AIMONのホームページへ戻る


刑法各論講義ノート


AIMON(C)2001/03/26


2001年(平成13年)03月26日 初 版




   <刑法各論を学習する際に注意すべきポイント>
   1.保護法益
   2.客体と主体(身分犯)
   3.結果と実行行為(因果関係)
   4.故意・目的
   5.罪数その他(未遂・親告罪・処罰条件)


    第1編 個人的法益に対する罪



   第1章 生命・身体に対する罪



  第1節 人の意義



  第2節 殺人の罪


一 殺人罪(未遂)

二 殺人予備罪
 <予備の共同正犯>
 *AとBがCの殺害を共謀して,Bがナイフを準備した。

三 自殺関与罪(未遂)
 <被害者の承諾>

 1.自殺教唆・幇助罪

 2.嘱託・承諾殺人罪


  第3節 傷害の罪


一 傷害罪

 <傷害の意義>
 *Aは,Bの髪の毛を根本から切り落とした。(傷害罪)
 *Aは,Bに硫黄を飲ませて腹痛を起こさせた。(傷害罪)
 身体の完全性
 生理的作用(判例)
 身体の完全性+生理的作用

 <無形的方法>
 *Aは,Bを落とし穴のある方向へ誘導して,穴へ落とし込みけがをさせた。(傷害罪)

二 傷害致死罪
 <結果的加重犯>

三 傷害現場助勢罪
 <一方のみの応援>
 *Aは,BとCがけんかをしCが傷害を負った現場で,Bを一方的に応援した。(傷害教唆)

四 同時傷害の特例
 *Aは,BがCに暴行を加えた直後に,Bと意思の連絡なくCに暴行を加えたところ,Cは傷害を負ったが,それがいずれの暴行から生じたものかは不明であった。(傷害罪)
 *Cがさらに死亡した場合(傷害致死罪)

五 暴行罪
 <暴行の意義>〜有形力の行使〜
 最広義の暴行:
 広義の暴行 :
 狭義の暴行 :
 最狭義の暴行:

六 凶器準備集合罪・凶器準備結集罪
 <用法上の凶器>


  第4節 過失傷害の罪


一 過失傷害罪(親告罪)

二 過失致死罪

三 業務上過失致死傷罪
 <業務の意義>

四 重過失致死傷罪


  第5節 堕胎の罪(刑212〜216)



  第6節 遺棄の罪


一 単純遺棄罪

二 保護責任者遺棄罪
 <不保護>
  真正不作為犯(保護義務=作為義務)

三 遺棄致死罪
 結果的加重犯


   第2章 自由に対する罪



  第1節 脅迫の罪


一 脅迫罪
 <脅迫の意義>
 害悪の告知

二 強要罪(未遂)


  第2節 逮捕及び監禁の罪


一 逮捕監禁罪
 <継続犯>
 <被害者が気が付かないときは?>

二 逮捕監禁致死傷罪


  第3節 略取及び誘拐の罪


一 未成年者略取及び誘拐罪(刑224)
 ・保護法益
  未成年者の行動の自由+親の監護権
 ・実行行為
  略取:暴行脅迫を伴うもの
  誘拐:甘言・誘惑など
 ・親告罪(刑229)

二 営利目的等略取及び誘拐罪(刑225)

三 身の代金目的略取等(刑225の2)
 ・解放減軽(刑228の2)

四 身の代金目的略取等予備罪(刑228の3)

五 国外移送目的略取等(刑226)

六 被略取者収受等(刑227)


  第4節 強制わいせつの罪


一 強制わいせつ罪(未遂)
 ・傾向犯

二 強姦罪(未遂)

三 準強制わいせつ罪・準強姦罪(未遂)

四 強姦致死傷罪

五 親告罪
 <共同正犯の場合>
 <傷害を負わせた場合>


   第3章 住居・秘密・名誉・信用・業務に対する罪



  第1節 住居を犯す罪


一 住居侵入罪(未遂)
 ・保護法益
  住居権説
  平穏説
  新しい住居権説
 ・住居
 ・侵入の意義
 ・被害者の承諾

二 不退去罪(未遂)
 ・真正不作為犯


  第2節 秘密を犯す罪


一 信書開封罪

二 秘密漏示罪

三 親告罪


  第3節 名誉に対する罪


一 名誉毀損罪

二 公共の利害に関する特例

三 死者に対する名誉毀損罪

四 侮辱罪

五 親告罪


  第4節 信用及び業務に対する罪


一 信用毀損罪

二 業務妨害罪(偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪)
 ・業務の意義 <公務も含まれるか>

三 電子計算機損壊等業務妨害罪


   第4章 財産に対する罪


<客体> 他人の占有する財物     ←→占有離脱物    ←→自己の占有する財物
                               (他人の所有に限る)←→

<行為> 強取:強盗罪←→窃取:窃盗罪  横領:遺失物横領罪  横領:単純横領罪 ←→任務違背:背任罪
       ↑       ↑
       ↓       ↓
     喝取:恐喝罪  騙取:詐欺罪
                     ※ 財産上の利益=2項強盗・2項詐欺・2項恐喝

