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商法施行規則



(平成十四年三月二十九日法務省令第二十二号)


商法(明治三十二年法律第四十八号)、商法中改正法律施行法(昭和十三年法律第七十三号)、有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号)並びに商法及び有限会社法の関係規定に基づく電磁的方法による情報の提供等に関する承諾の手続等を定める政令(平成十四年政令第二十号)の規定に基づき、商法施行規則を次のように定める。

 第一章 総則(第一条)
 第二章 電磁的記録等(第二条―第十条)
 第三章 株主総会の招集通知に添付すべき参考書類等
  第一節 総則(第十一条)
  第二節 議決権の行使について参考となるべき事項(第十二条―第十八条)
  第三節 議決権を行使するための書面(第十九条―第二十一条)
 第四章 株式会社の貸借対照表等の記載又は記録の方法
  第一節 商法第二百八十一条第一項の貸借対照表等の記載方法等
   第一款 総則(第二十二条―第二十八条)
   第二款 貸借対照表(第二十九条―第七十五条)
   第三款 損益計算書(第七十六条―第八十三条)
   第四款 営業報告書(第八十四条)
   第五款 附属明細書(第八十五条―第八十七条)
   第六款 貸借対照表及び損益計算書の公告(第八十八条―第九十二条)
  第二節 建設会社等についての特例(第九十三条―第百二条)
 第五章 大会社の監査報告書
  第一節 総則(第百三条・第百四条)
  第二節 会計監査人の監査報告書(第百五条―第百七条)
  第三節 監査役会の監査報告書(第百八条―第百十条)
 第六章 商法第四百六条ノ三第一項の届出(第百十一条)
 附則

   第一章 総則



 (目的)
第一条 この規則は、商法(明治三十二年法律第四十八号)並びにその関係法令である商法中改正法律施行法(昭和十三年法律第七十三号)、有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号。以下「商法特例法」という。)並びに商法及び有限会社法の関係規定に基づく電磁的方法による情報の提供等に関する承諾の手続等を定める政令(平成十四年政令第二十号。以下「令」という。)の委任に基づく事項を定めることを目的とする。

   第二章 電磁的記録等



 (電磁的記録)
第二条 商法第三十三条ノ二第一項(同法第六十三条第三項、第百三十条第二項、第百六十六条第三項、第二百二十条ノ二第二項、第二百二十三条第二項、第二百四十四条第四項(同法第百八十条第三項、第二百二十二条第八項、第三百四十五条第三項(同法第百八十条第三項及び第三百四十六条において準用する場合を含む。)及び第四百三十条第二項並びに有限会社法第四十一条及び第七十五条第二項において準用する場合を含む。)、第二百六十条ノ四第四項(商法特例法第十八条の三第二項において読み替えて適用する場合を含む。)、第二百八十条ノ三十一第五項、第二百八十一条第二項、第三百十七条第二項、第三百三十九条第四項、第三百五十四条第二項、第三百六十六条第二項、第三百七十四条ノ二第二項(有限会社法第六十三条ノ六第一項において準用する場合を含む。)、第三百七十四条ノ十八第二項(有限会社法第六十三条ノ九第一項において準用する場合を含む。)、第四百八条ノ二第二項(有限会社法第六十三条第一項において準用する場合を含む。)及び第四百十九条第二項(有限会社法第七十五条第一項において準用する場合を含む。)並びに有限会社法第六条第三項、第二十八条第三項(同法第七十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第四十三条第四項において準用する場合を含む。)に規定する法務省令で定める電磁的記録は、磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものとする。

第三条 令第四条第一項(同条第三項及び令第十五条において準用する場合を含む。)により示すべき電磁的記録の種類及び内容は、次に掲げる事項とする。
 一 前条に規定する物のうち、作成者が使用するもの
 二 ファイルへの記録の方式

 (署名に代わる措置)
第四条 商法第三十三条ノ二第二項(同法第六十三条第三項、第百六十六条第三項、第百七十五条第八項(同法第二百十一条第三項、第二百八十条ノ十四第一項、第三百一条第五項及び第三百四十一条ノ六第三項並びに有限会社法第五十二条第二項において準用する場合を含む。)、第二百二十二条ノ五第四項、第二百四十四条第四項(商法第百八十条第三項、第二百二十二条第八項、第三百四十五条第三項(同法第百八十条第三項及び第三百四十六条において準用する場合を含む。)及び第四百三十条第二項並びに有限会社法第四十一条及び第七十五条第二項において準用する場合を含む。)、第二百六十条ノ四第四項(商法特例法第十八条の三第二項において読み替えて適用する場合を含む。)、第二百八十条ノ三十七第四項、第三百三十九条第四項及び第三百四十一条ノ十三第三項並びに有限会社法第六条第三項において準用する場合を含む。)に規定する法務省令で定める措置は、電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項の電子署名をいう。以下同じ。)とする。

 (電磁的方法)
第五条 商法第百三十条第三項に規定する法務省令で定める電磁的方法及び同法第二百二十四条第二項(同条第四項、同法第二百八十条ノ三十一第五項、第三百十八条第一項及び有限会社法第二十四条第四項において準用する場合を含む。)に規定する法務省令で定める方法は、次に掲げる方法とする。
 一 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であって、当該電気通信回線を通じて情報が送信され、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報が記録されるもの
 二 第二条に規定するファイルに情報を記録したものを交付する方法
2 前項各号に掲げる方法は、受信者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。

第六条 令第三条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第五条第一項(同条第三項から第五項まで及び令第十六条において準用する場合を含む。)、第六条第一項(同条第三項及び第四項並びに令第十七条において準用する場合を含む。)、第七条第一項(同条第三項及び第四項並びに令第十八条において準用する場合を含む。)、第八条第一項(同条第三項及び令第十九条において準用する場合を含む。)、第九条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第十条第一項(同条第三項及び令第二十条において準用する場合を含む。)、第十一条第一項(同条第三項及び令第二十一条において準用する場合を含む。)、第十二条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第十三条第一項及び第十四条第一項の規定により示すべき電磁的方法の種類及び内容は、次に掲げる事項とする。
 一 前条第一項各号に規定する電磁的方法のうち、送信者が使用するもの
 二 ファイルへの記録の方式

 (電磁的記録に記録された情報の内容を表示する方法)
第七条 商法第百五十三条第一項第二号(同法第五百四十二条において準用する場合を含む。)、第二百三十九条第七項第二号(同法第百八十条第三項、第二百二十二条第八項、第三百四十五条第三項(同法第百八十条第三項及び第三百四十六条において準用する場合を含む。)及び第二百三十九条ノ三第七項(第百八十条第三項、第二百二十二条第八項及び第三百四十五条第三項(同法第百八十条第三項及び第三百四十六条において準用する場合を含む。)並びに有限会社法第三十八条ノ四第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)、第二百六十条ノ四第六項第二号(商法特例法第十八条の三第二項において読み替えて適用する場合を含む。)、第二百六十三条第二項第三号(商法第四百三十条第二項及び有限会社法第二十八条第三項において準用する場合を含む。)、同条第三項第二号(商法第二百四十四条第六項(同法第百八十条第三項、第二百二十二条第八項、第三百四十五条第三項(同法第百八十条第三項及び第三百四十六条において準用する場合を含む。)及び第四百三十条第二項において準用する場合を含む。)及び第四百三十条第二項並びに有限会社法第二十八条第三項において準用する場合を含む。)、同条第四項第二号(商法第四百三十条第二項において準用する場合を含む。)、同条第五項第二号(同法第四百三十条第二項において準用する場合を含む。)、第二百八十二条第二項第三号(商法第四百二十条第六項(有限会社法第七十五条第一項において準用する場合を含む。)、有限会社法第四十三条ノ二第二項及び商法特例法第十五条において準用する場合を含む。)、第二百九十三条ノ六第一項第二号(商法第四百三十条第二項において準用する場合を含む。)、第三百三十九条第六項第二号、第三百五十四条第三項第三号(同法第三百六十条第二項(同法第三百七十一条第二項において準用する場合を含む。)及び第三百六十六条第二項において準用する場合を含む。)、第三百七十四条ノ二第三項第三号(同法第三百七十四条ノ十八第二項(有限会社法第六十三条ノ九第一項において準用する場合を含む。)及び有限会社法第六十三条ノ六第一項において準用する場合を含む。)、第三百七十四条ノ十一第三項第三号(商法第三百七十四条ノ三十一第三項並びに有限会社法第六十三条ノ六第一項及び第六十三条ノ九第三項において準用する場合を含む。)及び第四百八条ノ二第三項第三号(商法第四百十四条ノ二第二項及び有限会社法第六十三条第一項において準用する場合を含む。)並びに有限会社法第二十八条ノ二第一項第二号、第三十三条ノ二第二項第二号(同法第七十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第四十四条ノ二第一項第二号(同法第七十五条第二項において準用する場合を含む。)並びに商法特例法第七条第一項第二号及び第二十二条第二項第二号に規定する法務省令で定める方法は、当該電磁的記録に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法とする。

