁中逃走シタル者ヲ蔵匿シ又ハ隠避セシメタル者ハ……ニ処ス」と規定している。逮捕・勾留中の犯人甲の身代わりとして警察に出頭した乙の罪責に関するA,Bの各見解中の( )に下記@ないしEから適切な語を入れた場合,使用回数の最も多い語と最も少ない語の回数の差は何回か。
A 刑法第103条の立法趣旨は,( )に向けられた刑事司法作用の保護にある。また,同条の規定する行為のうち,( )は,( )について行うことは考えられず,同条の規定する客体のうち,( )については,( )がなされていない者を予定している。したがって,本犯の嫌疑により既に( )については,( )がなされているのであるから,( )がなされても,それだけで本罪の成立を認めることはできず,その結果として,誤ってその逮捕・勾留が解かれるに至ったときに,犯人を( )させたということができる。
B 本条は,( )に限らず,犯人の特定作用も含む刑事司法作用を広く妨害する行為を処罰する趣旨・目的に出たものである。( )は,それ自体犯人の発見・逮捕を困難にさせる上,犯人の特定に関する捜査にも混乱・妨害を及ぼすから,犯人が逮捕・勾留されていたとしても( )になる。
@蔵匿  A隠避  B拘禁中逃走したる者  C逮捕・勾留されている者  D官憲による身柄の確保  E身代わり自首
1.1回   2.2回   3.3回   4.4回   5.5回



[H07-49] 故意についてのTないしXの学説と,それに関する以下の各記述を組み合わせた@ないしDのうち,誤っているものは何個あるか。
T 故意の要件として,違法性の意識を必要とする説。
U 故意の要件として,違法性の意識を必要としないが,違法性の意識を欠いたことに過失がある場合には,故意を認める説。
V 故意の要件として,遵法性の意識を不要としないが,違法性の意識の可能性を必要とする説。
W 故意の要件として,違法性の意識を不要とし,違法性の意識の可能性を故意犯・過失犯に共通する独立責任要素とする説。
X 故意の要件として,また,犯罪論体系上のどの要素としても,違法性の意識及び違法性の意識の可能性を不要とする説。
A 犯罪事実の認識があり違法性の意識及び違法性の意識の可能性がない場合には,故意犯は成立しないが,過失犯は成立する余地がある。
B 犯罪事実の認識があり違法性の意識及び違法性の意識の可能性がない場合には,故意犯も過失犯も成立しない。
C 犯罪事実の認識があり違法性の意識及び違法性の意識の可能性がない場合には,故意犯が成立する。
D 犯罪事実の認識があり違法性の意識がない場合には,故意犯が成立し得る。
a 違法性の錯誤は,その理由を問わず,故意を阻却する。
b 違法性の錯誤は,その理由を問わず,故意を阻却しない。
c 違法性の錯誤は,その理由によっては,故意を阻却する。
ア この説明には,常習犯人や確信犯人に対する処罰や刑の加重の根拠を説明するのが困難になるという批判があり得る。
イ この説明には,責任主義と矛盾する場合があるという批判があり得る。
ウ この説明には,故意と過失という相排斥し合う概念を結合しようとする点に矛盾があるという批判があり得る。
エ この説明には,故意を単なる構成要件的事実に認識として形式的に決めることを前提としているという批判かあり得る。
オ この説明には,行政犯に対して取締目的を達成するのが困難になるという批判があり得る。
@T−Abオ  AU−Dcウ  BV−Baア  CW−Abア  DX−Cbイ
1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個



[H07-50] 次の(  )内に下記@ないしLのうち適切なものを入れると,実行の着手についての説明となる。( A )ないし( C )に入るものはどれか。
 「(  )説は,(  )に実行の着手を認め,未遂犯処罰の根拠を(  )に求めている。これに対して,(  )説は未遂犯処罰の根拠を(  )に求め,実行の着手を(  )的基準によって定める。( A )説は,(  )に実行の着手を認める(  )説と,(  )に実行の着手を認める(  )説とに大別される。(  )説も,行為は窃盗罪の実行の着手を否定し,(  )にはこれを肯定する。(  )説のうち( B )説においては,例えば,女性を自動車で連行し強姦しようとした場合,無理に車内に引きずり込もうとした時点で実行の着手を認めるのも不可能ではないが,この時点では姦淫行為の直接の手段としての暴行が認め難いので,(  )説からは問題がある。しかし,この説でも,実行の着手に( C )を含むと広く解することにより,これを認めることができる。」
@主観  A客観  B折衷  C形式的客観  D実質的客観  E犯罪を徴表する外形的行為が行われた時  F構成要件該当行為が開始された時  G結果発生の具体的危険が切迫した時  H構成要件該当行為に密接する行為が行われた時 I行為者の犯罪意思の危険性  J行為の持つ法益侵害の危険性  Kいわゆる当たり行為の場合  L金品窃取の目的で行われた場合
1.A@BBCG
2.A@BCCE
3.AABDCH
4.AABCCH
5.ABBDCG