  窃盗罪:他人の占有する物を,窃取
  強盗罪:他人の占有する物を,強取
  詐欺罪:他人の占有する物を,騙取
  恐喝罪:他人の占有する物を,喝取
  横領罪:自己の占有する物を,横領
  背任罪:他人の事務を処理する者が,任務に背く


  第1節 窃盗の罪


一 窃盗罪

 <保護法益(本権か所持か)>

       (何を保護するのか)    (刑法242条)   (窃盗犯人からの取戻し)
  本権説:所有権その他の本権を保護。刑法242条は特則規定。窃盗罪成立しない
  所持説:占有そのものを保護。   刑法242条は注意規定。窃盗罪が成立する

 1.他人の占有する財物 〜占有の帰属(横領罪との区別)〜
  (1) 財物:禁制品も財物

  (2) 占有:事実的支配=支配の事実+支配の意思
   <占有の帰属が問題となるもの>
   @ 被害者の占有
    *Aが,バス停のベンチにBが置き忘れていた荷物を持ち去った。(B)
   A 死者の占有
    *Aが,自ら殺したBが腕時計をしていたのを見つけ,それを持ち去った。(B)
   B 占有補助者
    *店員Aが,店主Bに無断で店の商品を持ち帰った。(B)
   C 封緘物の中身
    *郵便集配人Aは,差出人Bの小包の中の貴金属を取り出して持ち去った。(B)
   D 共同占有
    *Aが,Bと共同で占有していた共有自動車を無断で売却した。(B)
   E 第三者の占有
    *Aが,旅館の前日の宿泊客Bが忘れた財布を持ち去った。(旅館)
    *Aが,ゴルフ場のロストボールを持ち去った。(ゴルフ場)
   F 占有離脱物
    *Aが,電車の網棚に忘れてあった荷物を持ち去った。(占有離脱物)
   G 自己の占有
   *Aが,Bから預かったお金を着服した。(A)

 2.窃取 〜詐欺罪との区別〜
  <窃取と欺く行為の異同> →欺く行為参照

 3.故意と不法領得の意思
  <不法領得の意思は必要か(判例@A必要説)>
  @ 権利者を排除して所有者として振る舞う意思 ←→ 一時使用(不可罰)との区別
  A 経済的用法に従って利用・処分する意思   ←→ 毀棄・隠匿罪との区別

二 不動産侵奪罪
 (1) 「侵奪」の意義:新たな占有を設定することが必要
  *借家人Aは,賃貸人Bから契約を解除された後もその借家に居座った。

 (2) 単に土地の境界を不明にするだけでは侵奪に当たらない。

三 親族間の犯罪に関する特例
 (1) 刑の免除:配偶者・直系血族・同居の親族
 (2) 親告罪 :その他の親族
 (3) 親族関係:占有者と所有者双方に親族関係が必要
  * Aは,父Bの占有する母Cの時計を盗んだ。 (○)
  * Aは,父Bの占有する他人Cの時計を盗んだ。(×)
  * Aは,他人Cの占有する父Bの時計を盗んだ。(×)


  第2節 強盗の罪


一 強盗罪

 1.強盗罪
  (1) 強取:反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫
   *Aが,強盗の故意で,Bに反抗を抑圧する程度の暴行を加えたところ,BはAがかわいそうになり財物を差し出した。
  (2) 着手時期:暴行・脅迫の開始

 2.強盗利得罪
 *Aは,Bをナイフで脅し,自動車で目的地まで走行させた。

二 事後強盗罪
 (1) 客体:被害者でなくてもよい
 (2) 主体:窃盗犯人(窃盗罪の着手があれば足りる=既遂である必要はない。)
 (3) 目的
  @ 財物の取り返しを防ぐ
  A 逮捕を免れる
  B 罪跡を隠滅する
 (4) 行為:暴行・脅迫
 (5) 効果:強盗として論じる
  <未遂>
   財物を奪取していないとき…未遂
   財物を奪取しているとき……既遂
   致死傷結果が生じたとき……既遂

三 昏酔強盗罪
 (1) 行為:昏酔させて
      →他人が昏酔させた場合(昏酔に乗じて)=窃盗

四 強盗殺人罪・強盗傷人罪

 1 主体:強盗犯人(事後強盗含む)

 2 強盗の機会:致死傷結果は強盗の手段から直接生じる必要はない。

 <財 産>        <身 体>          <生 命>
  強盗罪         強盗致傷罪(結果的加重犯) 強盗致死罪(結果的加重犯)
  強盗罪         強盗傷人罪(故意犯)    強盗殺人罪(故意犯)

五 強盗強姦罪・強盗強姦致死罪
 1 主体:強盗犯人(事後強盗含む。)
  *Aが,B女を強姦した後,B女が畏怖しているのに乗じて財布を強取した。(強姦罪と強盗罪)

