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行政不服審査法



(昭和三十七年九月十五日法律第百六十号)
最終改正:平成一八年六月八日法律第五八号


 

 第一章 総則 (第一条―第八条)
 第二章 手続
  第一節 通則(第九条―第十三条)
  第二節 処分についての審査請求(第十四条―第四十四条)
  第三節 処分についての異議申立て(第四十五条―第四十八条)
  第四節 不作為についての不服申立て(第四十九条―第五十二条)
  第五節 再審査請求(第五十三条―第五十六条)
 第三章 補則(第五十七条・第五十八条)
 附則

   第一章 総則

 (この法律の趣旨)
第一条 この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
2 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

 (定義)
第二条 この法律にいう「処分」には、各本条に特別の定めがある場合を除くほか、公権力の行使に当たる事実上の行為で、人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有するもの(以下「事実行為」という。)が含まれるものとする。
2 この法律において「不作為」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内になんらかの処分その他公権力の行使に当たる行為をすべきにかかわらず、これをしないことをいう。

 (不服申立ての種類)
第三条 この法律による不服申立ては、行政庁の処分又は不作為について行なうものにあつては審査請求又は異議申立てとし、審査請求の裁決を経た後さらに行なうものにあつては再審査請求とする。
2 審査請求は、処分をした行政庁(以下「処分庁」という。)又は不作為に係る行政庁(以下「不作為庁」という。)以外の行政庁に対してするものとし、異議申立ては、処分庁又は不作為庁に対してするものとする。

 (処分についての不服申立てに関する一般概括主義)
第四条 行政庁の処分(この法律に基づく処分を除く。)に不服がある者は、次条及び第六条の定めるところにより、審査請求又は異議申立てをすることができる。ただし、次の各号に掲げる処分及び他の法律に審査請求又は異議申立てをすることができない旨の定めがある処分については、この限りでない。
 一 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によつて行われる処分
 二 裁判所若しくは裁判官の裁判により又は裁判の執行として行われる処分
 三 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上で行われるべきものとされている処分
 四 検査官会議で決すべきものとされている処分
 五 当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴えにおいてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
 六 刑事事件に関する法令に基づき、検察官、検察事務官又は司法警察職員が行う処分
 七 国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づき、国税庁長官、国税局長、税務署長、収税官吏、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づき、これらの職員の職務を行う者を含む。)が行う処分
 八 学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対して行われる処分
 九 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するために、これらの施設に収容されている者に対して行われる処分
 十 外国人の出入国又は帰化に関する処分
 十一 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
2 前項ただし書の規定は、同項ただし書の規定により審査請求又は異議申立てをすることができない処分につき、別に法令で当該処分の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない。

 (処分についての審査請求)
第五条 行政庁の処分についての審査請求は、次の場合にすることができる。
 一 処分庁に上級行政庁があるとき。ただし、処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときを除く。
 二 前号に該当しない場合であつて、法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。
2 前項の審査請求は、同項第一号の場合にあつては、法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に特別の定めがある場合を除くほか、処分庁の直近上級行政庁に、同項第二号の場合にあつては、当該法律又は条例に定める行政庁に対してするものとする。

 (処分についての異議申立て)
第六条 行政庁の処分についての異議申立ては、次の場合にすることができる。ただし、第一号又は第二号の場合において、当該処分について審査請求をすることができるときは、法律に特別の定めがある場合を除くほか、することができない。
 一 処分庁に上級行政庁がないとき。
 二 処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるとき。
 三 前二号に該当しない場合であつて、法律に異議申立てをすることができる旨の定めがあるとき。

 (不作為についての不服申立て)
第七条 行政庁の不作為については、当該不作為に係る処分その他の行為を申請した者は、異議申立て又は当該不作為庁の直近上級行政庁に対する審査請求のいずれかをすることができる。ただし、不作為庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときは、異議申立てのみをすることができる。