 (貸借対照表等の情報の提供を電磁的方法により受けるために必要な事項)
第八条 商法第百八十八条第二項第十号(同法第四百三十条第三項において準用する場合を含む。)に規定する法務省令で定める事項は、同法第二百八十三条第五項に規定する措置を執るために使用する自動公衆送信装置(著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第二条第一項第九号の五イに規定する自動公衆送信装置をいう。以下同じ。)のうち当該措置を執るための用に供する部分をインターネットにおいて識別するための文字、記号その他の符号又はこれらの結合であって、情報の提供を受ける者がその使用に係る電子計算機に入力することによって当該情報の内容を閲覧し、当該電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録することができるものとする。
2 前項の規定は、商法特例法第十六条第三項に規定する措置を執る場合について準用する。この場合において、前項中「商法第百八十八条第二項第十号(同法第四百三十条第三項において準用する場合を含む。)」とあるのは「商法特例法第十六条第五項において読み替えて適用する同法第百八十八条第二項第十号」と、「商法第二百八十三条第五項」とあるのは「商法特例法第十六条第三項」と読み替えるものとする。

 (電磁的記録に記録された情報を提供するための電磁的方法)
第九条 商法第二百六十三条第二項第四号(同法第四百三十条第二項及び有限会社法第二十八条第三項において準用する場合を含む。)、第二百八十二条第二項第四号(商法第四百二十条第六項(有限会社法第七十五条第一項において準用する場合を含む。)、有限会社法第四十三条ノ二第二項及び商法特例法第十五条において準用する場合を含む。)、第三百五十四条第三項第四号(商法第三百六十条第二項及び第三百六十六条第二項において準用する場合を含む。)、第三百七十四条ノ二第三項第四号(同法第三百七十四条ノ十八第二項(有限会社法第六十三条ノ九第一項において準用する場合を含む。)及び有限会社法第六十三条ノ六第一項において準用する場合を含む。)、第三百七十四条ノ十一第三項第四号(商法第三百七十四条ノ三十一第三項並びに有限会社法第六十三条ノ六第一項及び第六十三条ノ九第三項において準用する場合を含む。)及び第四百八条ノ二第三項第四号(商法第四百十四条ノ二第二項及び有限会社法第六十三条第一項において準用する場合を含む。)に規定する法務省令で定める電磁的方法は、第五条第一項各号に掲げるもののうち、会社が定めるものとする。

 (貸借対照表等の情報を電磁的方法により提供する措置を行うための電磁的方法)
第十条 商法第二百八十三条第五項(同法第四百三十条第二項において準用する場合を含む。)及び商法特例法第十六条第三項に規定する法務省令で定める電磁的方法は、第五条第一項第一号に掲げる方法のうち、会社の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法であって、インターネットに接続された自動公衆送信装置を使用するものとする。

   第三章 株主総会の招集通知に添付すべき参考書類等



    第一節 総則



 (参考書類等)
第十一条 商法第二百三十九条ノ二第二項(同法第百八十条第三項、第二百二十二条第八項及び第三百四十五条第三項(同法第百八十条第三項及び第三百四十六条において準用する場合を含む。)並びに有限会社法第三十八条ノ三第二項において準用する場合を含む。)及び第二百三十九条ノ三第二項(商法第百八十条第三項、第二百二十二条第八項及び第三百四十五条第三項(同法第百八十条第三項及び第三百四十六条において準用する場合を含む。)並びに有限会社法第三十八条ノ四第二項において準用する場合を含む。)並びに商法特例法第二十一条の二第一項の議決権の行使について参考となるべき事項並びに商法第二百三十九条ノ二第四項(同法第百八十条第三項、第二百二十二条第八項及び第三百四十五条第三項(同法第百八十条第三項及び第三百四十六条において準用する場合を含む。)並びに有限会社法第三十八条ノ三第二項において準用する場合を含む。)及び商法特例法第二十一条の三第二項の株主が議決権を行使するための書面の様式は、この章の定めるところによる。

    第二節 議決権の行使について参考となるべき事項



 (一般的記載事項等)
第十二条 商法第二百三十九条ノ二第二項及び第二百三十九条ノ三第二項並びに商法特例法第二十一条の二第一項に規定する議決権の行使について参考となるべき事項を記載する書類(以下「参考書類」という。)には、総株主の議決権の数並びに株主総会に提出される議案(会議の目的が議案となるものを含む。以下同じ。)及び商法第二百七十五条の規定による監査役の意見があるときはその要旨を記載しなければならない。
2 同一の株主総会に関して株主に提供されるもののうち、他の書類に記載されている事項及び電磁的方法(商法第百三十条第三項の電磁的方法をいう。)により提供される情報の内容とされている事項については、これを明らかにすることにより、参考書類にすべき記載を省略することができる。
3 参考書類には、この節で定めるもののほか、取締役会が株主の議決権の行使について参考となると認める事項を記載することができる。

 (会社提案の場合の記載事項)
第十三条 議案が取締役の提出に係るものであるときは、参考書類には、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事項を記載しなければならない。
 一 取締役又は監査役の選任に関する議案の場合 候補者の氏名、生年月日、略歴、その有する会社の株式の数、他の会社の代表者であるときはその事実、会社との間に特別の利害関係があるときはその要旨及び就任の承諾を得ていないときはその旨
 二 取締役又は監査役の解任に関する議案の場合 解任の理由
 三 貸借対照表又は損益計算書の承認に関する議案の場合 取締役会及び監査役の意見の要旨
 四 利益の処分又は損失の処理に関する議案の場合 議案作成の方針
 五 取締役又は監査役の報酬に関する議案の場合 報酬額算定の基準又は改定の理由
 六 取締役又は監査役の退職慰労金に関する議案の場合 取締役又は監査役の略歴
 七 株式交換契約書の承認に関する議案の場合 株式交換を必要とする理由及び商法第三百五十四条第一項に掲げるものの内容
 八 株式移転に係る事項の承認に関する議案の場合 株式移転を必要とする理由及び商法第三百六十六条第一項に掲げるものの内容並びに第一号に定める事項
 九 分割計画書の承認に関する議案の場合 新設分割を必要とする理由、商法第三百七十四条ノ二第一項に掲げるものの内容及び第一号に定める事項(ただし、同法第三百七十四条第二項第五号に掲げる事項については、分割によって設立する会社が承継する営業の内容及び承継する主要な権利義務を記載すれば足りる。)
 十 分割契約書の承認に関する議案の場合 吸収分割を必要とする理由及び商法第三百七十四条ノ十八第一項に掲げるものの内容(ただし、同法第三百七十四条ノ十七第二項第五号に掲げる事項については、分割によって営業を承継する会社が承継する営業の内容及び主要な権利義務を記載すれば足りる。)
 十一 合併契約書の承認に関する議案の場合 合併を必要とする理由及び商法第四百八条ノ二第一項に掲げるものの内容
 十二 営業の全部又は重要な一部の譲渡その他の商法第二百四十五条第一項各号に掲げる行為に関する議案の場合 当該行為を必要とする理由、当該行為に関する契約書の内容及び最近営業年度の損益の状況
 十三 その他の議案の場合 提案の理由(その決議に際して株主総会において一定の事項の開示を要する議案の場合には、その開示すべき事項を含む。)
2 前項第一号、第二号、第五号、第六号、第十号又は第十一号(合併をする会社の一方が合併後存続する場合に限る。)の場合において、商法第二百七十五条ノ三(同法第二百七十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定により監査役が意見を述べるときは、その要旨をも記載しなければならない。
3 第一項第五号の場合において、議案が取締役又は監査役の報酬を総額をもって定めるものであるときは、取締役又は監査役の員数をも記載しなければならない。
4 第一項第六号の場合において、議案が一定の基準に従い退職慰労金の額を決定することを取締役、監査役その他第三者に一任するものであるときは、その基準の内容をも記載しなければならない。ただし、その基準を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(商法第三十三条ノ二第一項の電磁的記録をいう。以下同じ。)を本店に備え置いて株主の閲覧(電磁的記録にあっては、当該電磁的記録に記録された情報の内容を第七条に定める方法により表示したものの閲覧)に供しているときは、この限りでない。
5 前二項の場合において、その取締役又は監査役について商法第二百六十六条第七項若しくは第十二項(同法第二百六十六条第十八項の規定により読み替えて適用するこれらの規定を同法第二百八十条第一項において準用する場合を含む。)に規定する責任の免除に関する決議があったとき、又はその取締役が同法第二百六十六条第十九項の契約により同項の限度において責任を負ったときは、同条第十項(同条第十六項本文(同法第二百八十条第一項において準用する場合を含む。)及び第二十三項並びに第二百八十条第一項において準用する場合を含む。)に規定する承認の決議に関する議案についての参考書類には、その取締役又は監査役に与える退職慰労金若しくは退職手当の額又は財産上の利益の内容を記載しなければならない。
6 第一項第七号の場合において、株式交換契約書に商法第三百五十三条第二項第一号の規定により定款の変更の規定を記載したときは、その変更の理由をも記載しなければならない。
7 第一項第十号の場合において、分割契約書に商法第三百七十四条ノ十七第二項第一号の規定により定款の変更の規定を記載したときはその変更の理由、同項第十一号の規定により取締役又は監査役の氏名を記載したときは第一項第一号に定める事項をも記載しなければならない。
8 第一項第十一号の場合において、合併契約書に商法第四百九条第一号の規定により定款の変更の規定を記載したときはその変更の理由、同条第八号又は第四百十条第六号の規定により取締役又は監査役の氏名を記載したときは第一項第一号に定める事項をも記載しなければならない。