 <財 産> <性的自由> <身 体>          <生 命>
  強盗罪  強盗強姦罪 [  ←  ](過失)   強盗強姦致死罪(結果的加重犯)
  強盗罪  強盗強姦罪 [  ←  ](故意)   [  *  ](故意)

 *Aは,強盗の機会にB女を強姦し,かつ,故意をもって殺害した。
  @ 強盗犯人が強姦した点→強盗強姦
  A 強盗犯人が殺人した点→強盗殺人


  第3節 詐欺及び恐喝の罪


一 詐欺罪
 欺く行為→錯誤→交付

 1.他人の財物

 2.欺いて交付させる
  (1) 欺く行為
   @ 挙動による欺く行為・不作為による欺く行為
   A 二つの欺く行為
    *Aは,無銭飲食の目的で,料理を注文し,帰りに財布を忘れたと偽って逃走した。
      料理を注文 =欺く行為(挙動による)
      財布を忘れた=欺く行為
           →帰りに財布を忘れたことに気づいて,うそをついて逃走したとき

   B 被欺罔者の処分(交付)に向けられた欺く行為
    *Aが,衣料品店で試着したまま,トイレに行くと偽って逃走した。(窃取)
    *機械に対する行為(窃取)
    *意思能力を欠く者に対する行為(窃取)

  (2) 被欺罔者の錯誤
   *裁判所に錯誤はあるか(訴訟詐欺)

  (3) 被欺罔者の交付
   @ 交付行為
   A 処分権限  :裁判所あり・登記官なし
   B 交付の相手方:犯人以外の第三者でも可

  (4) 損害の発生  :個別財産の罪

二 恐喝罪
 *黙認している場合も「交付」に当たる。


  第4節 横領及び背任の罪


一 横領罪

 1.客体:自己の占有する他人の財物
  (1) 自己の占有 →(窃盗罪との区別)
  (2) 占有の意義
   @ 事実的支配
   A 法的支配(登記名義,登記書類)
  (3) 委託信頼関係が必要(遺失物横領罪との区別)
   *Aは,郵便集配人が誤って配達した財物を着服した。
   *Aは,買物をして帰宅したところ,釣銭が多いのに気づき着服した。
  (4) 所有権の帰属
   @ 二重譲渡
    *Aは,自己の所有する甲不動産をBに売り渡し,登記をする前にCに売り渡して登記をした。
     甲不動産の占有:Aの占有(登記)
     Bに対する売却=甲不動産は「B所有」
     Cに対する売却=「領得」(所有者でなければできない行為)
            =横領罪成立
     発展論点:Cに横領罪の共犯は成立するか?
          Cは,民法177条により完全な所有権者(共犯不成立)
          ただし,Cが背信的悪意者     (共犯成立)

   A 二重抵当
    *Aは,自己の所有する乙不動産につき,Bに抵当権を設定し,登記をする前にCに抵当権を設定して登記をした。
     乙不動産の占有   :Aの占有(登記)
     Bに対する抵当権設定=乙不動産は「A所有」
                →横領罪は成立しない
     (背任罪の検討)
     Cに対する抵当権設定=Aは,Bに対して抵当権設定登記の義務を負っている。
                →他人Bの事務処理者
                Bへの登記前にCへの登記は→Bに対する任務違背行為
               =背任罪成立

 2.領得行為
  (1) 意義:不法領得意思を実現するすべての行為
   @ 着服・費消,隠匿を含む。
   A 民事訴訟を提起
   B 欺く行為を用いた場合
    *Aは,Bから借りていた物の返還を,置き忘れたと「うそをついて」免れた。
     →欺く行為は,横領行為の手段として用いられたにすぎない。

  (2) 権限濫用と権限逸脱(→背任との区別)
   →権限濫用にすぎない場合=背任
   *会社の代表取締役が,愛人のためにマンションを購入するに際し,銀行に会社名義の借用書を差し入れた。

三 遺失物等横領罪

四 背任罪

 (1) 目的
  @ 図利目的
  A 加害目的

 (2) 任務に背く行為
  無担保貸付け

 (3) 財産上の損害

 (4) 横領と背任の区別
  @ 所有権の帰属による区別(二重譲渡と二重抵当)
  A 権限の濫用と権限の逸脱


  第5節 盗品等に関する罪


一 盗品無償譲受け・運搬・保管・有償譲受け・有償処分のあっせん罪

 1.保護法益:被害者の追求権(違法状態の維持と考える立場も有力)

 2.主体
  (1) 本犯者:主体とならない。(不可罰的事後行為)
  (2) 共犯者
   @ 共同正犯者 :主体とならない。(=本犯者)
   A 教唆・幇助者:主体となる。
    *Aは,Bに窃盗を教唆し,その盗品を譲り受けた。

 3.客体:盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物
   (1) 盗品等「財産罪」によって取得された財物
      →賄賂として得た物・賭博で得た物・犯罪行為の謝礼は,盗品等に当たらない。