 (再審査請求)
第八条 次の場合には、処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。
 一 法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に再審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。
 二 審査請求をすることができる処分につき、その処分をする権限を有する行政庁(以下「原権限庁」という。)がその権限を他に委任した場合において、委任を受けた行政庁がその委任に基づいてした処分に係る審査請求につき、原権限庁が審査庁として裁決をしたとき。
2 再審査請求は、前項第一号の場合にあつては、当該法律又は条例に定める行政庁に、同項第二号の場合にあつては、当該原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る審査請求についての審査庁に対してするものとする。
3 再審査請求をすることができる処分につき、その原権限庁がその権限を他に委任した場合において、委任を受けた行政庁がその委任に基づいてした処分に係る再審査請求につき、原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る審査請求についての審査庁が再審査庁としてした裁決に不服がある者は、さらに再審査請求をすることができる。この場合においては、当該原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る再審査請求についての再審査庁に対して、その請求をするものとする。

   第二章 手続

    第一節 通則

 (不服申立ての方式)
第九条 この法律に基づく不服申立ては、他の法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、書面を提出してしなければならない。
2 不服申立書は、異議申立ての場合を除き、正副二通を提出しなければならない。
3 前項の規定にかかわらず、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号。第二十二条第三項において「情報通信技術利用法」という。)第三条第一項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用して不服申立て(異議申立てを除く。次項において同じ。)がされた場合には、不服申立書の正副二通が提出されたものとみなす。
4 前項に規定する場合において、当該不服申立てに係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第二十二条第四項において同じ。)については、不服申立書の正本又は副本とみなして、第十七条第二項(第五十六条において準用する場合を含む。)、第十八条第一項、第二項及び第四項、第二十二条第一項(第五十二条第二項において準用する場合を含む。)並びに第五十八条第三項及び第四項の規定を適用する。

 (法人でない社団又は財団の不服申立て)
第十条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で不服申立てをすることができる。

 (総代)
第十一条 多数人が共同して不服申立てをしようとするときは、三人をこえない総代を互選することができる。
2 共同不服申立人が総代を互選しない場合において、必要があると認めるときは、審査庁(異議申立てにあつては処分庁又は不作為庁、再審査請求にあつては再審査庁)は、総代の互選を命ずることができる。
3 総代は、各自、他の共同不服申立人のために、不服申立ての取下げを除き、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができる。
4 総代が選任されたときは、共同不服申立人は、総代を通じてのみ、前項の行為をすることができる。
5 共同不服申立人に対する行政庁の通知その他の行為は、二人以上の総代が選任されている場合においても、一人の総代に対してすれば足りる。
6 共同不服申立人は、必要があると認めるときは、総代を解任することができる。

 (代理人による不服申立て)
第十二条 不服申立ては、代理人によつてすることができる。
2 代理人は、各自、不服申立人のために、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができる。ただし、不服申立ての取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。

 (代表者の資格の証明等)
第十三条 代表者若しくは管理人、総代又は代理人の資格は、書面で証明しなければならない。前条第二項ただし書に規定する特別の委任についても、同様とする。
2 代表者若しくは管理人、総代又は代理人がその資格を失つたときは、不服申立人は、書面でその旨を審査庁(異議申立てにあつては処分庁又は不作為庁、再審査請求にあつては再審査庁)に届け出なければならない。

    第二節 処分についての審査請求

 (審査請求期間)
第十四条 審査請求は、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六十日以内(当該処分について異議申立てをしたときは、当該異議申立てについての決定があつたことを知つた日の翌日から起算して三十日以内)に、しなければならない。ただし、天災その他審査請求をしなかつたことについてやむをえない理由があるときは、この限りでない。
2 前項ただし書の場合における審査請求は、その理由がやんだ日の翌日から起算して一週間以内にしなければならない。
3 審査請求は、処分(当該処分について異議申立てをしたときは、当該異議申立てについての決定)があつた日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
4 審査請求書を郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便で提出した場合における審査請求期間の計算については、送付に要した日数は、算入しない。