[H07-51] 以下の@ないしDは緊急避難につき,「違法だが適法行為の期待可能性を欠き,責任が阻却される」と解する学生Aと,「違法性が阻却される」と解する学生Bの議論の一部であるが,このうちAの発言は何個あるか。
@ 制限従属性説を前提とすると,正犯が緊急避難行為をした場合,僕の見解では共犯についても緊急避難の成立が認められるが,君の見解では認められない。
A 緊急避難行為に対しては,僕の見解では正当防衛も緊急避難も可能だが,君の見解では正当防衛ができない。
B 生命対生命のように法益が同価値の場合,君の見解では説明が困難だ。
C 他人のための緊急避難も認められているから,君の見解は妥当でない。
D 法益の権衛が緊急避難の要件とされているから,君の見解は妥当でない。
1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個



[H07-52] 刑法第240条後段「強盗人ヲ死ニ致シタルトキハ死刑又ハ無期懲役ニ処ス」に関する以下の各記述を組み合わせた@ないしDのうち,誤っているものは何個あるか。
T 第240条後段は,結果的加重犯のほか殺意のある場合を含む規定である。
U 同条後段は,結果的加重犯だけを規定している。
ア 第240条後段に殺意のある場合を含めないと刑の不均衡が生じる。
イ 「死ニ致シタル」という文言は,傷害致死罪と同じである。
ウ 殺意のない場合に法定刑が死刑と無期懲役だけであるのは罪刑の均衡を失する。
エ 立法政策上,結果的加重犯と故意犯とを同一の条文,文言で規定し,これに同一の法定刑をもって臨むことは好ましくない。
A 殺意があった場合は,殺人罪と第240条後段の観念的競合である。
B 殺意があった場合も,同条後段のみが適用される。
C 殺意があった場合は,殺人罪と強盗罪の観念的競合である。
a 第240条後段の未遂は,殺人が未遂の場合だけである。
b 同条後段の未遂は,強盗が未遂の場合と殺人が未遂の場合の両方を含んでいる。
c 同条後段の未遂は,強盗が未遂の場合だけである。
@TイBa  ATアAc  BTウBc  CUエAb  DUイCc
1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個



[H07-53] 次の〔@〕ないし〔B〕にTないしVの文章を並べ換えて入れた場合に,またTないしVの(  )にAからLまでの語句を当てはめたとき〔A〕,〔B〕に当てはまる語句以外の語句を並べたものは1から5のうちどれか。
 「〔@〕。従来は〔A〕と説明されてきた。しかし〔B〕。」
T これらを結び付けることは論理必然的なものではない。(  )は共犯本質論における(  )によっても,共犯処罰根拠論の(  )を前提とすれば,採り得ると考えられる。
U (  )は共犯本質論における(  )から導かれ,(  )は共犯本質論における(  )から導かれるとされてきた。すなわち前者は教唆の実行行為はないとして教唆者が被教唆者に犯罪を実行させる決意を生じさせる意思があればよいとし,後者は教唆の実行行為があるとして,教唆者に構成要件的結果の発生について認識を必要としている。
V 教唆者が被教唆者の実行行為を初めから未遂に終わらせる意思で教唆することを,(  )という。これについては(  )と(  )とが対立している。
A共犯独立性説  B共犯従属性説  C行為共同説  D犯罪共同説  E責任共犯論F因果的共犯論  G可罰説  H不可罰説  I教唆の未遂  J未遂の教唆  K結果発生の認識  L結果発生の危険性の認識
1.A,B,E,F,G,H
2.C,D,E,I,J,L
3.E,F,G,H,I,K
4.C,D,E,F,J,L
5.C,D,I,J,K,L