   (2) 本犯者の行為が,「構成要件」「違法性」を満たしていれば足りる。
    *責任無能力者の行為
    *親族相盗例により刑が免除される者の行為

   (3) 領得された物:本犯が既遂に達していることが必要
    *Aは,Bが将来窃取する盗品を買い取る約束をした。
     →本犯が既遂に達していない以上,客体を欠き盗品等有償譲受け罪は成立しない。
      ただし,窃盗罪の精神的な幇助行為は認められる。
    *Aは,BがCから預かっている物を,その旨を知りながら買い取った。
     →横領罪の既遂時期は早いことに注意

   (4) 追求権:被害者に追求権があること(第三者の即時取得後は追求権消滅)

   (5) 同一性:加工

 4.行為
  (1) 無償譲受け
  (2) 運搬
  (3) 保管
  (4) 有償譲受け
  (5) 有償処分のあっせん

 5.故意

 6.罪数
  本罪が相次いで行われた場合:包括して一罪
  本犯の教唆と譲受け等:併合罪

二 親族間の犯罪に関する特例(刑の免除)
 (1) 配偶者
 (2) 直系血族・同居の親族・これらの者の配偶者


  第6節 毀棄・隠匿の罪


一 公用文書毀棄罪
 1.客体
  「公務所の用に供する」
   →私人の作成名義(私文書)も含まれる。
    公用文書と私用文書:使用者による区別
   cf. 公文書と私文書:作成名義人による区別

 2.行為:毀棄(隠匿も含む。)

二 私用文書毀棄罪(親告罪)

三 建造物損壊罪
 →ビラはりも含む

四 器物損壊罪(親告罪)

五 境界損壊罪

六 信書隠匿罪(親告罪)


    第2編 社会的法益に対する罪



   第1章 騒乱の罪



   第2章 放火及び失火の罪


一 各構成要件の整理

 <建造物等の場合(刑108・109)>

 [建造物・汽車・電車・艦船・鉱坑] 他人の住居→Yes:現住建造物放火罪(刑108)
                     ↓
 [建造物・汽車・電車・艦船・鉱坑] 他人の現在→Yes:同上
                     ↓
 [建造物・──・──・艦船・鉱坑] 他人の所有→Yes:非現住建造物放火罪(刑109T)
                     ↓
 [建造物・──・──・艦船・鉱坑] 自己の所有→Yes:非現住建造物放火罪(刑109U)[公共の危険]
                            ※差押え等(刑115→109T)

 <建造物等以外(刑110)>

 [航空機・人のいない汽車・電車]  他人の所有→Yes:建造物等以外放火罪(刑110T)[公共の危険]
                     ↓
 [航空機・人のいない汽車・電車]  自己の所有→Yes:建造物等以外放火罪(刑110U)[公共の危険]
                           ※差押え等(刑115→110T)
 <延焼罪(刑111)>

  108 (他人の住居)  ←─┐
                 │
  109T(他人の物置小屋)←─┴─┬──109U(自己の物置小屋)
                   ↑
  110T(他人の自動車) ←───┴──110U(自己の自動車)

                      ※「自己の物」から「他人の物」へ

二 現住建造物等放火罪
 1.客体:建造物・汽車・電車・艦船・鉱坑(航空機を含まない。)
  建造物の一体性(区分建物の場合)
  *Aは,他に居住者のいるマンションの空室部分に放火した。

 2.放火行為
  (1) 着手時期:媒介物に点火した場合を含む。
   *Aは,B宅に放火する目的で,B宅に隣接する物置小屋に火を付けたところ,物置小屋を全焼するにとどまった。
    →三つの論点(実行の着手・既遂時期・罪数)

  (2) 既遂時期(焼損の意義)
   独立燃焼説(判例)床や天井など30センチ四方を焼けば既遂
   燃え上がり説
   効用喪失説

 3.故意

 4.被害者の同意による構成要件の変化
  居住者全員の承諾→他人所有非現住建造物(刑109T)
  所有者の承諾  →自己所有非現住建造物(刑109U)

 5.罪数
  放火と保険金詐欺(併合罪)

三 非現住建造物等放火罪

 1.客体:建造物・艦船・鉱坑(汽車・電車を含まない。)
  @ 他人所有(刑109T)
  A 自己所有(刑109U)…「結果」として,公共の危険の発生が要件
    →差押えや物権の負担,保険に付しているときは「他人の物」(刑115)

 2.放火行為

 3.故意
  <公共の危険の認識は必要か>
  *AとBがCのオートバイに放火することを共謀したところ,BがC宅から30センチしか離れていない場所でオートバイに火を付けた。

 4.被害者の同意による構成要件の変化

四 建造物等以外放火罪

 1.客体:建造物等以外のもの(航空機・自動車・オートバイ・犬小屋・人の現在しない汽車・電車など)
  @ 自己所有(刑110T)…「結果」として,公共の危険の発生が要件
  A 他人所有(刑110U)…「結果」として,公共の危険の発生が要件
    →差押えや物権の負担,保険に付しているときは「他人の物」(刑115)