 (審査請求書の記載事項)
第十五条 審査請求書には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
 一 審査請求人の氏名及び年齢又は名称並びに住所
 二 審査請求に係る処分
 三 審査請求に係る処分があつたことを知つた年月日
 四 審査請求の趣旨及び理由
 五 処分庁の教示の有無及びその内容
 六 審査請求の年月日
2 審査請求人が、法人その他の社団若しくは財団であるとき、総代を互選したとき、又は代理人によつて審査請求をするときは、審査請求書には、前項各号に掲げる事項のほか、その代表者若しくは管理人、総代又は代理人の氏名及び住所を記載しなければならない。
3 審査請求書には、前二項に規定する事項のほか、第二十条第二号の規定により異議申立てについての決定を経ないで審査請求をする場合には、異議申立てをした年月日を、同条第三号の規定により異議申立てについての決定を経ないで審査請求をする場合には、その決定を経ないことについての正当な理由を記載しなければならない。
4 審査請求書には、審査請求人(審査請求人が法人その他の社団又は財団であるときは代表者又は管理人、総代を互選したときは総代、代理人によつて審査請求をするときは代理人)が押印しなければならない。

 (口頭による審査請求)
第十六条 口頭で審査請求をする場合には、前条第一項から第三項までに規定する事項を陳述しなければならない。この場合においては、陳述を受けた行政庁は、その陳述の内容を録取し、これを陳述人に読み聞かせて誤りのないことを確認し、陳述人に押印させなければならない。

 (処分庁経由による審査請求)
第十七条 審査請求は、処分庁を経由してすることもできる。この場合には、処分庁に審査請求書を提出し、又は処分庁に対し第十五条第一項から第三項までに規定する事項を陳述するものとする。
2 前項の場合には、処分庁は、直ちに、審査請求書の正本又は審査請求録取書(前条後段の規定により陳述の内容を録取した書面をいう。以下同じ。)を審査庁に送付しなければならない。
3 第一項の場合における審査請求期間の計算については、処分庁に審査請求書を提出し、又は処分庁に対し当該事項を陳述した時に、審査請求があつたものとみなす。

 (誤つた教示をした場合の救済)
第十八条 審査請求をすることができる処分(異議申立てをすることもできる処分を除く。)につき、処分庁が誤つて審査庁でない行政庁を審査庁として教示した場合において、その教示された行政庁に書面で審査請求がされたときは、当該行政庁は、すみやかに、審査請求書の正本及び副本を処分庁又は審査庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
2 前項の規定により処分庁に審査請求書の正本及び副本が送付されたときは、処分庁は、すみやかに、その正本を審査庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
3 第一項の処分につき、処分庁が誤つて異議申立てをすることができる旨を教示した場合において、当該処分庁に異議申立てがされたときは、処分庁は、すみやかに、異議申立書又は異議申立録取書(第四十八条において準用する第十六条後段の規定により陳述の内容を録取した書面をいう。以下同じ。)を審査庁に送付し、かつ、その旨を異議申立人に通知しなければならない。
4 前三項の規定により審査請求書の正本又は異議申立書若しくは異議申立録取書が審査庁に送付されたときは、はじめから審査庁に審査請求がされたものとみなす。

第十九条 処分庁が誤つて法定の期間よりも長い期間を審査請求期間として教示した場合において、その教示された期間内に審査請求がされたときは、当該審査請求は、法定の審査請求期間内にされたものとみなす。

 (異議申立ての前置)
第二十条 審査請求は、当該処分につき異議申立てをすることができるときは、異議申立てについての決定を経た後でなければ、することができない。ただし、次の各号の一に該当するときは、この限りでない。
 一 処分庁が、当該処分につき異議申立てをすることができる旨を教示しなかつたとき。
 二 当該処分につき異議申立てをした日の翌日から起算して三箇月を経過しても、処分庁が当該異議申立てにつき決定をしないとき。
 三 その他異議申立てについての決定を経ないことにつき正当な理由があるとき。