−[H07-54]及び[H07-55]−

 次の文中の【ア】ないし【カ】に,下記@ないしEのうち適切なものをそれぞれ一つ入れるとともに,(  )に下記AないしPから適切な語句を入れると,刑法第36条第1項の「防衛スル為メ」との文言と偶然防衛の関係について説明となる。これに関する後記[H07-54]及び[H07-55]の問いに答えよ。
 「【ア】,まず【イ】。もっとも,【ウ】。この説に対しては,【エ】。これに対し,【オ】。この説に対しては,【カ】。」
@ (  )説は,違法性の判断においては,単に(  )だけではなく(  )をも考慮しなければならないとする考え方に立脚する。この説では,偶然防衛は,(  )の側面が問題とされるから,違法性が(  )
A 過剰防衛について,これを(  )と見るのであれば(  )が必要であるとの帰結にならざるを得ないであろうが,これは正当防衛に(  )が不要であるとすることと均衡を欠くとの批判がなされている
B この問題は,(  )の存否・範囲の問題と関連しており,従前は,(  )と(  )の対立の側面において論じられてきたが,最近では,(  )論と(  )論に(  )論を併用する立場との対立の側面において論じられるようになった
C (  )説は,違法性の判断においては,(  )だけを考慮すればよいとする考え方に立脚する。この説では,偶然防衛は,(  )がないので,違法性は(  )
D (  )は客観的要素を超過している場合に認められるものであるが,(  )の場合は客観的要素を超過していないとか,結果犯における違法性の判断においては,まず(  )を問題とし,それが肯定された場合に違法性を減少させる方向で(  )を考慮すべきであって,偶然防衛においては(  )が肯定できない以上,(  )のみで違法性を肯定することはできないとの批判がある
E この説の中にも,(  )の内容については,(  )のみで足りるのか,(  )が必要なのかについては異なる意見がある。突然殴りかかられたことに憤激して相手を突き飛ばした事案において,(  )を必要とした場合には,(  )か認められないが,これを不要とした場合には逆の結論になる
A 急迫不正の侵害に対応する認識  B 防衛の意図・動機  B 責任減少事由  D 違法性減少事由  E 主観的違法要素  F 客観的違法性  G 阻却される  H 阻却されない  I 主観主義  J 客観主義  K 防衛の意思必要  L 防衛の意思不要  M 行為無価値  N 結果無価値  O 防衛の意思  P 防衛の目的



[H07-54] 上記@ないしEの(  )に入らない語句の組合せとして正しいものはどれか。
1.@K,AP,BD,CK,DM,EB
2.@O,AD,BC,CP,DF,EA
3.@J,AB,BM,CO,DE,EC
4.@P,AC,BE,CE,DD,EP
5.@L,AD,BF,CK,DF,EK



[H07-55] 上記文中の【ウ】と【カ】に入るものの組合せとして正しいものはどれか。
1.ウ@,カC
2.ウB,カ@
3.ウD,カA
4.ウE,カA
5.ウE,カB



[H07-56] 次の文章の(  )に入れるべき語の組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。
 「共同正犯の成立につき,狭義の共犯に関する(ア)と同様に考えるか,(イ)と同様に考えるかは,共同正犯の性格をどのように理解するかということと関係してくる。まず,(ウ)は,共同正犯を一個の犯罪の実現に向けて互いに協力し合う関係とみるから,その中に適法に行為する者が存在するということは想定しにくく,(イ)と同様に考える見解に結び付きやすい。これに対し,(エ)は,共同正犯者は他の共同者に働き掛けてその行為及び結果に因果関係を及ぼすものとみるから,(ア)と同様に考える見解と(イ)と同様に考える見解の両方が成り立ち得る。前者の見解では,Aが他の共同者Bの行為を介して結果に因果関係を及ぼした以上,Bの行為が適法であっても,Aにとっては違法と評価できる場合があり,その場合には,AはBの行為とその結果についても責任を負い,適法行為との共同正犯が成立する。後者の見解では,Aが他の共同者Bの行為を介して結果に因果関係を及ぼしたとしても,Bの行為が適法な場合には,Aにつき(オ)が成立するような場合は別として,Aが結果に因果関係を及ぼす過程を違法とみるべきではなく,AはBの行為とその結果については責任を負わず,共同正犯は成立しない。」
1.ア最小従属性説,イ極端従属性説,ウ行為共同説,エ犯罪共同説,オ教唆犯
2.ア制限従属性説,イ最小従属性説,ウ犯罪共同説,エ行為共同説,オ教唆犯
3.ア最小従属性説,イ制限従属性説,ウ犯罪共同説,エ行為共同説,オ間接正犯
4.ア極端従属性説,イ制限従属性説,ウ行為共同説,エ犯罪共同説,オ間接正犯
5.ア制限従属性説,イ最小従属性説,ウ犯罪共同説,エ行為共同説,オ教唆犯