 2.放火行為

 3.故意

五 延焼罪
 自己の物から→他人の物へ
 軽い客体から→同等か・重い客体へ

六 放火予備罪

七 消火妨害罪

八 失火罪


   第3章 公共の信用に対する罪(偽造罪)



  第1節 通貨偽造罪


一 通貨偽造罪

 1.客体:貨幣・紙幣・銀行券

 2.実行行為
  偽造・変造

 3.行使の目的

二 偽造通貨行使罪

 1.客体:偽造通貨・紙幣・銀行券

 2.行為
  (1) 行使:「真正の通貨」として「流通に置く」こと
       →飾り物として譲渡しても行使ではない。
       →見せ金は行使ではない。
       →手段は違法であってもよい(賭博・賄賂)。
  (2) 交付:情を知っている者に渡すこと(「行使」との違い)
       「行使の目的」が必要
  (3) 輸入:「行使の目的」が必要

 3.罪数
  偽造通貨行使罪と詐欺罪=詐欺罪不成立
   →詐欺行為は偽造通貨行使に通常随伴するものだから,評価し尽くされている。
   →偽造通貨収得後地情行使罪を軽く処罰している趣旨

三 外国通貨偽造罪

四 偽造通貨収得罪
  A(偽造)→B(行使の目的で収得)
  Aは,偽造通貨交付罪 ・ Bは,偽造通貨収得罪

五 偽造通貨収得後地情行使罪
 情を知らずに取得した者が,その偽造通貨を行使する行為を,軽く処罰する規定
 →期待可能性が減少するから

六 通貨偽造準備罪
 独立予備罪:機械・原料の準備を処罰


  第2節 文書偽造罪

一 総 説
 <形式主義と実質主義>
  形式主義:文書の名義を保護(←日本の刑法は,これを中心としている。)
  実質主義:文書の内容を保護

 <有形偽造と無形偽造>
 (1) 有形偽造   :「名義人でない者」が名義を冒用して文書を作成(狭義の偽造)
           =名義人と作成者の不一致
           <作成者はだれか〜事実説と観念説〜>
            事実説:実際に作成した者(タイピスト)
            観念説:意思を表示させた者
  @ 最狭義の偽造:作成名義人でない者が,名義を冒用して文書を作成する行為
  A 変造    :作成名義人でない者が,真正に成立した文書の内容に改ざんを加える行為
           →非本質部分に限られる(本質部分であれば,新たな文書を作成したことになる。)。
 (2) 無形偽造   :「作成名義人」が,内容虚偽の文書を作成する行為

 <文書偽造罪の類型>
        −公文書−       −私文書−
        (詔書偽造)
  有形偽造  公文書偽造       私文書偽造(権利義務・事実証明文書)
  無形偽造  虚偽公文書作成     虚偽私文書作成(診断書等)
        公正証書原本不実記載

     <主体>   <客体>   <行為>
  作成権限のない者が 公文書を 偽造変造(有形偽造)  =公文書偽造変造罪
  作成権限のある者が 公文書に 虚偽記入(無形偽造)  =公文書虚偽記入罪

 <有印と無印>  印章・署名の有無で,刑の軽重が異なるにすぎない。
          (なお,記名があれば有印となるため,無印の偽造は極めて少ない。)

 1.文書偽造罪の客体:文書
  (1) 意義:文字又はこれに代わるべき符号を用い,ある程度持続的に存続することのできる状態で,意思又は観念の表示をしたもの

  (2) 公文書:公務員又は公務所の作成にかかるもの
    私文書:私人の作成するもの(私文書偽造罪の客体は限定されている。)
     cf. 公用文書と私用文書(→文書毀棄罪)

  (3) 写真コピーも文書に当たるか
   @ 運転免許証をカラーコピー機で複写して,原本そっくりのものを作成し,警察官に呈示した。
   A 運転免許証をコピー機で複写して,住所を証明するために金融機関に提出した。
   →@は,原本として使用(偽造)
    Aは,原本の存在を証する(原本とは別の)文書として使用
   <Aも偽造となるか=コピーも文書か>
   *行政書士Aは,依頼者から預かった供託金を横領し,この犯跡を隠滅するため,真正の供託金受領書に虚偽の供託事実を記載した供託用紙を重ねてコピーした。

   原本の写しであっても,原本と同一の意識内容を保有し,証明文書としてこれと同様の社会機能と信用性を有する限り文書に含まれる。
   この場合には,原本と同一の意識内容を保有する原本作成名義人作成名義の文書
   →変造はあり得ない。

 2.行 為
  (1) 偽 造
   <名義人> <作成者>
     A     A ……………………真正文書     →肩書の冒用・同姓同名
     A     B (タイピスト)…真正文書(観念説)
     A     B (Aの承諾)……真正文書(観念説)→名義人の承諾の可否
     A     B (権限の付与)…真正文書(観念説)→権限の濫用と逸脱
     A     B (無断で)………不真正文書