 (補正)
第二十一条 審査請求が不適法であつて補正することができるものであるときは、審査庁は、相当の期間を定めて、その補正を命じなければならない。

 (弁明書の提出)
第二十二条 審査庁は、審査請求を受理したときは、審査請求書の副本又は審査請求録取書の写しを処分庁に送付し、相当の期間を定めて、弁明書の提出を求めることができる。
2 弁明書は、正副二通を提出しなければならない。
3 前項の規定にかかわらず、情報通信技術利用法第三条第一項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用して弁明がされた場合には、弁明書の正副二通が提出されたものとみなす。
4 前項に規定する場合において、当該弁明に係る電磁的記録については、弁明書の正本又は副本とみなして、次項及び第二十三条の規定を適用する。
5 処分庁から弁明書の提出があつたときは、審査庁は、その副本を審査請求人に送付しなければならない。ただし、審査請求の全部を容認すべきときは、この限りでない。

 (反論書の提出)
第二十三条 審査請求人は、弁明書の副本の送付を受けたときは、これに対する反論書を提出することができる。この場合において、審査庁が、反論書を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

 (参加人)
第二十四条 利害関係人は、審査庁の許可を得て、参加人として当該審査請求に参加することができる。
2 審査庁は、必要があると認めるときは、利害関係人に対し、参加人として当該審査請求に参加することを求めることができる。

 (審理の方式)
第二十五条 審査請求の審理は、書面による。ただし、審査請求人又は参加人の申立てがあつたときは、審査庁は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
2 前項ただし書の場合には、審査請求人又は参加人は、審査庁の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。

 (証拠書類等の提出)
第二十六条 審査請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができる。ただし、審査庁が、証拠書類又は証拠物を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

 (参考人の陳述及び鑑定の要求)
第二十七条 審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、適当と認める者に、参考人としてその知つている事実を陳述させ、又は鑑定を求めることができる。

 (物件の提出要求)
第二十八条 審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書類その他の物件の所持人に対し、その物件の提出を求め、かつ、その提出された物件を留め置くことができる。

 (検証)
第二十九条 審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、必要な場所につき、検証をすることができる。
2 審査庁は、審査請求人又は参加人の申立てにより前項の検証をしようとするときは、あらかじめ、その日時及び場所を申立人に通知し、これに立ち会う機会を与えなければならない。

 (審査請求人又は参加人の審尋)
第三十条 審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審査請求人又は参加人を審尋することができる。

 (職員による審理手続)
第三十一条 審査庁は、必要があると認めるときは、その庁の職員に、第二十五条第一項ただし書の規定による審査請求人若しくは参加人の意見の陳述を聞かせ、第二十七条の規定による参考人の陳述を聞かせ、第二十九条第一項の規定による検証をさせ、又は前条の規定による審査請求人若しくは参加人の審尋をさせることができる。

 (他の法令に基づく調査権との関係)
第三十二条 前五条の規定は、審査庁である行政庁が他の法令に基づいて有する調査権の行使を妨げない。

 (処分庁からの物件の提出及び閲覧)
第三十三条 処分庁は、当該処分の理由となつた事実を証する書類その他の物件を審査庁に提出することができる。
2 審査請求人又は参加人は、審査庁に対し、処分庁から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができる。この場合において、審査庁は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
3 審査庁は、前項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。

 (執行停止)
第三十四条 審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2 処分庁の上級行政庁である審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をすることができる。
3 処分庁の上級行政庁以外の審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取したうえ、執行停止をすることができる。ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をすることはできない。
4 前二項の規定による審査請求人の申立てがあつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、処分の執行若しくは手続の続行ができなくなるおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。
5 審査庁は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
6 第二項から第四項までの場合において、処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によつて目的を達することができるときは、することができない。
7 執行停止の申立てがあつたときは、審査庁は、すみやかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。

 (執行停止の取消し)
第三十五条 執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼし、又は処分の執行若しくは手続の続行を不可能とすることが明らかとなつたとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。