第十四条 商法特例法第二条に規定する株式会社(以下「大会社」という。)にあっては、前条第一項に規定する場合においては、参考書類には、同項各号に掲げる事項のほか、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事項をも記載しなければならない。
 一 会計監査人の選任に関する議案の場合
  イ 候補者が公認会計士であるときは、その氏名、事務所、生年月日及び略歴
  ロ 候補者が監査法人であるときは、その名称、事務所及び沿革
 二 会計監査人の解任又は不再任に関する議案の場合 解任又は不再任の理由
 三 前条第一項第三号の場合 会計監査人及び監査役会の意見の要旨
2 前項第一号又は第二号の場合において、商法特例法第六条の三の規定により会計監査人が意見を述べるときは、その要旨をも記載しなければならない。
3 監査役の選任又は会計監査人の選任、不再任若しくは解任に関する議案が監査役会の請求により提出されたものであるときは、その旨をも記載しなければならない。
4 前条第一項第八号の場合において、商法特例法第三条第七項の規定により会計監査人の氏名又は名称について商法第三百六十五条第一項の株主総会の承認を受けなければならないときは、第一項第一号に定める事項をも記載しなければならない。
5 前条第一項第九号の場合において、分割計画書に商法特例法第三条第八項の規定により会計監査人の氏名又は名称を記載したときは、第一項第一号に定める事項をも記載しなければならない。
6 前条第一項第十一号の場合において、合併契約書に商法特例法第三条第六項の規定により会計監査人の氏名又は名称を記載したときは、第一項第一号に定める事項をも記載しなければならない。

 (株主提案の場合の記載事項)
第十五条 議案が株主の提出に係るものであるときは、参考書類には、議案が株主の提出に係る旨、その株主の議決権の数及び議案に対する取締役会の意見並びに次に掲げる事項を記載しなければならない。
 一 株主から四百字以内の提案理由を記載した書面又は四百字以内の提案理由を内容とする情報を記録した電磁的記録が株主総会の会日の六週間前までに提出されているときは、当該理由又はその要旨(ただし、提案理由が明らかに虚偽である場合又は専ら人の名誉を侵害し、若しくは侮辱する目的によるものと認められる場合を除く。)
 二 議案が取締役又は監査役の選任に関するものである場合において、第十三条第一項第一号に定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録が株主総会の会日の六週間前までに提出されているときは、その内容(ただし、その内容が明らかに虚偽である場合を除く。)
2 二以上の株主から同一の趣旨の議案が提出されているときは、その議案及びこれに対する取締役会の意見は、各別に記載することを要しない。この場合においては、二以上の株主から同一の趣旨の提案があった旨を記載しなければならない。
3 前項の規定は、二以上の株主から同一の趣旨の提案理由を記載し、又は記録した第一項第一号の書面又は電磁的記録が提出されている場合について準用する。
4 第十三条第二項の規定は、第一項の場合について準用する。

第十六条 大会社にあっては、株主の提出に係る議案が会計監査人の選任に関するものである場合において、第十四条第一項第一号に定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録が株主総会の会日の六週間前までに提出されているときは、参考書類には、その内容をも記載しなければならない。ただし、その内容が明らかに虚偽であるときは、この限りでない。
2 第十四条第二項の規定は、前項の場合について準用する。

 (監査役が辞任した場合の記載事項)
第十七条 監査役の辞任後最初に招集される株主総会に関する参考書類には、商法第二百七十五条ノ三ノ二第一項の規定により監査役を辞任した監査役が辞任の理由を述べるとき、又は同条第三項において準用する同法第二百七十五条ノ三の規定により監査役が意見を述べるときは、その要旨をも記載しなければならない。

 (監査役会による会計監査人の解任の報告等)
第十八条 大会社にあっては、商法特例法第六条の二第一項の規定による会計監査人の解任後最初に招集される株主総会に関する参考書類には、監査役会が選任した監査役が報告すべき事項及び解任された会計監査人の意見の要旨を記載しなければならない。

    第三節 議決権を行使するための書面



 (賛否の記載)
第十九条 商法第二百三十九条ノ二第四項及び商法特例法第二十一条の三第二項の株主が議決権を行使するための書面(以下「議決権行使書面」という。)には、議案ごとに、株主が賛否を記載する欄を設けなければならない。ただし、別に棄権の欄を設けることを妨げない。
2 取締役、監査役又は会計監査人の選任に関する議案において二名以上の候補者が提案されているときは、前項の欄は、株主が各候補者について同項に規定する記載をすることができるものでなければならない。

 (賛否の記載がない場合の取扱い)
第二十条 議決権行使書面には、前条第一項に規定する記載のない議決権行使書面が会社に提出されたときは、各議案について賛成、反対又は棄権のいずれかの意思の表示があったものとして取り扱う旨を記載することができる。

 (株主の氏名等)
第二十一条 議決権行使書面には、議決権を行使すべき株主の氏名及び行使することができる議決権の数を記載し、株主が押印する欄を設けなければならない。

   第四章 株式会社の貸借対照表等の記載又は記録の方法



    第一節 商法第二百八十一条第一項の貸借対照表等の記載方法等



     第一款 総則


 (貸借対照表等の記載方法等)
第二十二条 商法第二百八十一条第一項の貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書の記載又は記録の方法並びに公告すべき貸借対照表及び損益計算書の要旨の記載方法は、この節の定めるところによる。

 (作成の基本原則)
第二十三条 貸借対照表及び損益計算書への記載又は記録は、会社の財産及び損益の状態を正確に判断することができるよう明瞭にしなければならない。
2 営業報告書への記載は、会社の状況を正確に判断することができるよう明瞭にしなければならない。
3 前二項の規定は、附属明細書について準用する。

 (会計方針の注記等)
第二十四条 資産の評価の方法、固定資産の減価償却の方法、重要な引当金の計上の方法その他の重要な貸借対照表又は損益計算書の作成に関する会計方針は、貸借対照表又は損益計算書に注記しなければならない。ただし、商法第二百八十五条ノ二第一項に規定する評価の方法その他その採用が原則とされている会計方針については、この限りでない。
2 貸借対照表又は損益計算書の作成に関する会計方針を変更したときは、その旨及びその変更による増減額を貸借対照表又は損益計算書に注記しなければならない。ただし、その変更又は変更による影響が軽微であるときは、その旨又は変更による増減額の記載又は記録を要しない。
3 前項の規定は、貸借対照表又は損益計算書の記載又は記録の方法を変更したときについて準用する。

 (注記の記載又は記録の方法)
第二十五条 貸借対照表又は損益計算書に記載し、又は記録すべき注記は、貸借対照表又は損益計算書の末尾に記載し、又は記録しなければならない。ただし、他の適当な箇所に記載し、又は記録することを妨げない。
2 特定の科目に関連する注記については、その関連が明らかになるように記載し、又は記録しなければならない。

 (追加情報の注記)
第二十六条 この節で定めるもののほか、貸借対照表又は損益計算書により会社の財産及び損益の状態を正確に判断するために必要な事項は、貸借対照表又は損益計算書に注記しなければならない。

 (注記の省略)
第二十七条 商法特例法第二十二条第一項に規定する株式会社(以下「小会社」という。)の貸借対照表及び損益計算書については、この節の規定により記載し、又は記録すべき注記を省略することができる。ただし、第七十二条の差額並びに第七十五条の超過額及び純資産額の注記は、この限りでない。