   <同姓同名の使用>
     ?     A
    *弁護士資格を有しないAは,同姓同名の弁護士がいることを奇貨として,弁護士の肩書を付して法律相談料の請求書を作成した。
     弁護士「A」という署名の名義人はだれか?
      作成者A :真正文書=偽造罪不成立
      弁護士A :不真正文書=偽造罪成立(判例)

   <資格の冒用>
     ?     B
    *Bは,A会社の代表取締役でないにもかかわらず,文書を作成し「A代表取締役B」と署名した。
     →「A代表取締役B」との署名がある文書の名義人はだれ(作成者はB)
     @A     B 不真正文書(判例)
     AA代取B  B 不真正文書
     BB     B 真正文書

   <名義人の承諾の可否>
     A     B
    *Bは,Aの承諾を得て,A名義の文書を作成した。
     この文書が,私立大学入試の答案用紙だったら(替え玉受験)?
     この文書が,交通違反の供述調書だったら?
     →承諾は不可:自署性の要求される文書(名義人と作成者の一致が要求される文書)

   <権限の濫用と逸脱>
     A     B
    *A会社の代表取締役Bは,愛人のマンションの購入資金を借り入れる際に,「A代表取締役B」と署名した借用書を作成した。(権限の濫用)

  (2) 変造:名義人の作成した真正文書の「非本質部分」に改変を加えること
       →同一性を失えば,偽造となる。
  (3) 虚偽文書の作成:内容を偽ること

  (4) 行使:真実な文書として使用すること
   *国立大学を中退したAが,両親を喜ばせるため卒業証書を偽造して,両親に見せた。

 3.行使の目的

二 詔書等偽造罪

三 公文書偽造罪(一参照)

四 虚偽公文書作成罪(一参照)

五 公正証書原本等不実記載罪
 ※ 事情を知らない公務員を利用した間接正犯的な犯罪を(客体を限定して)軽く処罰する趣旨
 1.客体:(1)(2)(3)の原本・原本たるべき電磁的記録
  (1) 登記簿
  (2) 戸籍簿
  (3) 権利又は義務に関する公正証書
   @ 自動車登録ファイル
   A 住民票
   × 裁判所(書記官)の発する支払督促
   × 地方公共団体の結婚相談所の依頼人名簿

 2.行為
  (1) 虚偽の申立て
   真実に反することを申し立てること
   →民法や商法の知識を活用する。
  (2) 公務員は虚偽であることを知らないことを要する。
   →事情を知らない公務員を利用した間接正犯的な犯罪
    <公務員が虚偽であることを知っていたらどうなるか>
    *Aは,登記官Bに対し虚偽の申立てをして,Cの未登記不動産を自己の登記名義とした。
    @ 打ち明けた場合
       B:虚偽公文書作成罪
       A:虚偽公文書作成罪の教唆犯(ないし共同正犯)
    A 公務員が虚偽である旨を気づいた場合
       B:虚偽公文書作成罪
       A:客観的には,虚偽公文書作成罪の教唆犯
         主観的には,公正証書原本不実記載罪
         =構成要件の重なり合う公正証書原本不実記載罪が成立

六 偽造公文書・虚偽公文書行使罪

七 私文書偽造罪

 1.客体:権利義務又は事実証明に関する私文書
  (1) 権利義務に関する私文書
   *借用書
   *公務員の退職届
   *未完成の文書(白紙委任状)
  (2) 事実証明に関する私文書
   *被疑者の供述書(→名義人の承諾の可否)
   *履歴書・紹介状
  <死者名義の文書>
   →死者名義であっても,社会の信用を害する

 2.行為(→総説参照)
  (1) 偽造
  (2) 変造

 3.行使の目的

八 虚偽診断書等作成罪

 1.客体:「公務所に提出すべき」
      *「会社」に提出すべき診断書は? …客体とならない
  (1) 診断書
  (2) 検案書
  (3) 死亡証書
  →限定列挙(これ以外の私文書の虚偽記入は処罰しない。)

 2.主体:医師(開業医)
      公立病院の医師(公務員)がこれらを作成すれば,虚偽公文書作成罪

 3.行為:作成(虚偽記入)

 4.行使の目的

九 偽造私文書行使罪

 1.客体:偽変造の私文書

 2.行為:行使


  第3節 有価証券偽造罪


一 有価証券偽造罪

 1.客体:有価証券の意義
      財産上の権利が証券に表示され,その表示された財産上の権利の行使につき,その証券の所持を必要とするもの
      取引上,流通性を有するかどうかを問わない。(商法とは異なる。)
   手形・小切手・貨物引換証・鉄道乗車券・テレフォンカード・馬券

 2.行為
  (1) 偽造:cf. 手形の振出し
  (2) 変造:cf. 定期券の日付の改変(期限切れの場合は偽造)