 (手続の併合又は分離)
第三十六条 審査庁は、必要があると認めるときは、数個の審査請求を併合し、又は併合された数個の審査請求を分離することができる。

 (手続の承継)
第三十七条 審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継する。
2 審査請求人について合併又は分割(審査請求の目的である処分に係る権利を承継させるものに限る。)があつたときは、合併後存続する法人その他の社団若しくは財団若しくは合併により設立された法人その他の社団若しくは財団又は分割により当該権利を承継した法人は、審査請求人の地位を承継する。
3 前二項の場合には、審査請求人の地位を承継した相続人その他の者又は法人その他の社団若しくは財団は、書面でその旨を審査庁に届け出なければならない。この場合には、届出書には、死亡若しくは分割による権利の承継又は合併の事実を証する書面を添付しなければならない。
4 第一項又は第二項の場合において、前項の規定による届出がされるまでの間において、死亡者又は合併前の法人その他の社団若しくは財団若しくは分割をした法人にあててされた通知その他の行為が審査請求人の地位を承継した相続人その他の者又は合併後の法人その他の社団若しくは財団若しくは分割により審査請求人の地位を承継した法人に到達したときは、これらの者に対する通知その他の行為としての効力を有する。
5 第一項の場合において、審査請求人の地位を承継した相続人その他の者が二人以上あるときは、その一人に対する通知その他の行為は、全員に対してされたものとみなす。
6 審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、審査庁の許可を得て、審査請求人の地位を承継することができる。

 (審査庁が裁決をする権限を有しなくなつた場合の措置)
第三十八条 審査庁が審査請求を受理した後法令の改廃により当該審査請求につき裁決をする権限を有しなくなつたときは、当該行政庁は、審査請求書又は審査請求録取書及び関係書類その他の物件を新たに当該審査請求につき裁決をする権限を有することになつた行政庁に引き継がなければならない。この場合においては、その引継ぎを受けた行政庁は、すみやかに、その旨を審査請求人及び参加人に通知しなければならない。

 (審査請求の取下げ)
第三十九条 審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる。
2 審査請求の取下げは、書面でしなければならない。

 (裁決)
第四十条 審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
2 審査請求が理由がないときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。
3 処分(事実行為を除く。)についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、裁決で、当該処分の全部又は一部を取り消す。
4 事実行為についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、処分庁に対し当該事実行為の全部又は一部を撤廃すべきことを命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する。
5 前二項の場合において、審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、裁決で当該処分を変更し、又は処分庁に対し当該事実行為を変更すべきことを命ずるとともに裁決でその旨を宣言することもできる。ただし、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実行為を変更すべきことを命ずることはできない。
6 処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分を取り消し又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。

 (裁決の方式)
第四十一条 裁決は、書面で行ない、かつ、理由を附し、審査庁がこれに記名押印をしなければならない。
2 審査庁は、再審査請求をすることができる裁決をする場合には、裁決書に再審査請求をすることができる旨並びに再審査庁及び再審査請求期間を記載して、これを教示しなければならない。

 (裁決の効力発生)
第四十二条 裁決は、審査請求人(当該審査請求が処分の相手方以外の者のしたものである場合における第四十条第三項から第五項までの規定による裁決にあつては、審査請求人及び処分の相手方)に送達することによつて、その効力を生ずる。
2 裁決の送達は、送達を受けるべき者に裁決書の謄本を送付することによつて行なう。ただし、送達を受けるべき者の所在が知れないとき、その他裁決書の謄本を送付することができないときは、公示の方法によつてすることができる。
3 公示の方法による送達は、審査庁が裁決書の謄本を保管し、いつでもその送達を受けるべき者に交付する旨を当該審査庁の掲示場に掲示し、かつ、その旨を官報その他の公報又は新聞紙に少なくとも一回掲載してするものとする。この場合においては、その掲示を始めた日の翌日から起算して二週間を経過した時に裁決書の謄本の送付があつたものとみなす。
4 審査庁は、裁決書の謄本を参加人及び処分庁に送付しなければならない。

 (裁決の拘束力)
第四十三条 裁決は、関係行政庁を拘束する。
2 申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し若しくは棄却した処分が裁決で取り消されたときは、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。
3 法令の規定により公示された処分が裁決で取り消され、又は変更されたときは、処分庁は、当該処分が取り消され、又は変更された旨を公示しなければならない。
4 法令の規定により処分の相手方以外の利害関係人に通知された処分が裁決で取り消され、又は変更されたときは、処分庁は、その通知を受けた者(審査請求人及び参加人を除く。)に、当該処分が取り消され、又は変更された旨を通知しなければならない。