 (金額の表示の単位)
第二十八条 貸借対照表、損益計算書及び附属明細書に記載し、又は記録すべき金額は、千円未満の端数を切り捨てて表示することができる。ただし、大会社にあっては、百万円未満の端数を切り捨てて表示することを妨げない。

     第二款 貸借対照表


 (区分)
第二十九条 貸借対照表には、資産の部、負債の部及び資本の部を設け、各部にはその部の合計額を記載し、又は記録しなければならない。

 (資産の部)
第三十条 資産の部は、流動資産、固定資産及び繰延資産の各部に区分し、固定資産の部は、更に有形固定資産、無形固定資産及び投資等の各部に区分しなければならない。

第三十一条 前条の各部は、現金及び預金、受取手形、建物その他の資産の性質を示す適当な名称を付した科目に細分しなければならない。

 (売掛金等)
第三十二条 売掛金、受取手形その他営業取引によって生じた金銭債権は、流動資産の部に記載し、又は記録しなければならない。ただし、これらの金銭債権のうち破産債権、再生債権、更生債権その他これらに準ずる債権で決算期後一年以内に弁済を受けることができないことが明らかなものは、投資等の部に記載し、又は記録しなければならない。

 (預金等)
第三十三条 預金、貸付金その他前条に掲げる金銭債権以外の金銭債権で、その履行期が決算期後一年以内に到来するもの又は到来すると認められるものは、流動資産の部に記載し、又は記録しなければならない。ただし、当初の履行期が一年を超えるもの又は超えると認められたものは、投資等の部に記載し、又は記録することができる。

 (子会社等に対する金銭債権)
第三十四条 子会社(商法第二百十一条ノ二第一項及び第三項の子会社をいう。以下同じ。)に対する金銭債権で前二条の規定により流動資産の部に記載し、又は記録すべきものは、その金銭債権が属する科目ごとに、他の金銭債権と区別して記載し、又は記録しなければならない。ただし、その金銭債権が属する科目ごとに、又は二以上の科目について一括して注記することを妨げない。
2 前項の規定は、支配株主(会社の総株主の議決権の過半数を有する者及び商法第二百十一条ノ二第三項の規定により親会社となる会社をいう。以下同じ。)に対する金銭債権で前二条の規定により流動資産の部に記載し、又は記録すべきものについて準用する。

 (取立不能の見込額)
第三十五条 第三十二条及び第三十三条の規定により流動資産の部に記載し、又は記録した金銭債権について取立不能のおそれがある場合には、その金銭債権が属する科目ごとに、取立不能の見込額を控除する形式で記載し、又は記録しなければならない。ただし、取立不能の見込額を控除した残額のみを記載し、又は記録することを妨げない。
2 前項ただし書の場合においては、取立不能の見込額を注記しなければならない。
3 取立不能の見込額は、二以上の科目について一括して記載し、又は記録することを妨げない。

 (短期保有の株式等)
第三十六条 市場価格のある株式及び社債(国債、地方債その他の債券を含む。以下同じ。)で時価の変動により利益を得る目的で保有するものは、流動資産の部に記載し、又は記録しなければならない。
2 決算期後一年以内に償還期限の到来する社債(前項に規定する社債を除く。)は、流動資産の部に記載し、又は記録しなければならない。ただし、当初の償還期限が一年を超えるものは、投資等の部に記載し、又は記録することができる。
3 前条の規定は、前項の社債のうち市場価格のないものについて準用する。

第三十七条 親会社(商法第二百十一条ノ二第一項の親会社及び同条第三項の規定により親会社となる会社をいう。以下同じ。)の株式は、流動資産の部に他の株式と区別して記載し、又は記録しなければならない。ただし、その額が重要でないときは、注記によることを妨げない。

 (前払費用)
第三十八条 費用の前払で決算期後一年以内に費用となるものは、流動資産の部に記載し、又は記録しなければならない。ただし、当初一年を超えた後に費用となるものとして支出されたものは、投資等の部に記載し、又は記録することができる。

 (繰延税金資産)
第三十九条 流動資産に属する資産又は流動負債に属する負債に関連する繰延税金資産は、流動資産の部に記載し、又は記録しなければならない。特定の資産又は負債に関連しない繰延税金資産で決算期後一年内に取り崩されると認められるものについても、同様とする。

 (時価が著しく低い場合の注記)
第四十条 重要な流動資産につきその時価が取得価額又は製作価額より著しく低い場合において、取得価額又は製作価額を付したときは、その旨を注記しなければならない。
2 前項の規定は、市場価格のある株式及び社債について準用する。

 (有形固定資産の償却)
第四十一条 有形固定資産は、その資産が属する科目ごとに、減価償却累計額を控除する形式で記載し、又は記録しなければならない。ただし、減価償却累計額を控除した残額のみを記載し、又は記録することを妨げない。
2 前項ただし書の場合においては、減価償却累計額を注記しなければならない。
3 減価償却累計額は、二以上の科目について一括して記載し、又は記録することを妨げない。

 (建設中の有形固定資産等)
第四十二条 建設中又は製作中の有形固定資産は、特別の科目を設けて記載し、又は記録しなければならない。

 (無形固定資産の償却)
第四十三条 無形固定資産については、償却額を控除した残額を記載し、又は記録しなければならない。

 (償却年数等の変更の注記)
第四十四条 固定資産の償却年数又は残存価額を変更したときは、その旨を注記しなければならない。ただし、その変更が軽微であるときは、この限りでない。

 (リースにより使用する固定資産)
第四十五条 リース契約により使用する重要な固定資産は、注記しなければならない。ただし、資産の部に計上するものは、この限りでない。

 (所有権が留保された固定資産)
第四十六条 割賦販売等により購入した重要な固定資産の所有権が売主に留保されているときは、その旨及び代金未払額を注記しなければならない。ただし、他の資産又は他の債務と区別して記載し、又は記録するときは、この限りでない。

 (長期前払費用)
第四十七条 第三十八条の規定により流動資産の部に記載し、又は記録した費用の前払以外の費用の前払は、投資等の部に記載し、又は記録しなければならない。

 (長期繰延税金資産)
第四十八条 第三十九条の規定により流動資産の部に記載し、又は記録した繰延税金資産以外の繰延税金資産は、投資等の部に記載し、又は記録しなければならない。

 (長期金銭債権)
第四十九条 第三十二条及び第三十三条の規定により流動資産の部に記載し、又は記録した金銭債権以外の金銭債権は、投資等の部に記載し、又は記録しなければならない。
2 第三十四条及び第三十五条の規定は、前項の金銭債権について準用する。

 (取締役等に対する金銭債権)
第五十条 取締役又は監査役との間の取引による取締役及び監査役に対する金銭債権は、その総額を注記しなければならない。

 (長期保有の株式等)
第五十一条 第三十六条の規定により流動資産の部に記載し、又は記録した株式及び社債以外の株式及び社債は、投資等の部に記載し、又は記録しなければならない。
2 前項の規定は、有限会社の社員の持分その他出資による持分について準用する。
3 第三十五条の規定は、第一項の規定により投資等の部に記載し、又は記録すべき社債のうち市場価格のないものについて準用する。

 (子会社の株式等)
第五十二条 子会社の株式又は持分は、他の株式又は持分と区別して投資等の部に記載し、又は記録しなければならない。ただし、その額が重要でないときは、注記によることを妨げない。

 (外貨建ての資産)
第五十三条 重要な資産が外貨建てであるときは、その旨を注記しなければならない。ただし、会社の財産の状態を判断するため重要でないときは、この限りでない。

 (繰延資産)
第五十四条 商法第二百八十六条から第二百八十七条まで及び第二百九十一条第四項に規定する金額については、償却額を控除した残額を記載し、又は記録しなければならない。

 (担保に供されている資産)
第五十五条 資産が担保に供されているときは、その旨を注記しなければならない。

 (負債の部)
第五十六条 負債の部は、流動負債及び固定負債の各部に区分しなければならない。

第五十七条 前条の各部は、支払手形、買掛金、社債その他の負債の性質を示す適当な名称を付した科目に細分しなければならない。

 (買掛金等)
第五十八条 買掛金、支払手形その他営業取引によって生じた金銭債務は、流動負債の部に記載し、又は記録しなければならない。

 (借入金等)
第五十九条 借入金その他前条に掲げる金銭債務以外の金銭債務で、その履行期が決算期後一年以内に到来するもの又は到来すると認められるものは、流動負債の部に記載し、又は記録しなければならない。

 (支配株主等に対する金銭債務)
第六十条 支配株主に対する金銭債務で流動負債の部に記載し、又は記録すべきものは、その金銭債務が属する科目ごとに、他の金銭債務と区別して記載し、又は記録しなければならない。ただし、その金銭債務が属する科目ごとに、又は二以上の科目について一括して注記することを妨げない。
2 前項の規定は、子会社に対する金銭債務で流動負債の部に記載し、又は記録すべきものについて準用する。