二 有価証券虚偽記入罪

 1.客体:有価証券

 2.行為:虚偽記入
  基本的手形行為(振出し)…偽造
  附属的手形行為(裏書)……虚偽記入

    A       :偽造
    ↓
    B→C→D   :虚偽記入

三 偽造有価証券等行使罪

 1.客体:偽変造有価証券

 2.行為
  (1) 行使:真正の手形として使用すること(見せ手形も含む。cf. 見せ金)
  (2) 交付:「行使の目的で」情を知っている他人に交付すること


  第4節 印章偽造罪



   第3章 風俗に対する罪



  第1節 わいせつ及び重婚の罪


一 公然わいせつ罪

 1.行為
  (1) 公然:不特定又は多数人の認識し得る状態
  (2) わいせつな行為(ex.ストリップショー)

二 わいせつ物頒布等罪

 1.客体:わいせつな@文書・A図画・Bその他の物
  *わいせつ画像を蔵置したハードディスク
  *わいせつな音声を録音したテープ
  <外国語で書かれた文書>
   客体となる:その外国語を読むことができる一般人がわいせつと考えるか否かで判断

 2.行為
  (1) 販売:有償譲渡
  (2) 頒布:無償譲渡(?)・販売以外の方法での交付
   <レンタルビデオは?>
         <無償> <有償>
     譲渡: 贈与   売買・交換
     貸借: 使用貸借 賃貸借
  (3) 公然と陳列
   @ 公然:不特定又は多数人
    *見ず知らずの者5名(←→友人5名)
   A 陳列
    *映画の放映 *テープの再生(ダイヤルQ2)
   B 公然わいせつ罪との区別
      人の行為…公然わいせつ罪
      物…………わいせつ物公然陳列罪
  (4) 販売目的での所持
   <外国での販売目的の場合は?>
    175条は国外犯の規定に列挙されていない。
    →国内での販売のみを処罰する趣旨

三 淫行勧誘罪

四 重婚罪


  第2節 賭博及び富くじに関する罪


一 単純賭博罪

 1.賭博:勝敗が偶然性に基づくことが必要
      *一方のみが勝敗を左右するものは賭博ではない。(詐欺)

二 常習賭博罪
 <共犯と身分>
 *Aは,賭博の常習者Bの賭博行為を幇助した。(Bは常習賭博罪)
  (通説)
   真正身分  刑65T
   不真正身分       刑65U
   =Aは,刑法65条2項により単純賭博罪が成立(罪名と科刑を分離しない。)

  (有力説) <成 否> <科 刑>
   真正身分  刑65T
   不真正身分 刑65T  刑65U
   =Aは,65Tにより常習賭博罪が成立し65Uにより単純賭博罪の刑が科される(罪名と科刑を分離)

三 賭博場開帳図利罪
 *片面的共犯

四 富くじ発売罪


  第3節 礼拝所及び墳墓に関する罪


一 礼拝所不敬罪・説教等妨害罪

二 墳墓発掘罪

三 死体損壊等罪

四 墳墓発掘死体損壊等罪

五 変死者密葬罪


    第3編 国家的法益に対する罪



   第1章 国家の存立に対する罪



   第2章 国家の作用に対する罪



  第1節 公務の執行を妨害する罪


一 公務執行妨害罪

 1.客体
  (1) 公務員(日本の公務員に限る。)
  (2) 補助者(→暴行・脅迫参照)

 2.行為
  (1) 職務を執行するに当たり
   @ 職務の適法性
   A 職務執行の時期
    *地方議会の休憩宣言後
    *職務執行終了後は含まない
  (2) 暴行・脅迫
   @ 「偽計」を含まない。
    *にせ電話
   A 公務員に向けられた有形力の行使 …広義の暴行(間接暴行を含む。)
    *公務員に向けられた投石
    *公務員の近くで大きな音を立てる
    *補助者
    *物に対するもの
    →物理的に公務員に影響を及ぼすものであれば足りる。

 3.罪数
  公務執行妨害罪と傷害罪(観念的競合)

二 職務強要罪

三 封印破棄罪

 1.客体
  (1) 封印
  (2) 差押えの表示

 2.行為
  (1) 損壊
  (2) その他の方法で無効にする

四 強制執行妨害罪

 1.保護法益:個人の債権(個人法益に対する罪)

 2.行為
  (1) 財産を隠匿
  (2) 損壊
  (3) 仮装譲渡
  (4) 仮装の債務を負担

 3.強制執行を免れる目的
  (1) 強制執行:民事執行法・民事執行法が準用されるもの
   *罰金刑の執行(民事執行法が準用される。)
   *租税債権(国税徴収法による。)
  (2) 強制執行の基本となる債権が存在することが必要
  (3) 強制執行が現実に行われることを要しない
    →ただし,強制執行を受けるおそれのある状態は必要

五 競売入札妨害罪

 1.行為
  (1) 手段:偽計又は威力
  (2) 入札の公正を害すべき行為

六 談合罪

 1.行為:談合(特定の者を契約者とするための協定)