 (証拠書類等の返還)
第四十四条 審査庁は、裁決をしたときは、すみやかに、第二十六条の規定により提出された証拠書類又は証拠物及び第二十八条の規定による提出要求に応じて提出された書類その他の物件をその提出人に返還しなければならない。

    第三節 処分についての異議申立て

 (異議申立期間)
第四十五条 異議申立ては、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六十日以内にしなければならない。

 (誤つた教示をした場合の救済)
第四十六条 異議申立てをすることができる処分につき、処分庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合(審査請求をすることもできる処分につき、処分庁が誤つて審査庁でない行政庁を審査庁として教示した場合を含む。)において、その教示された行政庁に書面で審査請求がなされたときは、当該行政庁は、すみやかに、審査請求書を当該処分庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
2 前項の規定により審査請求書が処分庁に送付されたときは、はじめから処分庁に異議申立てがされたものとみなす。

 (決定)
第四十七条 異議申立てが法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、処分庁は、決定で、当該異議申立てを却下する。
2 異議申立てが理由がないときは、処分庁は、決定で、当該異議申立てを棄却する。
3 処分(事実行為を除く。)についての異議申立てが理由があるときは、処分庁は、決定で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、異議申立人の不利益に当該処分を変更することができず、また、当該処分が法令に基づく審議会その他の合議制の行政機関の答申に基づいてされたものであるときは、さらに当該行政機関に諮問し、その答申に基づかなければ、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更することができない。
4 事実行為についての異議申立てが理由があるときは、処分庁は、当該事実行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更するとともに、決定で、その旨を宣言する。ただし、異議申立人の不利益に事実行為を変更することができない。
5 処分庁は、審査請求をすることもできる処分に係る異議申立てについて決定をする場合には、異議申立人が当該処分につきすでに審査請求をしている場合を除き、決定書に、当該処分につき審査請求をすることができる旨並びに審査庁及び審査請求期間を記載して、これを教示しなければならない。

 (審査請求に関する規定の準用)
第四十八条 前節(第十四条第一項本文、第十五条第三項、第十七条、第十八条、第二十条、第二十二条、第二十三条、第三十三条、第三十四条第三項、第四十条第一項から第五項まで、第四十一条第二項及び第四十三条を除く。)の規定は、処分についての異議申立てに準用する。

    第四節 不作為についての不服申立て

 (不服申立書の記載事項)
第四十九条 不作為についての異議申立書又は審査請求書には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
 一 異議申立人又は審査請求人の氏名及び年齢又は名称並びに住所
 二 当該不作為に係る処分その他の行為についての申請の内容及び年月日
 三 異議申立て又は審査請求の年月日

 (不作為庁の決定その他の措置)
第五十条 不作為についての異議申立てが不適法であるときは、不作為庁は、決定で、当該異議申立てを却下する。
2 前項の場合を除くほか、不作為庁は、不作為についての異議申立てがあつた日の翌日から起算して二十日以内に、申請に対するなんらかの行為をするか、又は書面で不作為の理由を示さなければならない。

 (審査庁の裁決)
第五十一条 不作為についての審査請求が不適法であるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
2 不作為についての審査請求が理由がないときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。
3 不作為についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、当該不作為庁に対しすみやかに申請に対するなんらかの行為をすべきことを命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する。

 (処分についての審査請求に関する規定の準用)
第五十二条 第十五条第二項及び第四項、第二十一条、第三十七条から第三十九条まで、第四十一条第一項並びに第四十二条第一項から第三項までの規定は、不作為についての異議申立てに準用する。
2 第二節(第十四条、第十五条第一項及び第三項、第十六条から第二十条まで、第二十四条、第三十四条、第三十五条、第四十条、第四十一条第二項並びに第四十三条を除く。)の規定は、不作為についての審査請求に準用する。