−[H07-57]及び[H07-58]−

[H07-57] 次の論述中の(  )に,下記のアないしニから適切な語を入れた場合(使用しない語もある。),最も多く使う語とその次に多く使う語の使用回数の差は何回か。
 「横領罪も背任罪も,他人の事務に関する(  )に背く犯罪といつ点では共通である。他方,横領罪における事務は(  )という(  )であるのに対し,背任罪における事務は(  )を含む(  )であり,(  )が成立するときは(  )が成立しないと解すべきである。また,自己の占有する(  )については,(  )が原則として成立しないが,(  )は成立し得る。さらに,横領罪は(  )に対する犯罪であり(  )があれば直ちに(  )となるのに対し背任罪は(  )に対する犯罪であり,(  )か発生した時に(  )となる。行為態様からみると,信任関係に違背する処分行為が(  )であれば(  )となり,(  )であれば(  )となると解すべきである〔A説〕。この点については,処分行為を(  )で行えば(  )となり,(  )で行った場合には,それが(  )で行われれば(  ),(  )で行われれば(  )と考える立場もある〔B説〕。しかし,A説においても,(  )の行為であっても,委託の趣旨から絶対に許されない行為は実質的には(  )行為であって(  )が成立すると考えられ,B説においても,このような行為は,(  )で行われたとしても,(  )で行った行為であるとして(  )の成立を認めるから,両者の結論は実質的にはさほど異ならないといえる。」
ア 全体財産   イ 個別財産    ウ 物の占有    エ 背任罪
オ 横領罪    カ 委託信任関係  キ 特定の事務   ク 財産管理事務一般
ケ 既遂     コ 未遂      サ 権限逸脱    シ 権限濫用
ス 本人名義   セ 自己名義    ソ 本人の計算   タ 自己の計算
チ 形式的権限内 ツ 実質的権限内  テ 因果関係    ト 財産的損害
ナ 他人の財物  ニ 自己の財物
1.1回   2.2回   3.3回   4.4回   5.5回



[H07-58] 上記の記述を前提にすると,甲の罪責につき,誤っている記述は何個あるか。
A 甲が,所有する不動産を乙に売却し,代金受領後,所有権移転登記をしないうちに,丙から借金し,同不動産につき,丙のために抵当権設定登記をした場合,横領罪が成立し得るが,背任罪は成立しない。
B 甲が,乙から借金し,所有する不動産に抵当権を設定することを約したがその登記をする前に,丙から借金し,同不動産につき,丙のために抵当権設定登記をした場合,横領罪が成立し得るが,背任罪は成立しない。
C 甲が,所有する農地を乙に売却し代金受領後,農業委員会の許可を得ないうちに,農地を丙に売却し,農業委員会の許可を受けて丙のために所有権移転登記をした場合,農業委員会の許可がないときは農地の所有権移転の効力が生じないと考えられ,横領罪が成立し得るが,背任罪は成立しない。
D 信用組合の理事長甲が,融資を受ける資格はあるが資力の乏しい丙に対し信用組合名義で無担保で貸し付けた場合,背任罪が成立し得る。
E 信用組合の理事長甲が自己のギャンブル資金に充てる目的で,友人乙に対し,信用組合名義で無担保で貸し付けた場合,横領罪が成立し得る。
1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個



−[H07-59]及び[H07-60]−

[H07-59] 次のAないしEは,クレジットカードを利用した詐欺に関する判決の要旨を順不同に並べたものであるが,これを正しい順序に従って並べると,「(ア)。したがって,(イ)。もし,(ウ)。一見確かに,(エ)。結局,(オ)。」となる。後記1ないし5のうち,その順序として最も適切なものはどれか。
A 加盟店は,信販会社から代金を受け取るので,利用客の信販会社に対する返済の意思・能力に関心を払う必要がないとも考えられるが,これは一面的な見方である。
B 利用客がカードを呈示し売上票に署名することは,その代金を信販会社に立替払してもらい,後日,信販会社に返済する意思を表明したことを示し,加盟店においても,その趣旨を了承して商品購入の申出に応じたものと解するのが相当である
C 被告人が,信販会社に対して返済の意思も能力もないのにカードを使用した以上,加盟店に対する関係で,その使用自体が返済の意思・能力を有すると仮装した行為と認めるべきであり,加盟店から商品の交付を受けた行為は,詐欺罪に当たる
D カードを利用して商品を購入する場合には,その代金は中間で信販会社から加盟店へ立替払されるが,最後に利用客から信販会社へ返済されることが前提となって,クレジット制度が組み立てられていることが明白である
E 利用客に返済の意思・能力のないことを加盟店が知れば,カードによる取引を拒絶しなければならないことは,信義則上当然のことである
1.B−C−E−A−D
2.B−D−E−A−C
3.D−B−E−A−C
4.D−C−E−A−B
5.D−E−B−A−C



[H07-60] この判決の理解として適切なものの組合せはどれか。
@ この判決は,この事例において,詐欺罪が成立するためには,加盟店に対する利用客の返済の意思・能力が欠如していることを要するとの理解に立っている。
A この判決によると,この事例における被欺罔者は,商品の購入の申込みを受けた加盟店の店員である。
B この判決によると,利用客がクレジットカードを悪用して商品を騙取したときは,いわゆる詐欺利得罪が成立する。
C この判決によると,詐欺罪の既遂時期は,信販会社が加盟店に代金を立替払した時である。
D この判決は,加盟店が利用客に商品を交付したこと自体が財産上の損害であるという見解と矛盾しない。
1.@A   2.@B   3.AB   4.AC   5.AD






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