 2.目的
  (1) 公正な価格を害する目的
  (2) 不正な利益を得る目的
  →自らが入札する必要はない。


  第2節 逃走の罪


一 単純逃走罪

 1.逃走罪の主体
  (1) 裁判の執行により拘禁された既決・未決の者……………単純逃走罪
    :勾留中の被疑者・被告人,刑の執行を受けている者
  (2) 勾引状の執行を受けた者……………………………………加重逃走罪
    :逮捕状を執行された者
  (3) 法令により拘禁された者……………………………………被拘禁者奪取罪
    :身体の自由を拘束されている者すべて       逃走援助罪
     (少年院)                   看守者逃走援助罪

二 加重逃走罪

三 被拘禁者奪取罪

四 逃走援助罪

五 看守者逃走援助罪


  第3節 犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪


一 犯人蔵匿・隠避罪

 1.客体
  (1) 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者
   @ 捜査機関に発覚する前も含む。
   A 真犯人に限らない。
  (2) 拘禁中に逃走した者

 2.行為
  (1) 蔵匿:隠匿場の提供
  (2) 隠避:それ以外
   *身代わり出頭
  <犯人による教唆>(犯人自身に教唆犯成立)
  →他人を巻き込んだときは,期待可能性を欠くとはいえない。

二 証拠隠滅罪

 1.客体:他人の刑事事件に関する証拠
  (1) 他人の刑事事件
   @ 他人
    <共犯者の証拠は「他人の刑事事件」に関する証拠か?…Yes>
     犯人が「自己の刑事事件」の証拠を隠滅するのは期待可能性を欠く……不可罰
     しかし,共犯者という「他人の刑事事件」の証拠を隠滅している………可罰的
   A 刑事事件:刑事被告事件だけでなく,被疑事件も含む。
  (2) 証拠
   *目撃者

 2.行為
  (1) 隠滅
  (2) 偽造・変造
  (3) 偽変造証拠の使用
  <犯人による教唆>(犯人自身に教唆犯成立)
  →他人を巻き込んだときは,期待可能性を欠くとはいえない(判例は防御権の濫用)。

三 親族による犯罪に関する特例

 1.主体:犯人又は逃走した者の親族

 2.目的:犯人等の利益のため

 3.効果:刑の免除

四 証人等威迫罪


  第4節 偽証の罪


一 偽証罪

 1.主体:「法律により宣誓した証人」

 2.行為:虚偽の陳述
  <虚偽の意義>
   証人の記憶に反すること(客観的真実に合致していても「虚偽」に当たる。)
   →記憶に反する証言があれば,客観的真実に合致していても,裁判官が証人の信用性を疑うなど,司法作用を害するから。

二 虚偽鑑定・通訳罪

三 自白による刑の減免


  第5節 虚偽告訴の罪


一 虚偽告訴の罪

 1.保護法益:国家の司法作用

 2.虚偽の告訴
  <虚偽の意義>
   客観的真実に反すること(cf. 偽証罪)
   →客観的真実に合致した告訴であれば,司法作用は害されないから。

 3.問題点
  (1) 自己に対する虚偽告訴
  (2) 虚無人に対する虚偽告訴

二 自白による刑の減免


  第6節 汚職の罪



 第1款 職権濫用の罪


 第2款 賄賂の罪

一 単純収賄罪

 1.客体:賄賂
  *有利な地位の供与
  *異性との情交

 2.職務に関し
  <一般的職務権限>
  →賄賂と対価関係に立つ行為は,法令上,公務員の一般的職務権限に属する行為であれば足りる。

 3.行為
  (1) 収受
  (2) 要求
  (3) 約束

二 受託収賄罪
 *請託:職務に関し一定の行為を行うことを依頼すること
  「請託を受ける」:依頼を承諾すること

三 事前収賄罪

 1.主体:公務員又は仲裁人になろうとする者

 2.請託を受けて

 3.処罰条件:公務員又は仲裁人になった場合

四 第三者供賄罪

 1.請託を受けて

 2.行為:第三者に賄賂を(1)供与させる・(2)供与の要求・(3)約束

五 加重収賄罪

 1.1項
   単純収賄罪・受託収賄罪・事前収賄罪・第三者供賄罪を犯し,よって
   不正な行為をする
   相当の行為をしない

 2.2項
   不正な行為をし,相当の行為をしなかったことに関し
   賄賂を収受・要求・約束(収賄行為),供与の要求・約束(第三者供賄行為)

六 事後収賄罪

 1.主体:公務員又は公務員であった者

 2.行為:その在職中に請託を受けて
      職務上不正な行為をしたこと,相当の行為をしなかったこと関し
      賄賂を収受・要求・約束

七 あっせん収賄罪

 1.請託を受けて

 2.他の公務員に
    その職務上不正な行為をさせるように,又は
    相当な行為をさせないように
   あっせんすること,又は
   あっせんしたこと の報酬として,賄賂を収受・要求・約束

八 贈賄罪

 1.行為
  (1) 供与
  (2) 申込み
  (3) 約束

 ※収賄罪と贈賄罪とを読み違えないこと




AIMONのホームページへ戻る