    第五節 再審査請求

 (再審査請求期間)
第五十三条 再審査請求は、審査請求についての裁決があつたことを知つた日の翌日から起算して三十日以内にしなければならない。

 (裁決書の送付要求)
第五十四条 再審査庁は、再審査請求を受理したときは、審査庁に対し、審査請求についての裁決書の送付を求めることができる。

 (裁決)
第五十五条 審査請求を却下し又は棄却した裁決が違法又は不当である場合においても、当該裁決に係る処分が違法又は不当でないときは、再審査庁は、当該再審査請求を棄却する。

 (審査請求に関する規定の準用)
第五十六条 第二節(第十四条第一項本文、第十五条第三項、第十八条から第二十条まで、第二十二条及び第二十三条を除く。)の規定は、再審査請求に準用する。

   第三章 補則

 (審査庁等の教示)
第五十七条 行政庁は、審査請求若しくは異議申立て又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において単に「不服申立て」という。)をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
2 行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか並びに当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間につき教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。
3 前項の場合において、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、当該教示は、書面でしなければならない。
4 前三項の規定は、地方公共団体その他の公共団体に対する処分で、当該公共団体がその固有の資格において処分の相手方となるものについては、適用しない。

 (教示をしなかつた場合の不服申立て)
第五十八条 行政庁が前条の規定による教示をしなかつたときは、当該処分について不服がある者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができる。
2 前項の不服申立書については、第十五条(第三項を除く。)の規定を準用する。
3 第一項の規定により不服申立書の提出があつた場合において、当該処分が審査請求をすることができる処分であるとき(異議申立てをすることもできる処分であるときを除く。)は、処分庁は、すみやかに、当該不服申立書の正本を審査庁に送付しなければならない。当該処分が他の法令に基づき、処分庁以外の行政庁に不服申立てをすることができる処分であるときも、同様とする。
4 前項の規定により不服申立書の正本が送付されたときは、はじめから当該審査庁又は行政庁に審査請求又は当該法令に基づく不服申立てがされたものとみなす。
5 第三項の場合を除くほか、第一項の規定により不服申立書が提出されたときは、はじめから当該処分庁に異議申立て又は当該法令に基づく不服申立てがされたものとみなす。

   附 則
1 この法律は、昭和三十七年十月一日から施行する。
2 訴願法(明治二十三年法律第百五号)は、廃止する。
3 この法律は、この法律の施行前にされた行政庁の処分及びこの法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為についても、適用する。
4 この法律の施行前に提起された訴願については、この法律の施行後も、なお従前の例による。この法律の施行前にされた訴願の裁決又はこの法律の施行前に提起された訴願につきこの法律の施行後にされる裁決にさらに不服がある場合の不服申立てについても、同様とする。
5 訴願、審査の請求、異議の申立てその他の不服申立てにつき、この法律の施行前にされた行政庁の裁決、決定その他の処分については、附則第三項の規定にかかわらず、この法律による審査請求又は異議申立てをすることができない。前項の規定によりこの法律の施行後にされる訴願の裁決についても、同様とする。

   附 則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄

 (施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。

   附 則 (平成一二年五月三一日法律第九一号)

 (施行期日)
1 この法律は、商法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第九十号)の施行の日から施行する。
 (経過措置)
2 この法律の施行の日が独立行政法人農林水産消費技術センター法(平成十一年法律第百八十三号)附則第八条の規定の施行の日前である場合には、第三十一条のうち農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律第十九条の五の二、第十九条の六第一項第四号及び第二十七条の改正規定中「第二十七条」とあるのは、「第二十六条」とする。

   附 則 (平成一四年七月三一日法律第一〇〇号)

 (施行期日)
第一条 この法律は、民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)の施行の日から施行する。

 (罰則に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (その他の経過措置の政令への委任)
第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 (平成一四年一二月一三日法律第一五二号) 抄

 (施行期日)
第一条 この法律は、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)の施行の日から施行する。

 (罰則に関する経過措置)
第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (その他の経過措置の政令への委任)
第五条 前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 (平成一六年六月九日法律第八四号) 抄

 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (検討)
第五十条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

   附 則 (平成一八年六月八日法律第五八号) 抄

 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。




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