 (繰延税金負債)
第六十一条 流動資産に属する資産又は流動負債に属する負債に関連する繰延税金負債は、流動負債の部に記載し、又は記録しなければならない。特定の資産又は負債に関連しない繰延税金負債で決算期後一年内に取り崩されると認められるものについても、同様とする。

 (長期金銭債務)
第六十二条 第五十八条及び第五十九条の金銭債務以外の金銭債務は、固定負債の部に記載し、又は記録しなければならない。
2 第六十条の規定は、前項の金銭債務について準用する。

 (長期繰延税金負債)
第六十三条 第六十一条の規定により流動負債の部に記載し、又は記録した繰延税金負債以外の繰延税金負債は、固定負債の部に記載し、又は記録しなければならない。

 (取締役等に対する金銭債務)
第六十四条 取締役又は監査役との間の取引による取締役及び監査役に対する金銭債務は、その総額を注記しなければならない。

 (保証債務等)
第六十五条 保証債務、手形遡求義務、重要な係争事件に係る損害賠償義務その他これらに準ずる債務は、注記しなければならない。ただし、負債の部に計上するものは、この限りでない。

 (外貨建ての負債)
第六十六条 第五十三条の規定は、重要な負債が外貨建てである場合について準用する。

 (引当金の部等)
第六十七条 商法第二百八十七条ノ二に規定する引当金は、第五十六条の規定にかかわらず、負債の部に別に引当金の部を設けて記載し、又は記録することができる。
2 前項の引当金は、その計上の目的を示す適当な名称を付して記載し、又は記録しなければならない。
3 第一項の引当金で、引当金の部に記載せず、又は記録しないものについては、商法第二百八十七条ノ二に規定する引当金であることを注記しなければならない。
4 法令の規定により負債の部に計上することが強制される引当金又は準備金で、他の部に記載し、又は記録することが相当でないものは、引当金の部に記載し、又は記録しなければならない。
5 法令の規定により負債の部に計上することが強制される引当金又は準備金については、その法令の条項を付記しなければならない。

 (繰延税金資産及び繰延税金負債の記載又は記録の方法)
第六十八条 第三十九条の規定により流動資産の部に記載し、又は記録すべき繰延税金資産と第六十一条の規定により流動負債の部に記載し、又は記録すべき繰延税金負債とがある場合には、その差額を繰延税金資産又は繰延税金負債として記載し、又は記録しなければならない。第四十八条の規定により投資等の部に記載し、又は記録すべき繰延税金資産と第六十三条の規定により固定負債の部に記載し、又は記録すべき繰延税金負債とがある場合についても、同様とする。

 (資本の部)
第六十九条 資本の部は、資本金、資本剰余金及び利益剰余金の各部に区分しなければならない。
2 土地の再評価に関する法律(平成十年法律第三十四号)第七条第二項に規定する再評価差額金は、前項の規定にかかわらず、資本の部に別に土地再評価差額金の部を設けて記載し、又は記録しなければならない。
3 資産につき時価を付すものとした場合(商法第二百八十五条ノ二第一項ただし書及び第二項(これらの規定を同法第二百八十五条ノ五第二項及び第二百八十五条ノ六第二項において準用する場合を含む。)の場合を除く。)には、その資産の評価差額金(当期利益又は当期損失として計上したものを除く。)は、第一項の規定にかかわらず、資本の部に別に株式等評価差額金の部を設けて記載し、又は記録しなければならない。
4 自己株式は、第一項の規定にかかわらず、資本の部に別に自己株式の部を設けて、控除する形式で記載し、又は記録しなければならない。

 (資本剰余金の部)
第七十条 資本剰余金の部には、資本準備金及びその他資本剰余金を記載し、又は記録し、その他資本剰余金は、減資差益、自己株式処分差益その他の内容を示す適当な名称を付した科目に細分しなければならない。

 (利益剰余金の部)
第七十一条 利益剰余金の部には、利益準備金及び任意積立金並びに当期未処分利益又は当期未処理損失を記載し、又は記録し、任意積立金は、その内容を示す適当な名称を付した科目に細分しなければならない。
2 当期未処分利益又は当期未処理損失については、当期利益又は当期損失を付記しなければならない。

 (資本の欠損の注記)
第七十二条 貸借対照表上の純資産額から第六十九条第二項の土地再評価差額金及び同条第三項の株式等評価差額金の合計額を控除した額が、資本金、資本準備金及び利益準備金の合計額を下回る場合には、その差額を注記しなければならない。

 (新株予約権)
第七十三条 新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを含む。)は、注記しなければならない。

 (一株当たりの当期利益等)
第七十四条 一株当たりの当期利益又は当期損失の額は、注記しなければならない。

 (繰延資産等に関する注記)
第七十五条 商法第二百九十条第一項第四号に規定する超過額及び同項第六号に規定する純資産額は、注記しなければならない。

     第三款 損益計算書


 (区分)
第七十六条 損益計算書には、経常損益の部及び特別損益の部を設け、経常損益の部は、営業損益の部及び営業外損益の部に区分しなければならない。

 (経常損益の部)
第七十七条 営業損益の部及び営業外損益の部は、売上高、売上原価、販売費及び一般管理費その他の収益又は費用の性質を示す適当な名称を付した科目に細分しなければならない。

 (営業損益)
第七十八条 営業収益の合計額と営業費用の合計額との差額は、営業利益又は営業損失として記載しなければならない。

 (子会社等との取引高)
第七十九条 子会社との取引による取引高の総額は、営業取引によるものとそれ以外のものとを区分して、注記しなければならない。
2 前項の規定は、支配株主との取引による取引高について準用する。

 (経常損益)
第八十条 第七十八条の営業利益又は営業損失の額に、営業外収益の合計額と営業外費用の合計額を加減した額は、経常利益又は経常損失として記載しなければならない。

 (特別損益の部)
第八十一条 特別損益の部には、前期損益修正損益、固定資産売却損益その他の異常な利益又は損失についてその内容を示す適当な名称を付した科目を設けて記載しなければならない。

 (当期損益)
第八十二条 第八十条の経常利益又は経常損失の額に、前条の利益の合計額と損失の合計額を加減した額は、税引前当期利益又は税引前当期損失として記載しなければならない。
2 税引前当期利益又は税引前当期損失に加減すべき次の各号の額は、その内容を示す適当な名称を付して前項の税引前当期利益又は税引前当期損失の次に記載しなければならない。
 一 法人税その他の税の額
 二 法人税等調整額
3 税引前当期利益又は税引前当期損失の額に、前項各号の額を加減した額は、当期利益又は当期損失として記載しなければならない。

 (当期未処分利益又は当期未処理損失)
第八十三条 次の各号の額は、その内容を示す適当な名称を付して前条の当期利益又は当期損失の次に記載しなければならない。
 一 前期繰越利益又は前期繰越損失の額
 二 一定の目的のために留保した利益のその目的に従う取崩しの額
 三 商法第二百八十九条第二項の規定により減少した利益準備金の額
 四 商法第二百九十三条ノ五第一項の金銭の分配の額及びこれに伴う利益準備金の積立ての額
2 前条の当期利益又は当期損失の額に前項各号の額を加減した額は、当期未処分利益又は当期未処理損失として記載しなければならない。

     第四款 営業報告書


 (営業報告書)
第八十四条 営業報告書には、次の事項その他会社の状況に関する重要な事項を記載しなければならない。
 一 主要な事業内容、営業所及び工場、株式の状況、従業員の状況その他の会社の現況
 二 その営業年度における営業の経過及び成果(資金調達の状況及び設備投資の状況を含む。)
 三 親会社との関係、重要な子会社の状況その他の重要な企業結合の状況(その経過及び成果を含む。)
 四 過去三年間以上の営業成績及び財産の状況の推移並びにこれについての説明
 五 会社が対処すべき課題
 六 その営業年度の取締役及び監査役の氏名、会社における地位及び担当又は主な職業
 七 上位七名以上の大株主及びその持株数の数並びに当該大株主への出資の状況(議決権の比率を含む。)
 八 主要な借入先、借入額及び当該借入先が有する会社の株式の数
 九 その営業年度中に取得した自己株式の種類、数、取得価額の総額及び特定の者から買い受けたとき(商法第二百四条ノ三第一項(同法第二百四条ノ五第一項において準用する場合を含む。)の請求があった場合及び同法第二百十条第一項の決議に基づく場合に限る。)はその売主、その営業年度中に処分又は株式失効の手続をした自己株式の種類、数及び処分価額の総額並びに決算期において保有する自己株式の種類及び数
 十 商法第二百六十六条第十二項(同条第十八項の規定により読み替えて適用するこの規定を同法第二百八十条第一項において準用する場合を含む。)又は同法第二百六十六条第十九項の定款の定めをした会社にあっては、取締役に支払った報酬その他の職務遂行の対価(取締役が使用人を兼ねる場合の使用人としての報酬その他の職務遂行の対価を含む。)である財産上の利益の額及び監査役に支払った報酬その他の職務遂行の対価である財産上の利益の額
 十一 その営業年度中に株主以外の者に対し特に有利な条件で新株予約権を発行したときは、その割当てを受けた者の氏名並びにその者が割当てを受けた新株予約権の数、目的となる株式の種類及び数、発行価額、行使の条件、消却の事由及び条件並びに有利な条件の内容(ただし、その割当てを受けた者に会社又はその子会社の使用人があるときは、その使用人に関しては、その割当てを受けた新株予約権の目的となる株式の数の上位十名(同順位にある者が複数ある場合において、上位十位までに当たる者の数が十名を超えるときは、そのうち最も下位に当たる者については、その上位に当たる者の数と合わせて十名に満つるまでの数の者)以上の者について記載すれば足りる。)
 十二 決算期後に生じた会社の状況に関する重要な事実
2 営業の部門が分かれている会社にあっては、前項第二号の記載は、その部門別にもしなければならない。ただし、資金調達の状況その他の記載が困難な事項については、この限りでない。
3 第一項第九号に規定する自己株式の取得に関する事項の記載は、取得の事由ごとにしなければならない。
4 前三項の規定は、小会社については、適用しない。

     第五款 附属明細書


 (附属明細書)
第八十五条 附属明細書には、この規則で定めるもののほか、貸借対照表、損益計算書及び営業報告書の記載又は記録を補足する重要な事項を記載しなければならない。
2 貸借対照表又は損益計算書の作成に関する会計方針を変更したときは、附属明細書にその変更の理由を記載しなければならない。ただし、変更が軽微であるときは、この限りでない。

第八十六条 附属明細書には、次の事項を記載しなければならない。
 一 資本金及び準備金の増減
 二 社債、社債以外の長期借入金及び短期借入金の増減
 三 固定資産の取得及び処分並びに減価償却費の明細
 四 資産につき設定している担保権の明細
 五 保証債務の明細
 六 引当金の明細並びにその計上の理由及び額の算定の方法(貸借対照表に注記したものを除く。)
 七 支配株主に対する債権及び債務の明細
 八 子会社に対する出資の明細及び各子会社が有する会社の株式の数
 九 子会社に対する債権の明細
 十 取締役、監査役又は支配株主との間の取引(これらの者が第三者のためにするものを含む。)及び第三者との間の取引で会社と取締役、監査役又は支配株主との利益が相反するものの明細
 十一 第八十四条第一項第十号の会社以外の会社にあっては、取締役に支払った報酬その他の職務遂行の対価(取締役が使用人を兼ねる場合の使用人としての報酬その他の職務遂行の対価を含む。)である財産上の利益の額及び監査役に支払った報酬その他の職務遂行の対価である財産上の利益の額
2 前項第五号、第八号又は第九号の事項については、重要でないものは、一括して記載することができる。

第八十七条 小会社以外の会社の附属明細書には、次の事項をも記載しなければならない。
 一 担保として取得している自己株式及び親会社の株式の明細
 二 リース契約により使用する固定資産及び割賦販売等により購入した固定資産でその所有権が売主に留保されているものの明細
 三 会社が総株主の議決権の四分の一を超える議決権を有する株式会社又は総社員の議決権の四分の一を超える議決権を有する有限会社(子会社を除く。)に対する出資の明細及び当該株式会社又は有限会社が有する会社の株式の数
 四 子会社との間の取引の明細並びに各子会社に対する債権及び債務の増減
 五 他の会社の無限責任社員、取締役、監査役又は支配人を兼ねる取締役又は監査役につきその兼務の状況の明細(重要でないものを除く。)
 六 営業費用のうち販売費及び一般管理費の明細
2 前項第五号の他の会社の営業が会社の営業と同一の部類のものであるときは、その旨を付記しなければならない。
3 第一項第六号の明細は、第百九条第一項第二号に掲げる事項に関し監査役が監査をするについて参考となるように記載しなければならない。
4 前条第二項の規定は、第一項第二号から第四号までに掲げる事項の記載について準用する。

     第六款 貸借対照表及び損益計算書の公告


 (注記部分の省略)
第八十八条 商法第二百八十三条第四項又は商法特例法第十六条第二項の規定により貸借対照表又は損益計算書を公告する場合には、この規則により記載し、又は記録した注記の部分の公告を省略することができる。ただし、第三十五条第二項(第四十九条第二項及び第五十一条第三項において準用する場合を含む。)の取立不能の見込額、第四十一条第二項の減価償却累計額、第七十二条の差額、第七十四条の一株当たりの当期利益又は当期損失の額並びに第七十五条の超過額及び純資産額の注記については、この限りでない。

 (小会社の貸借対照表の要旨)
第八十九条 小会社が商法第二百八十三条第四項の規定により公告すべき貸借対照表の要旨は、資産の部を流動資産、固定資産及び繰延資産の各部に、負債の部を流動負債及び固定負債並びに引当金の部を設けたときは引当金の各部に、資本の部を資本金、資本剰余金及び利益剰余金並びに株式等評価差額金の部を設けたときは株式等評価差額金並びに自己株式の部を設けたときは自己株式の各部に区分して、各部につきその合計額を記載し、資本剰余金の部に資本準備金を、利益剰余金の部に利益準備金及び当期利益又は当期損失を付記しなければならない。ただし、これらの各部は区分し、又は細分して記載することを妨げない。
2 前項の要旨には、第七十二条の差額並びに第七十五条の超過額及び純資産額の注記をも記載しなければならない。

 (小会社以外の会社の貸借対照表の要旨)
第九十条 小会社以外の会社が商法第二百八十三条第四項又は商法特例法第十六条第二項の規定により公告すべき貸借対照表の要旨は、前条第一項本文の定めるところによるほか、固定資産の部を有形固定資産、無形固定資産及び投資等の各部に区分し、第六十九条第二項の土地再評価差額金の部を設けたときは資本の部に土地再評価差額金の部を追加して、その各部につきその合計額を記載しなければならない。
2 前項の要旨の各部は、会社の財産の状態を明らかにするため重要な適宜の項目に細分しなければならない。
3 第一項の要旨には、前条第二項に定めるもののほか、第七十四条の一株当たりの当期利益又は当期損失の額の注記をも記載しなければならない。

 (大会社の損益計算書の要旨)
第九十一条 大会社が商法特例法第十六条第二項の規定により公告すべき損益計算書の要旨には、営業収益、営業費用、営業外収益、営業外費用、経常利益又は経常損失、第八十一条の利益又は損失、税引前当期利益又は税引前当期損失、第八十二条第二項各号の額、当期利益又は当期損失、第八十三条第一項各号の額及び当期未処分利益又は当期未処理損失を記載しなければならない。ただし、営業外収益若しくは営業外費用又は第八十一条の利益若しくは損失の額が重要でないときは、その各額の記載に代え、その差額を営業外損益又は特別損益として記載することができる。
2 前項の規定により記載すべき事項は、会社の損益の状態を明らかにするために必要があるときは、適宜の項目に細分して記載しなければならない。

 (要旨の金額の表示の単位)
第九十二条 大会社以外の会社の公告すべき貸借対照表の要旨に記載すべき金額は、百万円未満の端数を切り捨てて表示することができる。ただし、会社の財産の状態を的確に判断することができなくなるおそれがあるときは、この限りでない。
2 大会社の公告すべき貸借対照表又は損益計算書の要旨に記載すべき金額は、百万円未満又は一億円未満の端数を切り捨てて表示することができる。ただし、会社の財産又は損益の状態を的確に判断することができなくなるおそれがあるときは、この限りでない。

    第二節 建設会社等についての特例



 (二以上の事業を兼ねて営む場合の適用関係)
第九十三条 本節の規定が適用される事業の二以上を兼ねて営む株式会社が作成すべき商法第二百八十一条第一項の貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書の記載又は記録の方法並びに公告すべき貸借対照表及び損益計算書の要旨の記載方法については、それらの事業のうち、当該会社の営業の主要な部分を占める事業に関して適用される本節の規定の定めによる。ただし、その主要事業以外の事業に関する事項については、主要事業以外の事業に関する本節の規定の定めによることができる。
2 本節の規定が適用される事業とその他の事業とを兼ねて営む株式会社において、当該会社の営業の主要な部分がその他の事業によるものである場合においては、当該会社が作成すべき商法第二百八十一条第一項の貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書の記載又は記録の方法並びに公告すべき貸借対照表及び損益計算書の要旨の記載方法については、本節の規定を適用しないことができる。ただし、本節の規定の適用を受ける事業に関係ある事項については、当該事業に関する本節の定めによることができる。

 (建設会社に関する特例)
第九十四条 建設業法(昭和二十四年法律第百号)に定める建設業者である株式会社(以下「建設会社」という。)の作成すべき商法第二百八十一条第一項に掲げる貸借対照表及び損益計算書の記載又は記録の方法については、第二十二条の規定にかかわらず、前節中第二十八条、第三十四条(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第三十五条(第四十九条第二項及び第五十一条第三項において準用する場合を含む。)、第四十一条並びに第六十条(第六十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定を除くその他の規定は適用せず、建設業法施行規則(昭和二十四年建設省令第十四号)の定めるところによる。ただし、貸借対照表については、報告様式とすることを要しない。
2 建設業法施行規則別記様式(以下「別記様式」という。)第十五号及び第十六号中各科目に付された番号並びに別記様式第十六号中完成工事原価報告書に関する部分は、記載し、又は記録することを要しない。
3 別記様式第十五号記載要領30及び第十六号記載要領20の規定にかかわらず、別記様式第十五号及び第十六号の注に掲げる事項は、該当するものがない場合には、記載し、又は記録することを要しない。この場合においては、当該事項の後の事項に付された番号を繰り上げ、一連番号を付すことができる。
4 別記様式第十六号中販売費及び一般管理費の科目を細分する科目の記載は、省略することができる。
5 第八十八条の規定は、建設会社の公告する貸借対照表及び損益計算書について準用する。

 (ガス会社に関する特例)
第九十五条 ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)に定める一般ガス事業者である株式会社(以下「ガス会社」という。)の作成すべき商法第二百八十一条第一項の貸借対照表、損益計算書及び附属明細書の記載又は記録の方法については、第二十二条の規定にかかわらず、前節中第二十三条第一項及び第三項、第二十八条、第三十五条(第四十九条第二項及び第五十一条第三項において準用する場合を含む。)、第四十一条並びに第八十七条第一項第五号及び第三項を除くその他の規定は適用せず、ガス事業会計規則(昭和二十九年通商産業省令第十五号)の定めるところによる。ただし、貸借対照表又は損益計算書に記載し、又は記録すべき注記は、貸借対照表又は損益計算書の末尾以外の適当な箇所に記載し、又は記録することを妨げない。
2 第二十七条の規定はガス会社で同条の小会社に該当するものの貸借対照表及び損益計算書に、第八十八条の規定はガス会社の公告する貸借対照表及び損益計算書について準用する。

 (銀行等に関する特例)
第九十六条 次の表の上欄に掲げる株式会社の作成すべき商法第二百八十一条第一項に掲げる貸借対照表及び損益計算書の記載又は記録の方法並びに公告すべき貸借対照表及び損益計算書の要旨の記載方法については、第二十二条の規定にかかわらず、前節中第二十三条第一項を除くその他の規定は適用せず、それぞれ次の表の下欄に掲げる命令の定めるところによる。この場合において、公告すべき貸借対照表及び損益計算書の要旨の記載方法は、銀行法施行規則別紙様式第六号若しくは別紙様式第六号の二、長期信用銀行法施行規則別紙様式第四号若しくは別紙様式第四号の二又は無尽業法施行細則第十六条の定めるところによる。
銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)に定める銀行 銀行法施行規則(昭和五十七年大蔵省令第十号)
長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)に定める長期信用銀行 長期信用銀行法施行規則(昭和五十七年大蔵省令第十三号)
無尽業法(昭和六年法律第四十二号)に定める無尽会社 無尽業法施行細則(昭和六年大蔵省令第二十三号)


 (保険会社に関する特例)
第九十七条 保険業法(平成七年法律第百五号)に定める保険会社である株式会社の作成すべき商法第二百八十一条第一項の貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書の記載又は記録の方法並びに公告すべき貸借対照表の要旨の記載方法については、第二十二条の規定にかかわらず、前節中第二十三条を除くその他の規定は適用せず、保険業法施行規則(平成八年大蔵省令第五号)の定めるところによる。
2 商法特例法第十六条第二項の規定により貸借対照表又は損益計算書を公告する場合には、保険業法施行規則別紙様式第十二号第四記載上の注意1(10)、(13)、(14)及び(15)並びに第十二号の二第四記載上の注意1(11)、(14)、(15)及び(16)の注記を除くその他の注記の部分の公告を省略することができる。

 (電気会社に関する特例)
第九十八条 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)に定める一般電気事業者及び卸電気事業者である株式会社(以下「電気会社」という。)の作成すべき商法第二百八十一条第一項の貸借対照表、損益計算書及び附属明細書の記載又は記録の方法については、第二十二条の規定にかかわらず、前節中第二十三条第一項及び第三項、第三十五条(第四十九条第二項及び第五十一条第三項において準用する場合を含む。)、第四十一条並びに第八十七条第一項第五号及び第三項を除くその他の規定は適用せず、電気事業会計規則(昭和四十年通商産業省令第五十七号)の定めるところによる。ただし、貸借対照表又は損益計算書に記載し、又は記録すべき注記は、貸借対照表又は損益計算書の末尾以外の適当な箇所に記載し、又は記録することを妨げない。
2 電気会社の公告すべき貸借対照表の要旨は、第九十条第一項の規定にかかわらず、固定資産の部を電気事業固定資産、投資等その他その内容を示す適当な名称を付した部に区分して記載しなければならない。
3 第二十七条の規定は電気会社で同条の小会社に該当するものの貸借対照表及び損益計算書に、第八十八条の規定は電気会社の公告する貸借対照表及び損益計算書について準用する。

 (電気通信会社に関する特例)
第九十九条 電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)に定める第一種電気通信事業者である株式会社(以下「電気通信会社」という。)の作成すべき商法第二百八十一条第一項の貸借対照表、損益計算書及び附属明細書の記載又は記録の方法については、第二十二条の規定にかかわらず、前節中第二十三条第一項及び第三項、第二十八条、第三十五条(第四十九条第二項及び第五十一条第三項において準用する場合を含む。)、第四十一条並びに第八十七条第一項第五号及び第三項を除くその他の規定は適用せず、電気通信事業会計規則(昭和六十年郵政省令第二十六号)の定めるところによる。ただし、同規則第二条ただし書の規定により会計の整理をするときは、前節の規定に適合する場合に限り、その記載又は記録の方法によることができる。
2 貸借対照表又は損益計算書に記載し、又は記録すべき注記は、貸借対照表又は損益計算書の末尾以外の適当な箇所に記載し、又は記録することができる。
3 電気通信会社の公告すべき貸借対照表の要旨は、第九十条第一項の規定にかかわらず、固定資産の部を、投資等の部のほか、電気通信事業固定資産及び他の事業固定資産の各部に区分した上、有形固定資産及び無形固定資産の各部に区分して記載しなければならない。
4 第二十七条の規定は電気通信会社で同条の小会社に該当するものの貸借対照表及び損益計算書に、第八十八条の規定は電気通信会社の公告する貸借対照表及び損益計算書について準用する。

 (鉄道会社に関する特例)
第百条 鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)に定める鉄道事業者である株式会社(以下「鉄道会社」という。)の作成すべき商法第二百八十一条第一項の貸借対照表及び損益計算書の記載又は記録の方法については、第二十二条の規定にかかわらず、前節中第二十三条第一項、第二十八条及び第三十五条(第四十九条第二項及び第五十一条第三項において準用する場合を含む。)を除くその他の規定は適用せず、鉄道事業会計規則(昭和六十二年運輸省令第七号)(旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和六十一年法律第八十八号)第一条第一項に規定する旅客会社(以下「旅客会社」という。)にあっては、鉄道事業会計規則及び経営安定基金に係る経理の整理に関する省令(昭和六十二年運輸省令第二十一号))の定めるところによる。ただし、同規則中第二条ただし書の規定により会計の整理をするときは、前節の規定に適合する場合に限り、その記載又は記録の方法によることができる。
2 鉄道事業会計規則別表第二第一号表中各事業の固定資産及び建設仮勘定の款並びに第二号表中各事業の営業収益及び営業費の款を細分する科目の記載又は記録は、省略することができる。
3 各事業の固定資産については、土地、建物その他の資産の性質を示す適宜の名称を付した科目ごとにこれを合算した総額を、営業損益については、売上高、売上原価、販売費及び一般管理費その他の収益又は費用の性質を示す適宜の名称を付した科目ごとにこれを合算した総額を注記しなければならない。
4 貸借対照表又は損益計算書に記載し、又は記録すべき注記は、貸借対照表又は損益計算書の末尾以外の適当な箇所に記載し、又は記録することができる。
5 鉄道会社の公告すべき貸借対照表の要旨は、第九十条第一項の規定にかかわらず、固定資産の部を鉄道事業固定資産、他の事業固定資産、各事業関連固定資産、建設仮勘定及び投資等の各部に区分して記載しなければならない。
6 旅客会社の公告すべき貸借対照表の要旨は、資産の部に別に経営安定基金資産の部を、資本の部に別に経営安定基金の部を設けて記載しなければならない。
7 旅客会社の公告すべき損益計算書の要旨には、経営安定基金運用収入の額を注記しなければならない。
8 第二十七条の規定は鉄道会社で同条の小会社に該当するものの貸借対照表及び損益計算書に、第八十八条の規定は鉄道会社の公告する貸借対照表及び損益計算書について準用する。
9 旅客会社が作成すべき商法第二百八十一条第一項の附属明細書には、経営安定基金資産の明細を他の資産と区分して記載しなければならない。
10 鉄道会社で軌道法(大正十年法律第七十六号)に定める軌道事業を経営するものは、鉄道事業に係る固定資産又は営業損益に関する記載又は記録を軌道事業に係るものと一括してすることができる。この場合においては、鉄道事業会計規則別表第二第一号表及び同第二号表中鉄道事業とあるのは鉄軌道事業として記載又は記録する。

 (軌道会社に関する特例)
第百一条 前条第一項から第五項まで及び第八項の規定は、同条第十項の軌道事業を経営する者である株式会社について準用する。

 (東京湾横断道路建設会社に関する特例)
第百二条 東京湾横断道路の建設に関する特別措置法(昭和六十一年法律第四十五号)に定める東京湾横断道路建設事業者である株式会社(以下「東京湾横断道路建設会社」という。)の作成すべき商法第二百八十一条第一項の貸借対照表、損益計算書及び附属明細書の記載又は記録の方法については、第二十二条の規定にかかわらず、前節中第二十三条第一項及び第三項、第二十八条、第三十五条(第四十九条第二項及び第五十一条第三項において準用する場合を含む。)並びに第四十一条を除くその他の規定は適用せず、東京湾横断道路事業会計規則(昭和六十三年建設省令第一号)の定めるところによる。ただし、貸借対照表又は損益計算書に記載し、又は記録すべき注記は、貸借対照表又は損益計算書の末尾以外の適当な箇所に記載し、又は記録することを妨げない。
2 第二十七条の規定は東京湾横断道路建設会社で同条の小会社に該当するものの貸借対照表及び損益計算書に、第八十八条の規定は東京湾横断道路建設会社の公告する貸借対照表及び損益計算書について準用する。

   第五章 大会社の監査報告書



    第一節 総則



 (大会社の監査報告書)
第百三条 商法特例法第十三条第一項の監査報告書及び同法第十四条第二項の監査報告書の記載方法は、この章の定めるところによる。

 (作成の基本原則)
第百四条 監査報告書には、その記載すべき事項ごとに監査の方法及び結果を正確に示すよう明瞭に記載しなければならない。
2 監査の方法の概要は、監査の信頼性を正確に判断することができるように記載しなければならない。

    第二節 会計監査人の監査報告書



 (後発事象)
第百五条 会計監査人の監査報告書には、決算期後に生じた事実で会社の財産又は損益の状態に重要な影響を及ぼすものにつき、営業報告書に記載があるときはその旨、取締役から報告があったときはその事実を記載しなければならない。

 (営業報告書の監査に関する記載等)
第百六条 営業報告書の監査の方法の概要及び結果は、会計に関する部分として監査の対象にした事項を示して記載しなければならない。
2 営業報告書の会計に関する部分のうちに、決算期後に生じた事実に関する事項その他の監査のために必要な調査をすることができなかった事項があるときは、その事項を示さなければならない。
3 前二項の規定は、附属明細書の監査に関する記載について準用する。

 (署名等)
第百七条 会計監査人の監査報告書には、次項に規定する場合を除き、これを作成した公認会計士又は監査法人の代表者がその資格を記載して署名押印しなければならない。この場合において、会計監査人が監査法人であるときは、その職務を行った社員も署名押印しなければならない。
2 商法特例法第十三条第五項前段において準用する商法第二百八十一条第三項の規定により監査報告書の作成に代えて電磁的記録の作成をする場合においては、これを作成した公認会計士又は監査法人の代表者は、その氏名及び資格を記録し、当該電磁的記録に記録された情報について電子署名を行わなければならない。この場合において、会計監査人が監査法人であるときは、作成の職務を行った社員の氏名をも記録し、当該社員も電子署名を行わなければならない。

    第三節 監査役会の監査報告書



 (後発事象)
第百八条 監査役会の監査報告書には、営業報告書に記載されていない決算期後に生じた会社の状況に関する重要な事実について取締役から報告があったときは、その事実を記載しなければならない。ただし、会計監査人の監査報告書に記載があるものについては、この限りでない。

 (競業取引等についての監査に関する記載)
第百九条 商法特例法第十四条第三項第三号の規定により監査報告書に商法第二百八十一条ノ三第二項第十号に掲げる事項を記載する場合において、次に掲げる事項につき取締役の義務違反があるときは、その事実に関する記載は、各別にしなければならない。
 一 商法第二百六十四条第一項の取引及び同法第二百六十五条第一項の取引
 二 会社が無償でした財産上の利益の供与(反対給付が著しく少ない財産上の利益の供与を含む。)
 三 会社がした子会社又は株主との通例的でない取引
 四 自己株式の取得及び処分又は株式失効の手続
2 前項各号に掲げる事項については、その事項ごとに監査の方法の概要を記載しなければならない。

 (署名等)
第百十条 監査役会の監査報告書には、次項に規定する場合を除き、各監査役が署名押印しなければならない。この場合において、常勤の監査役は、その旨を記載しなければならない。
2 商法特例法第十四条第五項前段において準用する商法第二百八十一条第三項の規定により監査報告書の作成に代えて電磁的記録の作成をする場合においては、各監査役は、当該電磁的記録に記録された情報について電子署名を行わなければならない。この場合において、常勤の監査役は、その旨を当該電磁的記録に記録しなければならない。

   第六章 商法第四百六条ノ三第一項の届出



 (届出の手続)
第百十一条 商法第四百六条ノ三第一項の届出(以下「届出」という。)は、書面でしなければならない。
2 前項の書面には、次の事項を記載し、会社の代表者又は代理人が記名押印しなければならない。
 一 会社の商号及び本店並びに代表者の氏名及び住所
 二 代理人によって届出をするときは、その氏名及び住所
 三 まだ営業を廃止していない旨
 四 年月日
 五 登記所の表示
3 代理人によって届出をするには、第一項の書面にその権限を証する書面を添付しなければならない。
4 第一項又は前項の書面に押印すべき会社の代表者の印鑑は、商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第二十条の規定により提出したものでなければならない。ただし、商法第四百六条ノ三第二項の規定による通知に係る書面を提出して届出をする場合は、この限りでない。

   附 則



 (施行期日)
第一条 この省令は、平成十四年四月一日から施行する。ただし、第十三条第五項、第十七条、第八十四条第一項第十号及び第八十六条第一項第十一号の規定並びに第十四条第三項の規定中監査役の選任に関する議案に係る部分は、商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律(平成十三年法律第百四十九号)の施行の日から施行する。

 (株式会社の貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書に関する規則等の廃止)
第二条 次に掲げる省令は、廃止する。
 一 株式会社の貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書に関する規則(昭和三十八年法務省令第三十一号)
 二 商法第四百六条ノ三第一項の届出に関する規則(昭和四十九年法務省令第二十六号)
 三 大会社の監査報告書に関する規則(昭和五十七年法務省令第二十六号)
 四 大会社の株主総会の招集通知に添付すべき参考書類等に関する規則(昭和五十七年法務省令第二十七号)
 五 株式会社の貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書に関する規則の特例に関する省令(昭和五十七年法務省令第四十二号)

 (貸借対照表等の記載又は記録の方法及び公告すべき貸借対照表の要旨の記載方法に関する経過措置)
第三条 この省令の施行前に開始した営業年度に係る決算期に関して作成すべき貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書の記載又は記録の方法並びに公告すべき貸借対照表及び損益計算書の要旨の記載方法に関しては、この省令の施行後も、なお従前の例による。ただし、第二十七条、第六十九条から第七十二条まで、第八十四条、第八十八条から第九十条まで及び第九十三条の規定の適用を妨げない。





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